「Nothing」と一致するもの

interview with HOLYCHILD - ele-king


ザ・シェイプ・オブ・ブラット・ポップ・トゥ・カム
ホーリーチャイルド

ホステス

Electro Pop

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 フェニックスやドーター、マムフォード&サンズなどを擁する〈グラスノート〉からデビューする、フレッシュな男女デュオをご紹介しよう。彼らの名はホーリーチャイルド。トラックを手掛けるルイス・ディラ―と、歌詞とヴォーカルを担当するリズ・ニスティコによるLA在住のユニットだ。結成は2011年だが、あっという間に大手各社から話が持ちかけられ、2013年には同レーベルからシングルを発表、フル・アルバムのリリースとなる今年はアップルウォッチのCMに楽曲が使用されたことでも話題になった。

 そのくだんのCM起用曲“ランニング・ビハインド”は、キューバ仕込みだというルイのパーカッション・センスが発揮されたトラックだが、実際に使用されている箇所がリズム・パートのみだというのはなかなか大胆なディレクションだ。華やかなリズのパフォーマンスはこのデュオの重要なキャラクターであって、そこがばっさりと落とされているのは少し驚きである。
 だが、軽快なハンドクラップに導かれて跳ねるその楽しげなリズムの中には、空気の色をぱっと変えるように魅力的なリズの呼吸がたしかに感じとられる。さすがにMIAにまでは比較できないとはいえ、トライバルな要素やイメージを北半球的な物質文化へのカウンターとして表現しようとするリズのマインドは、ルイのリズムと対になってぴたりと息をそろえる。彼らは自らの音楽を「ブラット・ポップ(Brat Pop)」と称し、社会や世界の状況に対して彼らなりのスタンスと見解、そして反抗のモチヴェーションを示してみせる。

 正直なところを言えば、彼らのその世界観やメッセージにママゴトのようなナイーヴさがあることは否定できない。しかしこの取材からも伝わってくるように、彼らが正直な若者たちで、おそらく音楽に対する考え方も真面目なのだろうということは想像するにかたくない。その点では、本当に素直でのびやかな、健康的な音楽だ。パッション・ピットとのツアーについても触れられているが、まさにパッション・ピット以降のエレクトロ・ポップを基本フォーマットとするアーティストたちのなかで、非常に広い間口と垢抜けた存在感を放つデュオであることは間違いない。

■HOLYCHILD / ホーリーチャイルド
ワシントン D.C.の大学で出会ったリズ・ニスティコとルイス・ディラーによる男女ユニット。2011年に結成。USの〈グラスノート(Glassnote)〉と契約し、2013年にシングル“ハッピー・ウィズ・ミー”でHype Machineのチャート1位を獲得。ビルボードが「2014年に見るべき14アーティスト」に選出するなど注目を浴びる。パッション・ピットとともにアメリカ・ツアーを行ったほか、二ューヨークの〈MOMA〉でもライヴを行うなど活動を広げ、2015年フル・アルバムのリリースとなった。

大学では音楽を学んでいたのですか? どのような領域を修められたのでしょう?

リズ:私もルイも、メインの専攻は国際情勢だったの。国際政治とか、世界の歴史を勉強していたのよ。あと、私は副専攻でイタリア文学とダンスを勉強していて、ルイは副専攻でジャズを学んでた。私はもともとずっとダンスを習っていて、将来はダンサーになろうと思っていたんだけど。でもルイに出会って音楽を作るようになってから、それがすごくしっくりきたのよね。音楽も大好きだったから、すごく自然に感じたの。それ以外では、私は絵も描いていて、ニューヨークのギャラリーに出展したりしていた。ルイは、ホーリーチャイルドをはじめる前もいくつかのバンドで演奏していたのよ。

卒業後は音楽でやっていこうと思っていたのですか?

ルイ:音楽でやっていこうと思いはじめたのは、いちばん最初に書いた曲“ベスト・フレンド”をレコーディングした後だったね。僕はまだ大学にいて、リズはもう卒業してた。最初の曲をレコーディングしたら、その出来がすごくよかったんだ。それを聴いたときに電気が走ったというか、ふたりとも何かを感じたし、目指すものが見えた気がした。リズは、本当はその後LAで音楽プログラムを勉強する予定だったんだけど、その話を蹴ってホーリーチャイルドの活動を続けることにしたんだ。2、3年前くらいかな。そこまでは何も定まっていないプロジェクトだったんだけど、あの曲をレコーディングしてから、すごくしっくりきて。僕も大学院に行こうか迷っていたんだけど、ふたりとも何もかもを止めてホーリーチャイルドとして活動することに決めたんだ。ありがたいことにいまはフルタイムでこの活動ができているし、こんなふうにインタヴューもしてもらえて、すごく光栄だよ。

〈グラスノート〉と契約するにいたったきっかけは?

リズ:あれは本当に忙しい時期だった。当時は、ユニバーサルからソニー、コロンビアまで、とにかくアメリカ中のメジャー・レーベルと話をしていたの。その中の一つが〈グラスノート〉だった。いろいろなレーベルと話をするのはおもしろかったわ。みんな私たちに興味を持ってくれていたから。でも〈グラスノート〉の人たちと会えたのは本当によかった。私たちの音楽を本当に理解してくれていたし、みんないい人たちだし、レーベル自体が素晴らしいレーベルなんだもの。もし契約していなかったとしても、彼らのようなレーベルが存在してるってだけでうれしい。だから彼らと契約することにしたの。いまのところ、すごくうまく行ってる。彼らって、本当に最高なのよ。

〈グラスノート〉と出会ってからは、すぐに契約を決めたのですか?

リズ:ニューヨークで彼らに会ったんだけど、私たちのショーに5回連続で来てくれたの。それも1週間以内の話よ。次の週彼らと話して、来週LAに帰るって話したら、「君たちと契約したいから、LAに書類を送るよ。目を通しておいてくれ」って言われたの。LAに帰ってから1週間後に書類が送られてきて、そこから1ヶ月くらい交渉期間があって契約が決まった。だから時間にして2ヶ月くらいかかってるんだけど、すごく早く感じたわ。普通は6~8ヶ月かかったりするから。

音楽制作上でのおふたりの役割分担について教えてください。

リズ:時と場合によってちがうの。私が先に何か思いついたり、ルイがアイディアを持ってきたり、いろいろよ。お互いにそれを送り合って、それをもとにいろいろ音を作って乗せてみるの。曲の作り方は毎回ちがうけど、曲作りに関わる割合が50/50っていうのはどの曲でも変わらない。あといつも同じなのは、私が歌詞を書いて、ルイがプロデュースすることね。それはそれぞれ一人でやるの。

ジャケットのアートワークではお札を口にまるめ込んでいる写真が印象的ですが、資本主義を揶揄するような意味合いがこめられているわけですよね。

リズ:もちろん。資本主義って、お金とか美、惹きつけられるもの、セレブ、名声とか、そういういうわたしたちが語っているテーマのすべてに関係していると思う。資本主義が人を競わせるし、たくさんの広告が物質主義を促しているし、間違った「理想の」女性の身体、男性の身体を作り出して、その体系であることをよしとしている。そういうのって、資本主義と全部結びついていると思うし、わたしたちは確実にそれに反対してる。このジャケットからそれを理解してもらえて、すごくうれしいわ。

では、商業音楽はどのようにその「おカネ」から自由であることができると考えますか?

リズ:すごく難しいことよね。わたしとルイは、ポップ・ミュージックを作ってるっていうのは百も承知なの。そうやってまず音楽業界に入って、人に聴いてもらうチャンスを得てから、自分たちの伝えたいことを伝えようとしている。わたしたち自身、ポップ・ミュージックが大好きだから、ホーリーチャイルドの曲もすごくキャッチーではあるし、もし完全にエクスペリメンタルな作品を作ったら、みんなに届かなかったり、理解してもらえないっていうのも理由の一つ。人に届けるためには、ビジネスの中にいることも必要だったりするのよ。でも、そんな中でも、わたしたちは心から誠実でいようと心がけてる。それをつづけることで達成できて、その自由を手に入れることができるようになるんじゃないかしら。すごく難しいことだとは思うけどね。

わたしとルイは、ポップ・ミュージックを作ってるっていうのは百も承知なの。人に届けるためには、ビジネスの中にいることも必要だったりするのよ。(リズ・ニスティコ)

タイトルの「ブラット・ポップ(Brat Pop)」という言葉も問題提起的なものかと思いますが、あなたがたの定義する「ブラット」はどのような存在ですか? あなた方自身の自己像?

ルイ:自分たちの音楽をちょっといたずらなユーモアで表現した言葉なんだけど……君が話す?

リズ:わかった。「ブラット・ポップ」っていうのは、わかりやすく言えば「サーカスティック・ポップ・ミュージック」って感じなんだけど、ポップ・ミュージックっていうのは社会的な主張で、私たちはそれに反して「ブラット・ポップ」なの。私たち自身の文化の中から見たジェンダーや男女の役割、お金とか自己愛のことを話していて、それを私たちのやり方で定義しようとしているのよ。生意気に、何かに「反して」いるからブラットなの。本当は、12歳以下の生意気な子どもにだけ使われる言葉なんだけど、わたしたちがやっている音楽は、ポップだけどお決まりのポップ・ミュージックとは少しちがう自分たちだけのサウンドだし、そういう意味で私たちの音楽は皮肉的で従順ではないから「ブラット」という言葉をつけたのよ。私たちがやっていることに合った言葉だと思う。何をしてるの? って訊かれても、答えは100%ポップではないもの。私たちの音楽には、ポップ以上のものがある。ポップの形式を使いながら、自分たち自身のやり方で音楽を作っているから。

ルイ:何年か前に誰かがブログで「ブラット・ポップ」っていう表現を使っているのを見たんだ。それを見て、すごくしっくりきたんだよね。ホーリーチャイルドの音楽にはピッタリの言葉だと思った。「ブラット・ポップ」なんて言葉、聞いたことなかったけど、言葉を見ただけでコレだと思ったんだ。僕たちがやっていることのすべてを捉えた言葉だと思ったね。

生意気に、何かに「反して」いるからブラットなの。本当は、12歳以下の生意気な子どもにだけ使われる言葉なんだけど。(リズ・ニスティコ)

あなたがたが他に「ブラット」だと感じるアーティストを教えてください。また、よく聴いている音楽について教えてください。

リズ:マリーナ&ザ・ダイヤモンズ(Marina & the Diamonds)と……もっともっといると思うんだけど、いま思いつくのは彼女。でも、ポップをやりながらそれ以上のことをやっているアーティストはすべて「ブラット」だと思う。

ルイはどうですか?

ルイ:そうだな……。

リズ:TNGTは?

ルイ:たしかに。

リズ:彼ら最高よ。

ルイ:〈PCミュージック〉のアーティストとか。あとレックス(Rexx)も。ジャック・ガラート(Jack Garratt)もだし……。

リズ:スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)も。

ルイ:そうだね。スフィアン・スティーヴんス。

リズ:アーケード・ファイアもそうね。

ルイ:アラバマ・シェイクスも。

リズ:アラバマ・シェイクス! 絶対そうね。

アラバマ・シェイクスのアルバムは非常に歓迎されていますね。

ルイ:彼らの進化のしかたが好きなんだ。ブラットさを残しつつ、セカンド・アルバムでは変化をつけて、ファースト・アルバムとはまたちがう作品をつくり出した。アラバマ・シェイクス・サウンドは健在なのに、すごく成長が見えるところが素晴らしいと思ったね。だから聴いていて本当にエキサイティングだったし、プロダクションもパフォーマンスも最高だった。

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ドラミングはキューバで学んだんだ。本当にたくさんのことを知ったよ。(ルイス・ディラ―)


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あなたがたは他のアーティストや音楽の歴史を気にするタイプのミュージシャンだと思いますか? それとももうちょっと直感的?

ルイ:両方だと思う。

リズ:そうね。私たちは音楽やアートに尊敬の念を持っているし、生まれてからずっといろいろな音楽を聴いてきたし、音楽の歴史にも興味を持ってきた。だから詳しくはあるのよ。でも、部屋に入って音楽を作り出すと、そういうことよりも自分たちの感情のほうが素直に出てくるの。結果的に、そういった歴史や他のアーティストの音楽を超えた、すごくエモーショナルで直感的なものができあがる。この音楽が好きだから自分たちもこういうコード進行でいこうとか、そういう作り方はしないの。

ルイ:そう。で、さっきも言ったように、自分たちの中にある知識や興味が自然と曲に出てくるんだ。音楽の歴史を知識として持ちつつ、そのときに自分が感じているものがそのまま曲に反映されるんだと思う。

MIAやボンジ・ド・ホレ(Bonde do Rolê)といったアーティストへの共感があったりしますか?

リズ:ボンジ・ド・ホレは知らないわ。ごめんなさい。

ルイ:MIAはブラット・ポップのクオリティを持ってると思う。彼女の曲の歌詞には社会的なメッセージも込められていると思うし。プロダクションや社会論評という意味で、彼女からはインスパイアされている。

リズ:ヴィジュアル面でもインスパイアされるわ。彼女って、音楽だけでなくヴィジュアル、メッセージでも境界線を押し広げていると思う。すごくアヴァンギャルドよね。それって私たちがやろうとしていることと同じなの。だから、インタヴューを受けるときに彼女の名前がよく出てくるんだけど、似てるって思われるのはうれしいことだわ。

何が美しいか、なぜそれが美しいと思うかは人によってちがうし、何に価値を見出すか、何を変だと思うかも人によってちがう。そのちがいって本当は自然で普通のことなのよね。(リズ・ニスティコ)

リズさんのなかに、同じ女性の表現者としてリスペクトする人やお手本となる人はいますか?

リズ:マドンナね。彼女はポップ・ワールドのイメージをいい意味で変えたと思うから。彼女もすごく反抗的よね? それが、当たり前とされているものに対する人々の考えを変えたと思う。しかも、すごく大きいスケールでそれをやっているところにインスピレーションを受けるわ。彼女を見たり、過去のインタヴューを読んだりして、彼女がそれをどのようにしてやってのけたのかを学びたいの。私たちもあのレベルに到達できたら素晴らしいと思う。
何が美しいか、なぜそれが美しいと思うかは人によってちがうし、何に価値を見出すか、何を変だと思うかも人によってちがう。そのちがいって本当は自然で普通のことなのよね。食べ物に関する考え方もそう。この食べ物を食べれば、自分の身体がこう見えるからこれを食べるっていう考え方が私にとってはすごくフラストレーションなの。食べることって自然なことのはずでしょ? すごく簡単なことだし、当たり前で自然なことなんだから、そこまで深く考えるべきじゃないと思う。そういうことに関してマドンナくらいのスケールで世界と話すことができたら最高だわ。

ディラ―さんはドラミングを学んでこられたということですが、具体的にどんなかたちで学んでこられたのでしょう?

ルイ:ドラミングはキューバで学んだんだ。本当にたくさんのことを知ったよ。ありすぎて答えるのが大変だな……長くなるから短くまとめると、とにかくドラムに関すること全般を学んだ。ドラミングと歌だね。人間がいちばん最初に奏でた音楽っていうのはドラムと声だったわけだけど、キューバではその考えが強くて、だからパーカッションやドラムに人々がどう反応してきたとか、そういうことについても学んだんだ。それはキューバに限らず世界中の人々のリアクションにも通じると思うし、パーカッションには根源的なクオリティがある。人が美しいものを聴いたときの反応も同じだと思うし、そういうのは勉強になったね。あとはアフロ・キューバン・ドラムのテクニックについても学んだけど、それはまた専門的な話になるからやめとくよ(笑)。

本作には生ドラムやライヴ録音がフィーチャーされているというわけではありませんよねあなたが学んだものの中でとくに本作に活かされている要素はどんなものだと考えますか?

ルイ:アフロ・キューバン・ミュージックの基本的なリズムはクラーベっていうリズムパターンなんだけど、僕たちの音楽にそのリズムは大きく影響していると思う。意識してそうしているわけじゃないけど、たくさん勉強したから、自然とそれが出てくるんだ。あとは……なんだろうな。とにかく向こうで学んだのは、音楽においてリズムとドラムとパーカッションがいかに大切かということだったから、僕らの音楽の中でも自然とそれが軸になっているのかもしれないね。何かをずっと勉強してると、それがDNAの一部になると思う。だから、自分でとくに意識しなくても、それが滲み出てくるんだ。

音楽業界って本当に競争社会なのよ。一方からはああなれって言われたり、またちがう人たちからはこうなれって言われたり、何をやったらいいのかわからなくなる。でも彼らみたいに自分のやりたいことを貫いている人たちを見ると、私もそうしていいんだって思える。(リズ・ニスティコ)

パッション・ピットといっしょにツアーを回られているということですね。パッション・ピットの作品の中でいちばん好きなものを教えてください。また、彼らに学ぶものはありますか?

ルイ:最初のアルバムの『マナーズ』。ほんっとにいいよね。リリースされたときもそうだし、いまでも大好きなアルバムなんだ。いい曲が詰まってるし、あの作品で、彼らは自分たちのジャンルをつくり出してると思う。あの後、彼らみたいな音楽をやろうするミュージシャンたちがたくさん出てきたんじゃないかな。インディ・ポップの世界で自分がしたいことをしてるっていうところがすごくいいと思うね。とにかく僕はあのアルバムが大好きだし、革新的な作品だと思う。そういう点ですごくインスパイアされているから、パッション・ピットといっしょにツアーに出れるなんて、すごく光栄だよ。楽しくなるだろうな。

リズ:パッション・ピットももちろんだし、マドンナ、MIA、ノー・ダウトもジョン・レノンもそうだけど、みんな、自分たちの特徴を保ちつつ進化してる。やっぱりそこにいちばんインスピレーションを受けるわ。何かで成功しても、それにすがって繰り返そうとはしない。それに自分の意志に従ってると思う。音楽業界って本当に競争社会なのよ。一方からはああなれって言われたり、またちがう人たちからはこうなれって言われたり、何をやったらいいのかわからなくなる。でも彼らみたいに自分のやりたいことを貫いている人たちを見ると、私もそうしていいんだって思える。私にとってはそこがいちばん影響されるわね。これからツアーに出て、パッション・ピットからもっといろいろと学ぶのが楽しみだわ。

アップル・ウォッチのCMソングに起用されたということですが、アップルやアップル・ウォッチの価値観や未来像には共感しますか?

リズ:アップルってすごく革新的で創造力に富んでいると思う。すでに大きい会社でありながら、自分たちがやっていることに落ちつかず、つねに限界を超えた何かを作り出そうとしているのが素晴らしいと思うわ。すごくクールよね。だから、自分たちの曲が起用されてすごく光栄だった。

なるほど、今日はありがとうございました。

リズ:こちらこそありがとう! インタヴューしてもらえて、すごくうれしいわ。

ルイ:日本でみんなに会えるのを楽しみにしているよ!

Derrick May - ele-king

 デリック・メイで踊ったことのない人の言うことを信用しちゃいけない。1年に1回はデリック・メイで踊らなければ気が済まないという人は世界中に多く、また、来れば必ず行くという人も少なくない。海外のクラブ・シーンからは、どんどん若手が出てくる。プロデューサーも、そしてDJと呼ばれている人も。良い曲もたくさん出てきている。しかし、本当に良いDJと呼べる人って、いったいどれほどいるの? 

 たとえば、つねに安易に使われている(そして僕も安易に使っている)「ジャズ」というタームがある。「ジャズ」を、もし、ヨーロッパとアメリカとの抜き差しならぬ文化的衝突の絶え間ない反復によって芽生えるものという、まあ、クリシェですが、この古典的なクリシェを使わせていただくなら、デリック・メイのDJはジャズである。このスリルは、申し訳ないが、EDMにはない。あの優秀なジェイミーXXにさえも、あるわけではない。
 音楽は、ただ詳しい奴が正しいってものではないし、あっさりと特定の文化で制度化されてしまうほど小さなものではないのであるよ。簡単に括られてしまうもの、そう簡単に模倣されるものではないんだ。つねに、制度化されるようとする力を突き破ろうとするものだ。無心になってデリック・メイを聴きな。

7/18(SAT) -TECHNO-
HI-TEK-SOUL JAPAN TOUR 2015
10PM | ¥3500 w/f ¥3000
AIR members ¥2500 Under 23 ¥2500
Before 11:30PM ¥2000 After 6AM ¥1000
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MAIN:
DERRICK MAY (TRANSMAT | from Detroit)
and more

<『Innovator』のリイシュー決定!>
デリック・メイの超名盤『Innovator (UHQCD edition)』は7月15日(水)にリリース。また本再発盤のリリースに合わせ、日本で初めてデジタル配信も解禁される。

デトロイト・テクノのオリジネーター、デリック・メイの80年代後半から90年代初頭の12インチを網羅したベスト盤的作品であり、正真正銘の大名盤『Innovator』が待望の再リリース!本CDには、デリック・メイ本人によって2008年にリエディット&リマスタリングが施された音源が収録され、通常のCDプレイヤーで再生可能なまま、オリジナルマスターの音質を極限まで忠実に再現するUHQCD(Ultimate High Quality CD)仕様を採用。究極の名盤を、最高音質で楽しめるプラチナム・エディションとなっている。さらに90年代のデトロイト・シーンを語る上で最も重要なデリック・メイの主宰レーベル〈Transmat〉の大判ロゴ・ステッカーが封入される。

<Derrick May>
クラフトワークやPファンク同様に、「これを知らずして音楽語れるの?」という次元のDJ/プロデューサー。デトロイト・テクノを一躍有名にしたというよりも、あまりにも多くの人間を幸せな気持ちにさせた「ストリングス・オブ・ライフ」の作者として知られている。
もちろん欠点もある。彼の最大の間違いは、1991年以降、まともな曲を発表していないことである。最大の武器は、人を踊らせること。うまいDJというものがどういうことかを知りたい人も聴いたほうがいい。素晴らしいDJとは、人間性そのものがファンキーなのよ。エロティックなのよ。人間として面白くない奴が、PCだろうがターンテーブルだろうがそつなくやっても、いろいろ情報を収集してDJをやったとしても、実はたいして面白くないでしょ。長年DJカルチャーを見てきて、本当にそう思う。


vol.74:アメリカの法律が変わった日 - ele-king

Pride week 2015 NYC-celebrate Brooklyn -Paris is burning
プライド・ウィーク2015ーセレブレイト・ブルックリンーパリは燃えている

 毎年この時期になると、訪れるプロスペクト・パーク。NYは夏になるとたくさんの野外コンサートが行われるが、ブルックリンを代表するプロスペクト・パークは、音も良いし、行くまでの道のりが全面緑(公園)で、それだけでも気分が高揚する。バンドのラインナップが豪華で、過去には、ベル・アンド・セバスチャン、ワイルド・フラッグ、ミッション・オブ・バーマ、テッド・レオ、チボ・マットセイント・ヴィンセントなどのバンドを見た。

 バンドを見たければ一番前まで行けるし、ピクニック気分でレジャーシートをひいて寛げるし、家族やカップル、グループで楽しめる場なのである。

photos: Via celebrate Brooklyn Facebook

 今年初めてのプロスペクト・パークのイベント(著者にとって)は、映画『Paris is burning (パリは燃えている)』。70~80年代のニューヨークにおけるゲイ・ピープルのダンス・カルチャーを描いたドキュメンタリーで、ドラッグ・クイーンたちが様々なダンス・スタイルを生み出し、黄金時代を築いていた当時のニューヨークのクラブ・シーンが描かれている。公開されたのは1990年で、今年2015年は25周年にあたる。

 偶然にも、この日6/27は、全米で同性婚が合法化した歴史的な日で、監督や関係者は、「今日、アメリカの何処でも結婚できるようになった。我々は、大きな一歩を踏み出した。これからも性、人種差別など、様々な社会問題をなくしていけるように、そして今日25周年を迎えたこの映画を、素晴らしい公園で上映する機会に恵まれた事に感謝する」と挨拶すると、会場からは割れんばかりの拍手。たくさんの人びと、老若男女が笑顔でひとつになった瞬間だった。

 この週は、プライド・ウィークで、ただでさえ人びとは、1年でもっとも華やかな週を過ごしているのに、同性婚の合法化で、お祭りムードにはさらに磨きがかかった。

 上映前は、映画のシーンと同じように、映画のキャスト・メンバーたちが美しい衣装を着て、ダイナミックなダンスを披露した。圧倒的なファンもたくさんいて、名前を叫んだり、歓声が絶えない。最後にはステージからフロアに降りて、一般客も交えてダンス・パーティ状態になった。こうして見ると、ドラッグ・クイーン文化は25年前と変わっていない。みんなの目は輝いていて、個性的な衣装ダンスで、自分を最大に表現している。

 映画上映がはじまると、知ってるキャスト・メンバーたちが映るたびに歓声が上がり、ダンスが披露されるたびにまた歓声。なかにはセリフを覚えていて、一緒にセリフを叫ぶ人までいた。映画だが、ライヴを見ているような生々しいショーで、人びとがシーン毎に反応する。25年経った今も同感覚で鑑賞できるのは、ゲイ・カルチャーにやっと時代が追いついた証かもしれない。アメリカの重要な法律が変わった日に、歴史的なイベントに参加できたことを誇りに思う。

photos: Via celebrate Brooklyn Facebook

interview with Low Leaf - ele-king


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 2000年代よりロサンゼルス周辺の音楽シーンはおもしろく刺激的なサウンドを作り出してきたが、とくに近年はフライング・ロータスをはじめとした〈ブレインフィーダー〉勢の活躍がクローズアップされることが多い。フライ・ローも参加したケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、同作やフライ・ローの『ユー・アー・デッド』でも演奏したカマシ・ワシントンの『エピック』、サンダーキャットの最新EP「ザ・ビヨンド / ホエア・ザ・ジャイアンツ・ローム』など、今年の話題作もLAが中心だ。
 そんなLAから、またひとり注目すべきアーティストが登場した。フィリピンの血筋のロウ・リーフは、ハープ、ギター、ピアノなどを演奏し、またビートメイカー、シンガー・ソングライターとマルチな活動を行う若い女性アーティストだ。彼女の名前が知られるきっかけとなったひとつに、フライング・ロータスの2010年作『コスモグランマ』でのキーボード演奏がある。また、2014年はマーク・ド・クライヴ=ロウの『チャーチ』でハープを演奏し、キング・ブリットとの共作「ア・ライト・ウィズイン(A Light Within)」も出している。自身でも自主のEPやアルバムをいろいろ発表しており、2011年の『クリサリス(Chrysalis)』はLAのビート・シーンにも通じる要素を持つ作品で、たとえば〈ブレインフィーダー〉のティーブズなどに共鳴するところも感じさせていた。また、〈ロー・エンド・セオリー〉でもライヴをし、ラスGなどとロンドンの〈ボイラー・ルーム〉に出演するなど、LAのビート・シーンとはいろいろ繋がりも見られる。

 今回、日本デビュー作となるアルバム『アカシャーレイ』のリリースを機に、ロウ・リーフへのメール・インタヴューを行った。そこでLAシーンの話などもいろいろ訊こうと思ったのだが、どうやら彼女自身は「ある特定のシーン」にカテゴライズされることを望んでいないようだ。マーク・ド・クライヴ=ロウらとの共演にしても、LAという土地が作用したのではなく、彼女いわく「同じ原子が自然に惹かれ合った」とのこと。その出で立ちからしてそうなのだが、どうもスピリチュアルなライフ・スタイルを持つ人のようだ。また他者との比較で、LAで活動する中国人女性アーティストで中国版ハープにあたる古典楽器の古筝演奏家ベイ・ベイや、女流ハープ奏者の先人でフライング・ロータスの大叔母にあたるアリス・コルトレーンや、ドロシー・アシュビーなどの話題を振ろうと思ったのだが、そうしたことも避けられてしまった。彼女のアーティストとしてのスタンスとして、他者との比較や関係性で音楽を評価されるのではなく、あくまでオリジナルな存在としてありたい、そんな自身にこだわる姿が言葉の端々から伝わってくる。

■Low Leaf / ロウ・リーフ
LA を拠点とし、ハープ奏者、ギタリスト、シンガー、ビートメイカーとして活動する女性マルチ・アーティスト。フライング・ロータスの『コスモグランマ』にはキーボードで、マーク・ド・クライヴ=ロウの『チャーチ』にはハープで参加、最近ではラスG など、一時期を“LAビート・シーン”とのつながりを深める。2012年のセルフ・リリース・シングル「GiGA GAiA ‎」以降、いくつかの作品リリースによってゆっくりと注目を集めている。先般、2014年に発表されたものの、アナログ・メディアと配信でしかリリースのなかった作品『アカシャーレイ』のCD盤が日本盤としてリリースされた。

思いつくかぎりのどんな血統なんかよりも、木や植物や自然が私の同族のように最近は感じる。

ロサンゼルスのフィリピン系アメリカ人とのことですが、どのような環境で育ち、音楽を作るようになったのでしょうか?

ロウ・リーフ(Low Leaf、以下LL):ロサンゼルから30分ほど離れたヴァレイというところで育ったの。クラシック・ピアノを弾いていて、曲はギターで書いてテープレコーダーで録音していて、それからすぐにパソコンに移行したけど、それは私が16歳のとき。18歳のときには独学でビートを作っていたわ。

アメリカで活躍する東南アジア系の女性アーティストでは、マレーシア出身のシンガー・ソングライターのユナなどがいます。また、LAなどカリフォルニアにはフィリピンはじめ東南アジアやアジア系の人も多く、とくにフィリピン系ではターンテーブリストのDJ Qバートが有名です。あなたもそうしたコミュニティから出てきたアーティストと言えるのではないかと思いますが、自身ではルーツであるフィリピンという国について、どのような意識を持っていますか?

LL:まず私自身は神の創造物であり、この現世では一時的な身体の中に収められたものだけど、そもそも人間も動物も神聖な存在なのよ。自分の直接の先祖たちには申し訳ないけど、思いつくかぎりのどんな血統なんかよりも、木や植物や自然が私の同族のように最近は感じる。だって私はたしかに過去の出来事から生まれたわけだけれど、それに縛られているわけじゃないでしょ。私は曲を毎日書いていて、自分の本当のルーツは16世紀にスペインのフェリペ2世が、フィリピン諸島をそう名づけるよりずっと前の宇宙に拡張していくわけ。そして、ロサンゼルスでは人間や思想に多様性があるから、とても興味深い場所だと思う。自分はここに身を落ち着つけていて、周囲の人との繋がりも感じるんだけど、同時にどこか外国にいるような気分にもなる。

ハープ、ギター、ピアノなどを演奏し、またビートメイカー、シンガー・ソングライターとマルチな活動を行っていますね。ピアノは幼少時代のクラシックのレッスンで身につけたそうですが、それ以外はほぼ独学で身につけたのですか?

LL:クラシック・ピアノを習っていて、時間がたつとバッハやベートーベン、ショパンを弾くようになったの。ギター、ハープ、それとビート・メイキングの方法は、曲を作っていくなかで独学で身についたものよ。

その頃に影響を受けた音楽、好きだったアーティストなどは?

LL:う~ん、そのときにとくに聴いていた曲を限定するのは難しいわ。いままで私が聴いてきたものすべてが、自分の耳をかたちづくって拡張もしてくれたのよ。だから、特定の誰から影響を受けたというわけではないわ。


深く聴けば聴くほど、ひとりのアーティストと他のアーティストたちとのちがいは、けっしてシンプルなものじゃないってわかるでしょう?

ロサンゼルスの外部の人間が、よく「LAビート・シーン」とラベル付けしてしまう偏見や憶測についてどのように感じますか?

LL:それって外国とのインタヴューでよく訊かれるトピックなのよ。外からの視点だと、革新的でクリエイティヴな部分に目がいきがちで、そうしたことがたくさんあるように映るものなの。それでエレクトリック・ミュージックの音楽家をひとつにまとめてしまうことは仕方ないかなって思う。これはロサンゼルスに限らず、世界のどこでも同じだと思う。
そして、どんなジャンルでもいいんだけど、深く聴けば聴くほど、ひとりのアーティストと他のアーティストたちとのちがいは、けっしてシンプルなものじゃないってわかるでしょう? ジャズの世界だと、熟練した耳がなければプレイヤーのちがいが聴き分けられないようにね。同じような音を持ったアーティストが山ほどいることもたしかだけど、どんなタイプの音楽にも深く聴けるものって絶対にあるよね。たとえそれが、ある人たちからは嫌われているタイプのものだとしてもね(笑)。

あなたの作品を振り返ると、2012年の「GiGA GiGA」はエレクトリックなビート感が強く、同年の「アルケマイジング・ドーン(Alchemizing Dawn)」はフォークなどの要素が強いオーガニックな作品集で、2013年の「アンアースリー(UNEARTHly)」はスペイシーなエレクトロニカ・サウンド、2015年の新作『Diwata Mantraz vol. I』はメディテーション・ミュージックという具合に、作品ごとにさまざまなスタイルを見せていますね。どれもがあなたの世界だと思いますが、どうしてこんな多彩な音楽が生まれてくるのでしょう?

LL:いちばん新しいリリースが、いつもそのときどきの「私」にもっとも近い音なんじゃないかな。いまままでリリースしたものは、当時の私のスピリチュアルな成長の記録にすぎない。だからその意味では、それらは永遠に私の音だとも言えるし、もうそうじゃないとも言える。地球上で生きているかぎり、新たなヴァイブレーションが巻き起こり、そこで私は実験を繰り返して音楽を作っていくと思う。


地球上で生きているかぎり、新たなヴァイブレーションが巻き起こり、そこで私は実験を繰り返して音楽を作っていくと思う。

2014年に制作された『アカシャーレイ』は、“Umaga”に代表されるように、あなたの持つ民族的、土俗的な要素がもっとも色濃く表れたアルバムではないかと思います。また、“Bahay Kubo”や“2b1wd Eternal”などフィリピンのタガログ語で歌う作品もあり、アルバム・タイトルはサンスクリット語でエーテルを意味する「アカーシャ」と、タガログ語で捧げものを意味する「アレイ」から来ています。フィリピンに捧げた作品集とのことですが、それによって土着的なモチーフの作品が生まれてきたのでしょうか?

LL:『アカシャーレイ』はフィリピン人へのヴァイブレーションに満ちた貢物にしたかったの。2012年にフィリピンの森で超自然的な体験をしたんだけど、そのときから自分自身のフィリピン人としてのルーツが何なのかを明らかにしたいと渇望するようになって、そこからインスピレーションを得た。市街地から離れて探検をはじめてしまえば、森はとても神秘的な場所だったわ。だからアルバムはいまもまだ生きている、そしてもうこの世にはいない両方の先祖に捧げているの。

“Rise Up”や“2b1wd Eternal”は民族音楽やミニマル、そしてサイケやクラウト・ロックなどの要素がミックスされたユニークな作品です。カリフォルニアはそもそもサイケ発祥の地で、あなたにもそうした要素が自然に備わっているのでしょうか?

LL:それはちがう。サイケデリックな様式だとかドラッグなんかじゃ、私の音楽が生まれてくる場所のほんの表面にしか触れることができない。そこは天国のようなとても神聖な領域で、そこから私の音楽はインスパイアされて湧き出てくるのよ。そして、私もまだ完璧にそこへ辿り着いたわけでもない。

『アカシャーレイ』はフィリピン人へのヴァイブレーションに満ちた貢物にしたかったの。

 サイケについての質問は、サンフランシスコ出身のピーキング・ライツにも共通するものを感じたからだったのだが、ロウ・リーフのスピリチュアリズムは一般的なサイケ感覚とはまったく異なるものだということがわかるだろう。『アカシャーレイ』全体を見ると、民族的モチーフをエレクトロニック・サウンドに取り入れることに成功しており、近年の作品ではクラップ・クラップの『タイー・ベッバ』、モー・カラーズの『モー・カラーズ』、イベイーの『イベイー』などと同列で語ることができるものだが、もちろんロウ・リーフの中にはそんな観点など存在しないだろう。そして、“セット・ミー・フリー”や“アズ・ワン”はシンガーとしての魅力が詰まった曲で、とくに“アズ・ワン”にはポップなフィーリングが感じられる。“Kami Ang Mga Tao”の歌声はビヨークを感じさせるものだ。同世代の女性アーティストでは、ハイエイタス・カイヨーテのナイ・パーム、ソニームーンのアンナ・ワイズなど、ポップ性と実験性、それと牧歌性や幻想性を同居させる人がいるが、ロウ・リーフもそうしたユニークな個性を持つシンガーだ。“アセンション(Ascension)”にはサン・ラーを思わせるコズミックで混沌とした世界があり、最後は牧歌的な“ライフ・イズ・ピース”と、『アカシャーレイ』はロウ・リーフがいままで発表してきたアルバムの中でも、極めて幅広い表情を見せてくれる作品集となっている。また、自然や宇宙などをより意識した作品集で、その点ではシアトルのジーサティスファクションなどに近い雰囲気を感じる。

 いずれにしても、彼女はそうした比較を好まないので直接的な質問はしなかったが、そのかわりに最近よく聴くもの、インスパイアされるものとして、自然界の音、クリスタル・シンギング・ボウル(メディテーション用のお椀のような楽器)、ワールド・ミュージックなどを挙げていた。そして、次回作についてもすでに制作を進めているようで、〈フレッシュ・セレクツ〉から夏の終わりか秋の頭ぐらいリリースする予定とのこと。彼女いわくいままでで最高傑作になるとのことなので、そちらも期待したい。

GABI - ele-king

 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン主宰の〈ソフトウェア〉からリリースされた声楽家/作曲家ガビ(ガブリエル・ハーベスト)『シンパシー』は、ダニエル・ロパティン自らがプロデュースを手がけた問題作である。エンジニアはティム・ヘッカーやベン・フロストとの仕事でも知られるポール・コーリー。

 ガビは、電化ハープ奏者のジーナ・パーキンスやターンテーブリストのマリナ・ローゼンフェルドらに師事したニューヨーク実験/即興音楽シーンの土壌を受け継ぐアーティストだが、作曲家としても素晴らしい。重力から解放されたかのような旋律は、彼女の澄んだ声との相乗効果もあり、耳を浄化してくれる。また、編曲も見事で、自身の声を中心に、ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノ、トロンボーン、ギター、打楽器をレイヤーすることで、美しいカーテンのようなサウンドを生みしている。ジュリア・ホルターやジュリアナ・バーウィックに近い音楽性ともいえるが、その作・編曲の手腕はオーセンティックでモダン。20世紀音楽のエッセンスを吸収しているように思えた。

 プロデュースを手がけたダニエル・ロパティンが、どこまで曲などに介入したのかはわからないが、「ア、ア、ア、ア」と刻まれるヴォイスなどはOPNのサウンドを想起するし、冷たい弦にはシンセ/ドローン的な人工性が宿っているようにも聴こえる。
 とはいえ、そのような「読み」は深読みのしすぎだろう。本作は『アール・プラス・セブン』(2013)的な世界観を展開してはいない。むしろ彼女の20世紀的なモダニズムを全面的に信頼しているように思える。ここに本作の重要性がある。なぜなら現代のエクスペリメンタル・ミュージックは、未来派やダダ、シュールリアリズムなど、20世紀初頭のモダニズムへと回帰しているからだ。ダーシャ・ラッシュ『スリープステップ』(2014)などを思い出してみよう。

 機械・工業化する社会への反映として生まれた未来派やダダ、シュールリアリズムなどの芸術運動が、情報と工学と人間の問題が交錯するインターネット以降の現代社会において、切実な問題として回帰=アップデートされたのは当然の帰結といえる。
そう考えると現代のダダイスト、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー=ダニエル・ロパティンが、彼女の音楽を送りだしたのもわかってくる。そう、「新しい」モダニズムを生きる彼女への「シンパシー=共鳴」なのだ。

〈ATP〉が次の時代に見つめるもの - ele-king

 オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)といえば、2000年代のインディ・ミュージックを語る上で避けて通ることのできないフェスである。2001年のモグワイを皮切りとして、各時代の曲がり角に立つアーティストたちにキュレーターを務めさせてきたこの催しは、時を経るごとに、ただ音楽の祭典であるという以上の意味合いを強めるかに見える。それは、ポスト - ロックの地平に、ノイズ、サイケデリック、エレクトロニカ、フォーク、ヒップホップ……その他さまざまなエクスペリメンタリズムを合流させ、先の15年の音楽史においてもひとつの揺るぎないパラダイムを築いたといえるだろう。
 さて、そのATPのレーベル〈ATPレコーディングス〉から、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト、グリム・グリムのデビュー・アルバムがリリースされることが発表された。日本人アーティストのリリースとしては初となるそうだが、名だたるバンドの作品をリリースし新たな音を世に問うてきたATPが、次の時代に何を見ようとしているのか、その視線の先に注目したい。
 というわけで、8月に国内盤がリリースされるデビュー・アルバム『ヘイジー・アイズ・メイビー』の無料試聴のお知らせです。

世界中で数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)のレーベルからリリースされる初の日本人ソロアーティスト、グリム・グリムのデビュー・アルバムが6/22~6/29と期間限定で全曲試聴開始!

8月5日には日本盤の発売も決まり、元Canのダモ鈴木やTOY、Faust、Veronica Fallsのメンバーなどグリム・グリムを指示する各アーティストや著名人から声が集まっている。日本盤ボーナス・トラックにはともにロンドンを拠点に活動している盟友BO NINGENをバックバンドにフィーチャリングし、カトリック教会の聖堂でレコーディングされた楽曲を収録。

世界で活躍する孤高の天才が世に放つアシッド・フォークの傑作、ぜひ聴いてみてください!

■全曲視聴サイト
https://www.loudandquiet.com/2015/06/exclusive-stream-the-debut-lp-from-grimm-grimm/

■最新ミュージック・ビデオ「Tell The Truth」
https://youtu.be/LN90PyBs2aU

■コメント

狂騒のお茶会から飛行船で一人飛び立つ。それは宇宙船だった。
砕けた鏡を集めて作った自家製の万華鏡。それが歌だった。
不条理のループを越えて届けられた、時代の声。
コウヘイ・マツダ(BO NINGEN)

憂愁で美しいハーモニーに、エキセントリックで掴みどころのないエレメントが絶妙に溶け混ざった楽曲達。例えていうなら、突然恋に落ちて動けなくなった感覚に似ているわね。 
ジェラルディン・スウェイン(Faust)

Koichi Yamanohaによって創られる普遍的な音楽を他のアーティストと比べたり、過去に発生したムーヴメントでカテゴライズしたり比べるのは難しい。
奴は右足を過去に、左足を未来に突っ込んでいる。
ジェイムズ・ホーア (Veronica Falls)

彼の音楽には、魔法にかかったみたいに惹きつけられる力がある。呪われたオルゴールを開けて、そのメロディーを一度聞いたら二度と忘れられないだろう。
トム・ドゥーガル (TOY)

グリム・グリムを聴きながら
夢は永遠に続き 宇宙の中にとけ込んで行きます。
ダモ鈴木(ex- Can)

つい口ずさんでしまう普遍的な名曲の数々。Hazy Eyes Maybeは聴き終わると、もう一度はじめから聴きたくなるアルバム。
サイモン・フィン(Simon Finn )

「狂気に満ちた夢。怯えながらも、わたしはその夢に惹かれ続けている。Grimm
Grimmの無垢なメロディーを唱えるたびにわたしはその狂気に満ちた夢に引き込まれていく。」 
多屋 澄礼(Twee Grrrls Club)

永遠に響き渡る、アシッドで洗われたその至福
英NME紙

グリム・グリムは独りの男が、心の風車を静かに廻して奏でた音
英Q Magazine

カンタベリーのトラッド・フォークに、ダークで 不確かな無重力感がミックスされた奇跡のサウンド。
英国LOUD AND QUIET紙

■Grimm Grimm / Hazy Eyes Maybe
グリム・グリム / ヘイジー・アイズ・メイビー

発売日 : 2015年8月5日(水)
定価 : ¥2,300 + 税
品番 : PCD- 93925
解説:岡村詩野 / 歌詞対訳:Kayoko Haruyama
<収録曲>
1.Kazega Fuitara Sayonara (MV有)
2.Tell The Truth (MV有)
3.Driving Overflow
4.Teleportation
5.Last Word Is Mine
6.Hazy Eyes Maybe (MV有)
7.Robert Downey Syndrome
8.Walk Into The Cold Water With You
9.Knowing
10.Youth From Muswell Hill (MV有)
+ 日本盤ボーナス・トラック

■Grimm Grimmプロフィール
グリム・グリムは2010年に解散したイギリスのロックバンド、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト。日本詩、英詩両方の曲があり、美しくも憂愁あふれる楽曲を主体に、透明感ある歌声にテープ・ディレイがかかったアコースティック・ギター、アナログ・シンセサイザーがサイケデリックでドリーミーな独特な世界感へ広がりをみせる。14年夏にはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ等が設立したピックポケット・レコーズから7inchシングル「Kazega Fuitara Sayonara / Tell The Truth」をリリース。そしてデビューアルバムとなる今作はDIY精神溢れる姿勢により数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティー(ATP)が運営するATPレコーディングスからリリースされる。


Helm - ele-king

 UKエクスペリメンタル界の貴公子、ルーク・ヤンガーによる何気に通算6枚めのフル・アルバムは、ふたたび古巣の〈パン〉から。キナ臭い政権下に迫りくるオリンピックの不協和音にバッチリ符号してしまうアルバム・タイトルの偶然も重なり、現在の日本全体を覆う不穏なサウンドトラックとしても聴いてしまえるのは恐ろしい。

 『オリンピック・メス』は、ヘルムのトレード・マークである多種多様なフィールド・レコーディングとアコースティック・サウンドをソースとするサンプリング・ループ、モジュラー・シンセによって丁寧に構築された作品で、その奇妙なサウンドの質感が渾然一体となって浮かび上がる不穏な世界を、これまでになく音楽的ダイナミズムに富んだかたちで仕上げられている。〈エッセティック・ハウス(Ascetic House)〉からカセット音源としてリリースされた前作は恥ずかしながら未聴なのでたしかなことは言えぬが、これまでの〈PAN〉や〈KYE〉からのアルバムを鑑みれば、その12インチで聴ける具象性と抽象性の絶妙なバランス、そして見事なまでにギリギリ非音楽にならない──それゆえに広がる世界には、4次元空間的感覚とでも呼ぶべきものがあった。まるで人間が存在しない、個としての意思が定点から主観で捉える世界ではない、意思が境界を越えて拡散してゆくような……。そこには、ヘルムのレコードのデザインをいくつか手掛けてもいるグラハム・ランキン(元シャドウ・リング)の音楽にどこか通じる感覚があったわけだが、本作には完全にルーク・ヤンガーの意思や感情、それを通してこの世界を捉える聴者の個と呼ぶべき感覚が存在する。まぁ自分で何を言ってるんだかわけがわからないけども、要はこのアルバムはヘルム史上もっともポップでエモーショナルであるわけだ。

 某メディアでは〈コンパクト〉のポップ・アンビエント・シリーズやルー・リードの『メタル・マシン・ミュージック』すら引き合いに出されているがわからなくもない。ルークいわく、近年のアイス・エイジ(Ice Age)とのツアーや彼を取り囲む人々の交流に感化され、ループ・ベースであった自身の音楽によりリズムを意識したとのこと。劇的な変化、という表現は的確でないにしても、音だけ聴かされたらヘルムって思わないかも。

 蛇足だが、ヒートシック(Heatsick)ことスティーヴン・ワーウィックとルークがかつて組んでいた恐ろしいアヴァン・ハーシュノイズ・ユニット、バーズ・オブ・ディレイ(Birds of Delay)はどうやら未完らしく、今後どういったかたちになるかわからないがケリをつけたいとのこと。こちらも楽しみだ。


Matmos - ele-king

 木津毅と言えばマトモス、マトモスと言えば木津毅。ユーモアの込められたミュジーク・コンクレートの発想で1枚のIDMポップを作り上げたのは、ハーバートよりもマトモスが先だよ。先にやればいいってものじゃないけれど、実際、マトモスの片割れはハーバートのレーベルから作品出しているし、その音の採取において政治性をヒモづけてもいる。ゲイ・カルチャーの表現においても、一芸に秀でている。ビョークも一時期マトモスとはべったりだった。
 そんなマトモスが久しぶりに来日する! 四国の高知にも行くそうだし、関東では秩父でやるというから、これは観光もできるし、楽しそうだ。梅雨が明けていることを祈る。

 1年間の沈黙の後、満を持して行われる今回の「東京BOREDOM」は、ビョークのリミックスを手がけた事でも知られる実験的電子音楽デュオ”Matmos"と、ゲームパッド、ジョイスティックによる自作コントローラーでノイズとストロボライトを操る、アメリカ、ボルチモアのノイジシャン“Jeff Carey”を招いてのスペシャル版。
 舞台となるのは、埼玉県は秩父市のライヴハウスLadderLadder。その周辺の古着屋なども使っての観光地ヴァージョン。
 他の出演も、PHEW、切腹ピストルズ、YOLZ IN THE SKY、SuiseiNoboAz、ドラびでお等と超個性的な上に、当日は、秩父最大の夏祭り「秩父川瀬祭り」も行われているとのことなので、ライヴハウスの中と外両方でお祭り気分を堪能出来そう。
 また7/18には、「東京BOREDOM #11東京」と題して、今回のMATMOSのツアーの中打ちと、秩父のボアダムへ繋ぐ意味でのオールナイト・パーティが行われる。MATMOS来日ツアーのチケット(及び半券)を持参された方はチャージフリーで入場出来るとのこと。

7/20(月祝) 東京BOREDOM#11<秩父>
@秩父LadderLadder&STUDIO JOY&anbai works(古着屋)
11:30/12:30 ¥2500/¥3000(+1drink)

MATMOS (U.S.A)
JEFF CAREY (U.S.A) ×ドラびでお
PHEW
切腹ピストルズ
in the sun
GROUNDCOVER.
SuiseiNoboAz
ビイドロ
YOLZ IN THE SKY
HAVE A NICE DAY!
Bossston Cruizing Mania
GOMESS
mmm
マヒトゥー・ザ・ピーポー(GEZAN)
とうめいロボ
原嶋卓哉
DOTAMA【術ノ穴】
エンヤサン【術ノ穴】
ヒロネちゃん【術ノ穴】
ifax!【BLACKSHEEP】

<DJ>
DJ MEMAI
DJ:COGEE【BLACKSHEEP】
DJ:SUNGA【BLACKSHEEP】
kussy(fragment)【術ノ穴】

<VJ>
eetee
GENOME
…and more!!!!!

<DECO>
COLORgung【BLACKSHEEP】
<LASER>
NxOxT【BLACKSHEEP】

7/18(土All night) 東京BOREDOM#11<東京>
@下北沢THREE
23:30/24:00
charge:¥2000(+1drink)/女性¥1500(+1drink)
MATMOSツアーチケット持参:2drink\1000のみ

transkam
worst taste&specialmagic
HALBACH
otori
HIKO×bonstar
ニーハオ!
galcid+齋藤久師
GuruConnect (skillkills)
※スペシャルゲスト有り!

<FOOD>
SPICE ADDICTS
eetee

<VJ>
IROHA
GENOME

Matmos & Jeff Carey Japan Tour 2015 スケジュール

7.17 落合 Soup
7.18 西麻布 Super Deluxe
7.19 東高円寺 二万電圧
7.20 秩父 ladderladder
7.23 心斎橋 CONPASS
7.24 京都 METRO
7.25 高知 DAHLIA

 

東京BOREDOM
オフィシャルサイト
https://tokyoboredom.tumblr.com
Facebookページ
https://www.facebook.com/tokyoboredom

Matmos & Jeff Carey Japan Tour 2015
オフィシャルサイト
https://matmos2015.multipletap.com
Facebookページ
https://www.facebook.com/matmos2015


Booty Tune presents DJ PAYPAL Japan Tour 2k15 - ele-king

 シカゴのジュークは、瞬く間に世界的な音楽になった。UK、日本、そしてUSからベルリンへ。とくに DJラシャド以降は、「DJラシャド以降」という言い方が通用するほど、シーンは世界規模で拡張しているのだ。その中心には、シカゴのTEKLIFE がある。
 いや、しかし、DJ Paypalというネーミングが最高ですね。Paypalこそまさしく悪魔的なシステムです。深夜酔っぱらって、いつの間にかレコードやCDを買っていたなんてことはザラです。現代消費社会の象徴です。それをDJネームにするとは……なんて不遜な人でしょうか。
 しかも、この人のDJは、そうとうにポップなようです。
 これは期待するかありません。7月19日(東京)〜20日(大阪)です。みんなでこの謎のDJを冷やかしつつ、彼のハッピー・ジュークを楽しみましょう。

 世界を沸かす覆面ジューク DJ、ついに来日!
 ついに謎のジューク DJ が来日を果たす!  ジューク好きの間で密かに話題になりはじめた 2012年の活動開始から、この3年でまたたく間にシーンの中心に躍り出た、正体不明の覆面トラックメーカーDJ Paypal。その人を食ったDJ ネームゆえ、出演時はいつもTシャツを頭から被り、その素顔を見せることは決してない。最近、ネット決済会社の本家 Paypal から名称の未許可使用のクレームを受け、フェイスブックでも強制的に名前を変えさせられるほど、知名度も アップ中。
 大ネタを惜しげもなく使いまくる、老若男女問わず踊らせるアッパーかつポップなディスコ・スタイルは、北欧の Slick Shoota とともに現行パーティ・ジュー クのひとつの到達点と言える。自身のレーベル〈MallMusic〉からリリースされたファースト・シングル「Why」に収録された“Over”がクラブ・ヒット。さらに、新世代ベースを牽引するレーベル〈LuckyMe〉からもシングルをリリー スし、Machinedrum、Ikonikaらの著名アーティストたちのサポートを受けながら、UKベースやドラムンベースなど、ジューク・シーンに留まらない幅広い活躍を見せ続けている。2014 年からは現在のジューク・シーンの中心とも言える、シカゴ最大派閥の TEKLIFE クルーにも所属。UK の老舗レーベル〈Hyperdub〉の10周年コンピレーションにもその名を連ねた。
 今回の来日公演は Booty Tune が主宰となり、東京の大阪の 2 箇所で公演。日本勢の出演者陣もジューク・シーンをはじめ、タイトな顔ぶれがそろう。会場は、 日本フットワーク・ダンス・シーンの総本山「Battle Train Tokyo」の恵比寿KATA と大阪 Circus。全日本のジューク・ファンが待ち望んだ、ヨーロッパ最強のジューク・アーティストの来日公演。アッパーでハッピーなジュークに乗っ て、Let Me See Yo Footwork!!!

【東京】
Still Pimpin' feat.DJ Paypal
会場:KATA + Time Out Cafe & Diner [LIQUIDROOM 2F]
日程:7 月 19 日(日/祝前日)22:00~
出演:DJ Paypal (TEKLIFE, LuckyMe/Berlin, Germany)、D.J.Kuroki Kouichi、Guchon、TEDDMAN、D.J.APRIL(Booty Tune)、Dx (Soi Productions)、SUBMERSE、Boogie Mann (SHINKARON)、食品まつり aka Foodman、Kent Alexander(PPP/Бh○§†)、Frankie Dollar & Datwun (House Not House)、Dubstronica(GORGE.IN)、 Samurai08、コレ兄(珍盤亭)料金:Door Only ¥2,500 (With Flyer ¥2,000)

【大阪】
SOMETHINN vol.12
会場:CIRCUS
日程:7 月 20 日(月/祝日)19:00~
出演:DJ Paypal (TEKLIFE, LuckyMe /Berlin, Germany)、D.J.Fulltono (Booty Tune)、Keita Kawakami (Dress Down)、Hiroki Yamamura(Booty Tune)、AZUpubschool (Maltine Records / Sequel One Records)etc...
料金:TBA

■DJ Paypal(TEKLIFE, LuckyMe / Berlin, Germany)
アメリカ出身、ベルリン在住、本名不詳の謎の覆面トラックメーカー。DJ Spinn と故 DJ Rashad によって結成された世界的クルー「TEKLIFE」のメンバー。2012 年頃から徐々に頭角を現し始め、その後 Machinedrum、Jimmy Edger、Ikonika、Daedelus らからの熱烈なサポートを受け、そのキッチュな 名前に違わぬプロップスと実績を積み上げてきた。イーブンキック主体のサン プリングジュークを得意とし、アッパーかつポップなトラックメイキングで、 Juke/Footwork の枠を超え、多くの DJ に愛されている。これまでも前出の アーティストのほか、同じ TEKLIFE の盟友、DJ Earl や DJ Taye、DJ Rashad らのほか、Nick Hook や Sophie などともコラボ、リミックスワーク などを手がけている。
※20 歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。(You must be 20 and over with photo ID.)


New Order - ele-king

 

 シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ、石野卓球、この3つに多大な影響を与えたポストパンクのUKのバンドは? 答:ニュー・オーダー。毎週月曜日の朝になると頭のなかでかかっている曲は? 答え:ブルー・マンデー。女(男)と別れる度に聴く曲は? 答:リグレット。

 ピーター・フック抜きのニュー・オーダーのライヴの評判がやたら良かったし、オールドファンにはまさかの〈ミュート〉レーベル移籍の第一弾です。ここは期待しちゃいましょう。ニュー・オーダーの10年ぶりのオリジナル・アルバムが9月23日にリリースされることが決まりました。アルバムのタイトルは『ミュージック・コンプリート』です。
 メンバーは、バーナード・サムナー、ジリアン・ギルバート、スティーヴン・モリスの3人+新ベーシストのトム・チャップマン、フィル・カニンガム。全11曲のうちの2をトム・ローランズがプロデュース、うち1曲を共作しています。アートワークはもちろんピーター・サヴィル。
 2000年代に入ってからの2枚のアルバムが、どちらかと言えばロック色が強かったものの、最近のジェイミーXXのアルバムのように、ダンス・ミュージックがポップ・カルチャーとなっている現状において、マンチェスターの大物がどのような作品を出してくるのか、注目したいと思います。

 続報を待て!

(※なんと、ele-king booksからはバーナード・サムナーの自伝『Chapter and Verse - New Order, Joy Division and Me』の翻訳本を新作と同時期に刊行する予定です)

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