「Nothing」と一致するもの

Black Knights - ele-king

 N.W.A.の伝記映画、『ストレート・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)』が先月半ばに公開され、大ヒットを記録しているようだ。ヒップホップ史に残る同名タイトルの名盤も26年ぶりにアルバム・チャート上位に食い込んでいるとか。ぜひとも日本公開が待たれるこの作品、ポリス・ブルタリティーへの抵抗の声が高まる本国の若者にはどのように映るのだろうか。

 ブラック・ナイツのラグド・モンクと射殺された元メンバーのドック・ドゥームもまたコンプトン出身のラッパーであるが、ブラック・ナイツのラップは西海岸のサグさと東海岸の哲学性を合わせ持ったドープなリリックが特徴でもある。ジョン・フルシアンテによる2作めのプロデュース作品である本作で聴けるNWAやブギー・ダウンのようなオールド・スクール・ヒップホップが彼の感性で変容したトラックとの相性は抜群だ。

 BPMが変容してゆくトラックやジョンのギター・ソロが大々的にフィーチャーされるトラックなど、ロック畑のヒップホップ・アルバムのプロデュースを超えた実験的な内容となったのは、近年におけるジョンの電子音楽製作からの影響も大きいのかもしれない。

 また、ヒップホップ音源の製作においても対面することなくインターネット上でのトラックとラップのやり取りが通常である近年において、このコラボレーションのように生活をともにしながら製作された作品は素晴らしい。僕の知るLAのミュージシャン・シップこそここにあるのだ。

 じつは前作、『メディエヴァル・チェンバー』のリリースの時点で本作と次作アルバムまで完成しているようで、われわれはこのコラボレーションのさらなる変容を聴けることを約束されている。

BASS WORKS RECORDINGS presents Terry Farley - ele-king

 UKミュージックの格好良さというのは、ある意味ではジョー・ストラマー的開かれ方──ロックから入って、ソウル、レゲエ、ジャズ、ファンク、そしてディスコやハウスへとどんどん広がってくことだろう。そう、どんどん広がってはいくが、何でもアリってものではない。そこには厳密な、枠組みがある。それはファッション雑誌のモデルのような服装など、間違ってもしなことと似ている。
 〈ボーイズ・オウン〉というレーベルは、そういう意味で何から何までUKらしいレーベルだった。音楽の選び方、服装の選び方、フットボールへの愛情……何から何まで(ちなみにこのレーベルを母体に、後にアンダーワールドやケミカル・ブラザースが世に出て行く)。
 そのレーベルの創設メンバーのひとりだったテリー・ファーレイ、大ベテランのDJがスギウラムの〈BASS WORKS RECORDINGS〉主宰にて来日します。
 9月19日、場所は表参道 ARC。最高の夜になります。

■BASS WORKS RECORDINGS presents Terry Farley
9月19日(土曜日)
22:00 open/start
3,000 YEN w/1D
DJs : Terry Farley, Sugiurumn, Chida
info : https://clubarctokyo.com

※テリー・ファーレイの来日を記念して、2010年にHORIZONからリリースされたSugiurumnの名曲ACID 2 ACIDのTerry Farley & Justin DrakeによるリミックスをBass Worksよりデジタル・リイシュー。

テリー・ファーレイ

 ジュニア・ボーイズ・オウン(Junior Boys Own)レーベルの創設者であるロンドン出身のテリー・ファーリーはアンダーワールドとケミカル・ブラザースをこの世界に紹介した功績で知られている。彼は80年代後半からUKクラブ・カルチャーのオリジネイターとして現在まで活動続けている。

 彼のスタイルは30年以上変わらずアンダーグランドであり続けている、50年代のスカ、レゲエ、60年代のソウル、70年代のファンクとレア・グルーヴ、そして80年代のシカゴ・ハウスとアシッド・ハウス、彼が熱心に追い続けてきた音楽はすべてパーティーのためのダンスビートだ。

 ボーイズ・オウンはテリーと友人のアンディ・ウエザーオールやアンダーワールドのマネージャーであるスティーヴ・ホール、パーティ・オーガナイザーであるサイモン・エッケルトらにより創設され、アンダーグラウンドなパーティやストリート・ファッションに関するファンジンの創刊、リアルなパーティのオーガナイズ、さらにレーベルを立ち上げる。その後本格的なレーベルとしてジュニア・ボーイズ・オウン(以下JBO)を創設、ケミカル・ブラザーズ、アンダーワールド、エクスプレス・2など数多くのアーティストを世に送り出した、彼はイギリスのクラブ・カルチャーの土台を作った世代の中心人物だ。

 2013年に彼が監修した初期アシッド・ハウス、シカゴ・ハウスの5枚組コンピレーション『アシッド・レイン』はディスクロージャーやエックス・エックスなどの新世代がディープ・ハウスを再発見、再構築してゆくなかで大きな話題となり、2014年には第二弾である「アシッド・サンダー」が発売となった。


※〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉のスギウラム、インタヴュー(取材:与田太郎)

 2013年のスタートからこのおよそ2年間、毎週新曲をリリースするというクレイジーな偉業を続けてきた〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉。2015年4月に品番100を超え、この夏から新しいフェーズに突入した。以下、ライター/DJの与田太郎が、その主宰者スギウラムにインタヴュー。
 レコード・ショップの閉店、配信への転換、フェス化するクラブ・シーン、Apple Musicなど急激に変わりゆく音楽やシーンなどなど、アクティブでしかもユーモアを持ってぶつかってきた彼に訊いてみた。

■いよいよ新章スタートっていう感じだね、すごいエネルギーで動いてそうだけどいろいろ大変でしょ?

スギウラム(以下、S):いま、大変だよ。いろいろあるけど、レーベルの運営とかパーティをやっている人たちのマインドが会社の仕事としてやってるか、個人の運営なのかで全然違うのが大問題なんだよね。みんななにか新しいことをやろうって言ってるけど、それがもう全然違うって言うか。100番まで来て、なにか変えようと思ったんだよね。もう毎週出すのもいいかなって。やっぱりリリースごとにもうちょっと注目してほしいし、毎週だとかなりスルーされちゃうんだよね。

■でもいまオーディエンスはレーベルを追っかけるっていうより、それぞれのトラックやアーティストでチェックしてるからなんじゃない? それでもベース・ワークスの毎週出すっていう姿勢はすごいと思う、続けられるなら続けてほしいけどね。ジャンルにもとらわれない感じも面白かったしね。

S:でも、その役目はもう果たしたような気もするんだよね。それに、実際いま音楽そのものが盛り上がってないんだよね、みんな新しいものを探してないっていうか。配信だろうがCDだろうが、ヤバイ音楽だったらみんなチェックするでしょ、でも以前のようになにか面白いものを探してる人も減ってるみたいだし。

■そうだね、そういう人は減ってるだろうね。みんな特定のカテゴリーしかチェックしないもんね。俺はむしろダンス・ミュージックやパーティーに出会っていろんな音楽を聴く楽しみを知ったけどね。

S:そうだよね。でもレーベルの話に戻るけど、まわりからいろいろ聞かれるんだよ、「毎週出すことになんか意味あるの?」とかさ。じゃあ意味あるものってなんだよ、とか思いつつ、でもそれもわかるっていうか、ひと昔前と比べてもみんなほんとに音楽買わないもの。メジャーのレコード会社ってどうしてるんだろうね?

■過去の膨大なカタログを少人数で回すことでやってるんだと思うよ。あとはマネージメントやイベント制作も始めてるし。そういう会社の仕事とは関係ないところでやってるなら毎週リリースは続けてほしいけどね、無理にやる必要はないけど。

S:そうだね、でも時々「来週のリリースがない!」みたいな時に、いつも俺が曲を作らないといけないかったりするからね。アルバムの制作が全然進まないんだよ(笑)。あとはほんとに手応えがないんだよね、前は良くも悪くもいろんな反応があったんだけど、いま全然ない時もあるから。ちょっとペース・ダウンするぐらいがちょうどいいのかなとも思ってるんだ。前はエネルギーが有り余ってたから、とにかくなにかやってないと気が済まなかったけど、最近は考える時間もあってちょうどいいと感じてるんだ。

■俺たちも30年ぐらい音楽やってるけど、なにかになるのは50年ぐらいからかもね。なにかになろうとも思ってないし、やめられもしないけど。

S:そうだね、ずーっと面白くなくなったら辞めると思ってたけど、そんなことまたく思わないね。それが情熱ってことだよね。

■ DJってさほんとに凄い瞬間作れるからね、あの体験してしまうとやめれないよね。

S:それをまた忘れちゃうしね(笑)。

■だから毎週リリースは続けてほしいんだよね、自分たちもそうだったようにベース・ワークスはいつも誰かを巻き込んでいてほしいっていうかね。それに誰にでも声かけれる人って杉浦くんしかいないんじゃない?

S:いや、もう全員に声かけたけどね(笑)。なかなかむずかしいんだよ。一緒にやってる、Nao NomuraとOSAKAMANは最高だよ。ほんとお互い助け合ってうまくやってるよ。このメンバーじゃなかったら絶対出来てなかったと思う。他にこんなくだらないことやる人いないしね。与田さんも前から言ってたけど、続けていくには工夫が必要じゃない? いまはその工夫も大変でさ、アイデア考えるのも。どうやったらわかってもらえるかなんだけど、情報がありすぎて難しくなってるよ。パーティーの仲間やオーディエンスに面白いやつはいっぱいいるんだけどね、そういうやつらが知らないっていうとちょっとうれしかったりするんだけど。だた、そういう人たちに気づいてもらうって、別のエネルギーがいるからね。
 塩屋亮潤っていうお坊さん知ってる? 千日回峰行っていうこの1300年で二人しかできなかった修行をやりとげた人なんだけど。千日回峰行は7年ぐらいかけてやるんだけど、毎日30キロとか40キロを歩く修行でさ、間に9日間、飲まず食わず眠らずっていう期間があって、やり遂げるのがほんとに難しい荒業で。それをやったお坊さんが本を何冊か書いてて、これがほんとに凄いのよ。ほんとの話が一番凄いっていうね。心の強さがハンパないんだよ。千日回峰行ってさ1日も休めないんだよ。だからいつも短刀と首を吊る紐を持ってるわけ、やめるときは死ぬときなんだ。世界的な探検家とかさ、凄い人の話をいっぱい聞いたけどこの人の話しとアントニオ猪木自伝が一番凄かったよ。

■毎週リリースも千日回峰行みたいなもんだからね。

S:そうなんだよ、それにグっときちゃってさ(笑)。

■そうだね、俺も杉浦くんの「ライバルは少年ジャンプだから」って言葉にグっときたからね(笑)。

S:この塩屋亮潤の言葉がさ、「私は人に夢と希望を与える仕事をしている。同情されたらおしまいだ」ってほんとカッコイイんだよ。同じような話なんだけど、日本一掃除がうまいおばさんの『プロフェッショナルの仕事』見た?

■(笑)見てない。

S:メチャ面白かったよ、中国から日本に帰化して働きはじめるんだけど、厳しい上司の下で働くんだよ。ものすごくがんばって、掃除のコンテストに出て優勝するんだ。それを上司に報告したらさ、その上司が「あなたが優勝することはわかってました」っていうのよ。そのシーンが最高で(笑)。そのあとに今度は羽田空港で窓拭きのプロの人がでてくるんだけど、そのおばさんも羽田で働いてるから、番組が窓拭きの人に会わせるんだ。そしたらさ、窓拭きの人が見たこともないような道具を使って仕事をしてるのを見て、「かっこいいー!」っていうのよ、(笑)最高でしょ。

■(笑)最高だね。でもそのお坊さんでも、掃除のおばさんでもなにか突き詰めたら喜びも発見できるし、見えなかったものが見えてくるっていうのはそうなんだね。DJもパーティもそうだもんね。

S:ほんと今の状態ってすべてが重なった結果だと思うんだ、震災とかレコード・ショップがなくなったりさ、誰でも簡単に曲が作れるようになったりとか、iPhoneで音楽聴くようになったり、風営法のこととかね。この数年間で同時に重なった出来事の結果、いままでのやり方が難しくなったよね。でも、俺ってほんとにもうだめだって思った時になにかが見えるんだよね。だからさ、制作費もリミックスとかでも予算がなくったけど、自分ですべてやることでエンジニアリングやマスタリングの技術もわかってきたし、なによりひとりで作るのが楽しいんだよね。
 俺さあ、いろんな場所でいつも一番最後まで元気なんだよ。それがね、俺よりも元気な卓球さんに会って(笑)、「あれ!」俺と同じ人がいる!って思ったんだよ。それにすごい勇気づけられたよ。最近またそういう元気な人が周りに増えてるような気がする。

■それは、そういう人が残ってるからじゃない(笑)。

S:まさにスティーヴ・ジョブスのアップルの宣伝だよね、あの「クレイジーな人たちがいる~Think different」の。これからまた盛り上がってほしいよね、パーティーも。

■波みたいなものだからね。

S:どういうふうに盛り上がるんだろうね?

■でもそれが想像できた試しがないね。

S:そうなんだよな、いつも予想外の流れがやってくるのが面白いよね。新しい科学反応っていうか、それがまた面白くて続けてられるってこともあるからね。特にいまは音楽だけじゃなくって世の中全体があんまりよくないじゃない。ネットで起きてることも、みんな極端なことばかり主張するから普通に常識のある人たちが黙るようになってるし、ほんとはそういう人の声も響いてほしいんだけど。

■そういうタイミングがきっと来ると思いたいね。

S:それが俺の続けていられる理由なんだ、この先になにかがあるって感じてるんだよね。ちょっと前まではそれが見えなかったんだけど、ようやくこの先に来るものを見るまでとてもやめられないって気がしてきたんだよね。なんなのかはわかないんだけど、これから面白いことが起きるって感じが凄いんだよね。それが原動力になってる。

■もう25年ぐらい続いてるからね、楽しいと思いながらやることが。

S:そうだね、90年代前半から姿勢は変わってないからな。でも俺の場合はいつも時代からちょっとずれてるんだよね、渋谷系にも入れてもらえなかったし。高円寺生まれだからいれてもらえなかったんだろうな(笑)。

■杉浦くんはもともと渋谷系とかを目指したわけでなくて楽しいことを追っかけてただけだしね、それは俺もそうなんだけど。

S:そのままやってきて、残っている人とは話が通じるしね。リッチー・ホウティンがいいこと言ってたんだけど、なんでパーティをやってるのか聞かれて、「自分とおなじような人を探すため」って言ってたんだよね。それよくわかるんだよね、自分とおなじような感覚をもってるやつをずっとさがしてるって、ほんとそれだと思うんだよ。

■ずーっとそうだよね、杉浦くんのやってることを場面ごとでしか知らないとわかりにくいけど、全部の流れでみると全然変わってないもんね。

S:俺も常に新しいものっていうか、ヤバいものを探してるからやれてると思うんだ。バンドの時でも、ハウスの時でもあったことだけど、ある程度経験したら同じことをちょっと変えたりしたらこなせる瞬間ってあったんだけどね。でもどうしても全部捨てて新しいことに突っ込んじゃうんだよね。それからしばらくはほんと大変なんだけど、まさに苦行っていうか荒業だよ(笑)。DJはじめた時も、レーベルでもそうだけど、わかってもらうのに時間かかるからね、こっちが本気だってことをね。

■ジャンルやカテゴリーの問題じゃなくて生き様の問題だね。

S:どうなるんだろうね、これから。

■まったくわからないね、ほんと予想できない。

S:この10年ぐらい、パーティーにアンセムがないじゃない、みんながかける曲ってなくなったよね。特にジャンルをクロスオーバーするような。それってDJもいろんな音楽を探してないってことだよね。そういう曲がないのか。

■フェスや大きなイベントで盛り上がることとクラブ・カルチャーが別のことにもなってるし。もっとクローズドなパーティが増えてもいいと思うんだけど。

S:それも難しいかな、俺たちの世代はまだ日本にないものが多かったからね。自分たちで始めるしかなかったことが多いけど、いまは型だけだとしても全部あるから。情報すらなかったのはよかったのかもね。想像力使ったし、本気で憧れたもん。

■杉浦くんはまだその情熱が続いてるね。ところで杉浦くん、自分の昔の曲聴く?

S:まったく聴かない(笑)。まえはエレクトリック・グラス・バルーンの曲とか、スギウラム初期の曲とか恥ずかしいとか照れくさいってのがあったけど、いまはまったくないね(笑)、むしろかわいいっていうか。

■昔から聴かないよね、自分の曲。

S:そうだね、だからクラブで曲聴いて「お!この曲かっこいい」って思って「この曲なに?」ってDJに聞いたら自分の曲だったってことよくあるよ(笑)。とくにこの1~2年は多いね。ほんとメチャつくってるからね。それでベース・ワークスが100リリースになったから自分の曲とリミックスが何曲あるか数えてみたら74曲もあったよ!(笑)。それプラス、このまえのアルバムだからね。他のレーベルで作ったリミックスとか入れたら100曲ぐらいあるよ、この1年半から2年で。だから3日に1曲は作ってるんだよね、そりゃスキルもあがるよ(笑)。

■はやくそうしてればよかったのに。

S:そうなんだよね、やっててほんと面白いよ。エンジニアリングとかメチャ向いてると思うもん(笑)。こんな面白いことを人にやらせてたなんて!(笑)。DJでもほんと自在にできるようになったし、レーベルも始めたしね。

■成長しつづけたんだ(笑)。

S:そういう流れが大事だったかもね、リッチー・ホウティンも〈コクーン〉から出て自分のエンターはじめたみたいな。俺と同い年だし、リッチー、リカルド、ダブファイヤー、みんな同級生なんだ。でも、ダレン・エマーソンは年下なんだよ、おまえ何歳で「REZ」作ってるんだよって。うらやましいよね。すぐそこにあるってさ。でも日本人って見た目が若いじゃない、それでカルチャーの遅れを取り戻せるって気がしてるんだよね(笑)。俺なんか海外で44歳にみられたことないからね、アメリカで酒買うときにパスポートみせると、店員が「すいませんでした!」って感じだから。

■杉浦くんは見た目とかでなくて本当にパワーあるから大丈夫だよ(笑)。

https://sugiurumn.com/
https://bass-works-recordings.com/

後日談:結局〈BASS:WORKS:RECORDINGS〉は毎週リリースを継続中! 9月のラインナップは以下の通り。

9/2 Lyoma Captured / mudhand (BWR112)
https://soundcloud.com/…/sets/lyoma-caputured-mudhand-bwr112
9/9 BBL Minako'S:Snare / Going Out (BWR113)
https://soundcloud.com/…/sets/bbl-minakos-snare-going-out-b…
9/16 SUGIURUMN ACID 2 ACID Terry Farley and Justin Drake NY After HourS:Remix (BWR114)
https://soundcloud.com/…/sugiurumn-acid-2-acid-terry-farley…
9/23 OSAKAMAN Colombia / Guatemala (BWR115)
9/30 SUNSEAKER 589 (BWR116)

この夏、聴き逃した5曲。 - ele-king

 訳あってギター・サウンドばかり聴くはめになり、ゴジラ・エル・ニーニョ(今年のアメリカではそう呼ばれている)とは無関係にぐったりとしている。ベースが懐かしい。トランペットが聴きたい。しかし、僕の前に立ちはだかるのはギター・バンドの山である。ぐあー。それでも次から次へと聴いていくうちに耳に残るものがあるから音楽というのはオソロしい。それもかなり真っ当なポップ・ソングばかりである。どうなってしまったんだろうか、僕の耳は。こうやって集団的自衛権にも慣れて……いや。


1 Jaill / Getaway

よく知らない人たち。アルバムのほかの曲はどれもイマイチでしたが、これは1日1回聴いてしまいます。

2 Destroyer / Dream Lover

長いキャリアの人で、いままでは妙にしみったれていたのに、なぜか急にゴージャス。

3 Drinks / Hermits On Holiday

意外な顔合わせというやつです。ケイト・ル・ボンとホワイト・フェンス(ジー・オー・シーズ)が新バンドを結成。

4 Travis Bretzer / Lonely Heart

カナダからマック・デマルコを甘ったるくしただけ?

5 The Last Hurrah!! / The Weight Of The Moon

オーソドックスなものに耳が慣れきってしまったみたいで、これはノルウェイから。

おまけ。

■Beach House / Sparks

すっかり変わり果てたビーチ・ハウス!

■Astronauts, Etc, / No Justice

おまけのおまけ。ポスト・ビーチ・ハウスだとか!

ノー・ギャグ・ノー・ライフなのだ!! - ele-king

 タワーレコードの意見広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE!」ポスター最新版に、故・赤塚不二夫の登場が決定した。
 これは赤塚の生誕80周年を記念するものでもあり、氏の誕生日である9月14日(月)には『赤塚不二夫 実験マンガ集』(著者:赤塚不二夫、解説あらためインタビュー取材:石野卓球)と『破壊するのだ!! 赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ』(著者:高平哲郎、三上寛、坂田明、奥成達、足立正生、山下洋輔他)が同日発売となる(買ってね!)。

 この最新版ポスターは、9月14日(月)よりタワーレコードおよびTOWERmini全店にて順次掲出予定。手書き文字「これでいいのだ!!」のプリントにもグっとくる。ぜひ探してみてください。

■『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ)』
著者:高平哲郎/三上寛/坂田明/奥成達/足立正生/山下洋輔ほか
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-907276-38-6
ページ数:224頁
判型:並製/四六判
発売:9月14日(赤塚先生の生誕日)
刊行:ele-king books

■『赤塚不二夫 実験マンガ集』
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-907276-39-3
ページ数:384頁
判型:並製/B6
発売:9月14日(赤塚先生の生誕日)
刊行:ele-king books

※タワーレコードなど一部の店舗では、書籍購入の先着特典として、


『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ)』には「実物大のバカボンなのだ」から1コマ・ステッカー

『赤塚不二夫 実験マンガ集』には「サイケ・サイケビーチにて」から1コマ・ステッカー

を進呈なのだ!!

■商品情報はこちら


Cornelius - ele-king

 コーネリアス(=小山田圭吾)の音楽は、いつ聴いても、何を聴いても、まるでアイコンを認識するように一瞬にしてわかる。あの星の輝きのような音……!
 その傾向は97年の“スターフルーツ・サーフライダー”から随所になり、01年の『ポイント』から06年の『センシュアス』の間にかけて確立されていったように思える。彼は楽曲をまるでサウンド・ロゴのようにデザインしていくのだ。

 本作は、2010年代前半におけるコーネリアスが手がけたリミックスや参加曲などを集めたアルバムである。坂本慎太郎やサリュ×サリュ、ゴティエやペンギン・カフェ、さらにはサカナクションのリミックスからザ・バード・アンド・ザ・ビーやコーラルレイヴンとのコラボレーション曲まで多彩な楽曲をアルバム一枚に収録している。
 声だけの参加曲やコーネリアス自身が手がけていない曲(大野由美子氏による1曲め!)も収められているのだが、にも関わらず「いまのコーネリアスのモード」をアルバム一枚通して聴いたという満足感がある。〈トラットリア〉がリリースしたレーベル・コンピレーション盤を思い出しもした。

 よくオリジナル・アルバムのリリースについて質問されているコーネリアスだが、これだけの楽曲を2010年代前半に残しており、そのうえYMO関連への参加、CM音楽、サリュ×サリュのアルバム・プロデュース、『デザインあ』や『攻殻機動隊ARISE』『攻殻機動隊 新劇場版』の音楽など多岐にわたる仕事を展開していたのだから、むしろ「オリジナル・アルバム」という概念こそが、2010年代も後半に突入する現在においては、「幻想」ではないかとも思えてしまうほどだ(当然ファンとしては期待大ですが!)。
 00年代から10年代にかけて、いわば音楽を取り巻く状況が大きく変化していく時代のなかでコーネリアスは、さまざまな仕事の領域で自身のサウンド・アイコンを刻印するように音楽を作り続け、オリジナル・アルバム・リリース「だけ」にこだわらない新しい音楽家像を実現してきたのだ。むろんサウンドロゴのような明確な強さが楽曲にあったから可能だったこと。

当然、本作の収録曲にも「視認性の高い音」が横溢している。時間が逆行するような坂本慎太郎のリミックス、声の力を存分に生かしたサリュ×サリュ、ゴティエのミニマムなリミックス、両者の無駄なく個性が融合しているザ・バード・アンド・ザ・ビーとの共作、小山田圭吾の声の魅力を再確認できるコーラルレイヴンとのコラボレーション、ニューウェイヴとコーネリアス・サウンドの合体といえるプラスティック・セックス、原曲のフォーキーな魅力を引き出したサカナクションのリミックスなど、どの曲も、どの音も、曲順も、綺麗に整理され、配置され、再デザインされており、同時に、水のような自然さで耳に浸透していくのである。

 とくに注目したい曲は、アンビエント・ポップなペンギン・カフェのリミックス“ソラリス”と、小山田圭吾のヴォーカルを堪能できるリトル・クリチャーズの“ナイト・ピープル”のカヴァー、アレンジの妙を聴かせるサカナクションの“ミュージック”のリミックス、夜の月を思わせるアンビエントな新曲“トーキョー・トワイライト”だ。これらのトラックは、アンビエントとファンタジーとギター・ポップ/ネオアコへのコーネリアスなりの回答のようにも聴こえてしまう。私などは、そこに「コーネリアスの新しいモード」の萌芽を感じてしまうのだが……。

 それにしても、本作を何度も繰り返し聴くにつけ、コーネリアスの音楽は環境=社会の中で鳴るときサウンド・アイコンとしての効果を強く発揮するようにも思えてならない。たとえば電車やバス、エレベーターの音などをコーネリアスが作ったら? と考えると楽しい。ポップであることは機能的であり、それゆえ環境的に作用する。その意味でコーネリアスはブライアン・イーノにもっとも近いポップ・アーティストかもしれない。

 そろそろヒップスターの話をしよう。ヒップスターとは、ブルックリンは、ウィリアムスバーグやブッシュウィック辺りに生息する新感覚を持ったヤング・キッズの事。男の子はチェックのシャツや、短パンを履き、少しヒゲを生やしていたりする。女の子は、ショート・パンツやデニムシャツを着たり、ワンピースだったり、バンダナを可愛く首に巻いたり、ポニーテールにしている。クリーンで、オーガニック思考で、アートと音楽が大好きで、タトゥーが入っていて、Lトレインに乗るとこういったヒップスターがたくさんいる。
 以前はベッドフォード・アヴェニューを歩くとヒップスターにぶつかった。いまはブシュウィックやベッド・スタイ、リッジウッド辺りに散らばっている。わかりやすいところでいうと、ロバータス(ピザ屋)ドウ(ドーナツ屋)などの人気店で働いている人たちや友だち。
 もちろん、誰も自分がヒップスターであるとは思っていない。「ヒップスター」とは、他人を語るときに皮肉を交えて使う言葉である。日本でいうオシャレさんという感じでしょう。ただ、ブルックリンのコラムを書く上で、ヒップスターは切っても切れない。
 私がお店に行ってまずチェックすることは、ヒップスターがいるかどうか。ヒップスターがいるとこの店はオシャレなんだと思うし、いなければ少しホッとする。イコール良い店とは限らないが、判断材料になる。先日、ヒップスターの聖地と噂を聞いていたレストラン〈do or dine〉に行った。

 オープンした当時は、ヒップスターがオープンしたレストランと賛否両論だったが、ハイプも冷めた4年目にして初挑戦。外観は、昔のデリの看板そのまま、入り口を入るとドクロのウエルカム・マットがお出迎え。中を通ってバックヤードへ行くとゆったりした雰囲気で、テーブルや椅子、屋根まで手作り感が溢れ、巨大な壁画が描かれている。メニューはフュージョン・アメリカンでフォアグラ・ドーナツとヘン・アンド・ワッフルが人気だが、ニッポン・ナチョス(=まさごサワークリーム)やE666S(=デヴィルド・エッグ)、ポンド・ウィング(=蛙の足のフライ)、ジェリーフィッシュ・サラダなど、興味そそられるメニューが並ぶ。シェフ/オーナーのジャスティンは、フードネットワークの次のスターだとも言われ、自分の料理本「ザ・ロウ・オブ・クッキングーハウ・トゥ・ブレーク・ゼムー料理の法則、どのように破るか」を出版している。例えば、甘いと酸っぱいハーブと油、ファンキーと新鮮さなど、普通では考え付かない組み合わせを楽しませてくれる。デザートはスニッカーズ・バーの袋のまま、サーブするご愛嬌。「ナプキン・リングなんて使う必要ないんだ、みんなリアルな食べ物を求めてるのさ」とヒップスターらしきコメント。ドリンクはビール、ワイン、リカーなどフル・バーですが、ドラフト・ビールはなしで、キャッシュ・オンリーなところが、インディ感を醸し出していた。

 料理本と言えば、ミュージック・ブルースでドラムを叩いているブルックス・ヘッドレイも少し前に、ロックンロール料理本『ファンシー・デザート』を出版している。デル・ポストというハイエンド・イタリアン・レストランのシェフだが、彼はその以前に、パンク・ドラマーとしての顔を持つ。ユニバーサル・オーダー・オブ・アルマゲドン、ボーン・アゲンスト、スカル・コントロールなどの由緒あるパンク・ヘビー・バンド、いまはノー・エイジやミカ・ミコのメンバーが参加するC.R.A.S.H.やハーベイ・ミルクのベーシストでもある。そしてミュージック・ブルースのステファン・タナーも、NY一美味しいフライド・チキンを作るシェフである(ただいま引っ張りだこ)。


Justin @do or dine

 音楽も食も基本アートセンスが必要なので、〈do or dine〉のような法則を破るシェフが現れるのも彼のバック・グラウンドがミュージシャン/ヒップスターだからである。そんな新感覚なレストランでは、夜な夜な面白いDJイベントが行われたり、レストランを貸し切ってパーティしたりと、普通のショーに行くより、楽しさを倍約束してくれる。


Justin's cook book "law of cooking"

interview with Tigercub - ele-king


Tigercub
ミート・タイガーカブ

Pヴァイン

Indie RockGarage

Tower HMV Amazon

 音楽不況云々、CDが売れなくて云々、専門誌も減って云々……などという話題はもう耳タコかもしれないが、それは産業としては(そんなかたちでつづけることに)無理があるでしょうというだけの話で、むろん音楽そのものになんら瑕疵があるわけではない。それが文化の真ん中で巨万の富を築くツールではなくなったというだけで、のびのび、勝手に、雑草みたいに、新たな音は日々生まれてきていて、生まれてき過ぎなほどだ。

 考えてみればレコードなりCDなりというかたちで音楽が売り買いされていた時代のほうがその長い歴史の中では特殊というか、むしろいまはカネにならなくなったぶん、音楽もアーティストもそもそもの自由さを取り戻しているとさえ言えるかもしれない。ここ最近のインディの充実ぶりを見ても、あるいはネットに音源があふれかえっていることを考え合わせても、「売れなきゃいけない」というオブセッションはほぼ崩されていて、音楽はやり手にとってもっとずっとよい距離で楽しまれているように見える。

 それは、なにが自分にとって楽しいか、ということが素直に優先される環境でもある。新しいものをつくらねば、モードに乗らねば、いや、モードを出し抜かねば、みたいなことはさほどの問題ではなくなって、時代も洋の東西も関係なく、というか、すべてそれらが一並びで定額な環境下で、あるスタイルを選択することに以前ほど社会的な意義もなく、リヴァイヴァルという言葉さえいよいよ空転しはじめた。

 そしてわれわれは前置きなくタイガーカブを聴く!

 タイガーカブはシンプルだ。UKはブライトンの3人組ロック・バンド。聴けばわかるというお手本でもあり、しかし「あえてオシャレに2分間のポップスの永遠性を再現する」という手合いの作為性も感じられない。まだアルバムすら持たないニュー・カマーだが、ブラッド・レッド・シューズが新たに立ち上げたレーベルからシングルをリリースしたり、彼らのライヴのオープニング・アクトとして起用されるなど、期待と注目が寄せられているさなかである。

 今回はこれまでにリリースされた2枚のシングルにB面や未収録曲を収録した日本独自企画盤がリリースされた。これをアルバムとして評価することは難しいが、案外、できてみればこんな感じかもしれない。「アルバム」よりは「曲」をつくり、演奏とコミュニケーションを大事にする、粗暴ではないけれど気取らない、ビートルズが好きな、愛すべきバンドなのだ。もちろんそれは「いい曲」が詰め込まれたものになるだろう。

 なんてそのまんまニルヴァーナなんだろう、いや、ザ・ヴァインズを経由しているだろうか、そうすればたしかにビートルズも透けて見えてくる──カート・コバーンやクレイグ・ニコルズのようなカリスマがいるわけではなく、インタヴュー内でもソニックスの名が挙がっているようにガレージ色が強め。本当にシンプルなバンドだ。

 以下をお読みいただければ、「なぜこんな音を?」を筆頭とした筆者のいくつかの「なぜ」がすべて壁打ちに終わっているのがおわかりいただけるだろう。なぜもなにもない。好きな音を、その内側で謳歌しているのだ。そのまんま聴いて楽しい、スタイル選択にけれんみのない、ゆえにこちらも何も考えずに身をまかせられるロックだ。長らく、それには何かしらの前置きが必要だったけれども。

■Tigercub / タイガーカブ
2013年に結成された、UKはブライトンの3人組。メンバーはジェイミー・ホール(Jamie Hall / guitar, vocals)、ジェイムス・ホイールライト(James Wheelwright / bass, backing vocals)、ジェイムス・アレクサンダー(James Alexander / drummer)。2014年、デビュー・シングル「ブルー・ブラッド(Blue Blood)」が注目を集め、同年、ブラッド・レッド・シューズが立ち上げた〈ジャズ・ライフ〉からセカンド・シングル「センターフォールド(Centrefold)」をリリース。翌2015年には名門〈トゥー・ピュア(Too Pure)〉からもシングル「You」を発表。ロイヤル・ブラッドやブラッド・レッド・シューズらのオープニング・アクトとして抜擢されるなど、フル・アルバムをふくめ今後の活躍が期待されている。

アメリカン・ハードコアや90年代グランジのバラ色のメモリーは音楽のドキュメンタリーとか再放送で情報を集めて結んでいった感じかな。(ジェイミー)

みなさんは何年生まれですか? グランジはリアルタイムで体験しています?

ジェイムス・ホイールライト(以下James):1986年、ワールドカップのアルゼンチン対イングランドで”神の手”事件が起きた年に生まれた。最初のグランジ・ムーヴメントで記憶にあるのは、「kids in flannel」のシャツとニルヴァーナがTVに出ていたこと、でも当時はまだ本当にガキだったけど! フー・ファイターズのファースト・アルバムを買ったのはおぼえてる。そこが自分にとって最初の入り口だった。

ジェイミー・ホール(以下Jamie):俺は1990年生まれ、イギリスの北にあるサンダーランドで育った。グランジがメインストリームをヒットした当時なんてまだ子どもだったから、アメリカン・ハードコアや90年代グランジのバラ色のメモリーは音楽のドキュメンタリーとか再放送で情報を集めて結んでいった感じかな。

同年齢くらいのまわりの人びとは、多くがアメリカン・ハードコアやグランジのバンドたちの作品を聴いているのですか? それともあなたたちが孤立しているのでしょうか?

ジェイムス:俺たちが住んでいるブライトンは音楽的にとてもアクティヴな町だから、友だちもハードコアやロックにハマってるやつらばかりだよ。俺が育ったレディングでは、たしかにもっと孤立しているように感じてたね。

ジェイミー:サンダーランドにいたときは、そんなことはぜんぜん感じなかった。俺は他の誰よりも体がデカいから、どこにいってもハマらないんだ。当時はだいたいいつも一人の友だちとツルんでたし、クラッシュ、G.B.Hとかバッド・ブレインズなんかを聴きながら、トニー・ホークのプロスケーター・シリーズを見ながら毎日遊んでたな。

俺は他の誰よりも体がデカいから、どこにいってもハマらないんだ。(ジェイミー)

あなたがたはどういったきっかけでそうした音楽を聴きはじめたのでしょう?

ジェイムス:バンドとオーディエンスで共有したり、経験を積んだり、オーディエンスから学ぶことがいまの音楽をやっているいちばんのモチヴェーションにつながるよ。

ジェイミー:子どものときはビートルズにぞっこんだったね。自分にとっていまの音楽をやっているのもじつはビートルズからの影響だよ。

UKの音楽で世界に誇るべきものはこれだというアーティストやバンドを、あなたがたの基準で教えてください。理由も添えていただけるとうれしいです。

ジェイミー:イギリスのバンドだとザ・ウィッチズの大ファンだよ。彼らは彼らなりのやり方ですべてをやっているし、惰性的じゃなく、彼らの音楽はリンク・レイやメルヴィンズとかレナード・コーエンからオリジナルのブレンドを作り出していると思う。

あなたがたにとってセックス・ピストルズはどのような存在ですか? また、ニルヴァーナを愛するのはなぜですか?

ジェイミー:彼らはすべてさ。でもストゥージズやソニックスほどではないけどね。

ブリティッシュ・ロックはポリティカルになるべきだと思いますか?

ジェイミー:ポリティカルな音楽、俺はいいと思うよ。でも、露骨に政治的なことを歌ってる曲は嫌いだね。いちばん好きなのはメッセージが曲の中に複雑に編みこまれていて、リスナーに説教するものではなく啓示するような音楽がベストだね。

なぜ髪をのばすんです?

ジェイムス:なまけものだからさ。

ジェイミー:俺たち美容院にいく金もないしな。

3ピースっていう形態はすごく好きで。アドヴァンテージのほうがはるかにディスアドヴァンテージを上回ってると俺は思うよ。ニュートラル・ミルク・ホテルを見れば明らかさ。(ジェイムス)

3人の間柄や、バンドの結成の経緯を教えてください。

ジェイミー:3ピースであることは制限でもあるけど、同時に俺たちがよりハードに演奏して、経済的にバンドをアレンジしなければならないってことで、つまり曲はよりストロングなものにしなければならないし、全部さらけだすし、どこにも隠れる場所はないってことさ。

ソングライティングはおもにどなたが担っているのでしょう? 

ジェイミー:最初はみんなそれぞれ家でアイディアを練って、デモを送りあって、スタジオに持ち込んで、そして精練するというのがパターンだね。あと新しめの曲を路上で演奏するんだ。そうすれば、何がうけるのかうけないのか、リアルタイムにフィードバックをもらうことができるからね。

あなたがたはスリーピース・バンドのよさをシンプルかつストレートなかたちで体現する存在だと思いますが、一方で、いまのかたちに限界を感じることはありますか?

ジェイムス:3ピースっていう形態はすごく好きで。アドヴァンテージのほうがはるかにディスアドヴァンテージを上回ってると俺は思うよ。ギターは1つだし、ベースも1つ、音の帯域幅では制限があるかもしれないけど、3人が効果的に動けばオーディエンスの視点から見てもすごくパワフルなものに映るし、ニュートラル・ミルク・ホテルを見れば明らかさ。

ジェイミー:そうだね、曲をかけば書くほど、もっとこうしたいって大望が生まれてくる。だから、いくつかの新曲はそのまま演奏できないから、ライヴのために作り直さないといけなかったり、3人でそういう曲を同じエナジーでやるっていうのは、かなりハード・ワークだよ。

あなたがたにとってはライヴのほうがアルバム作品より重要なものですか?

ジェイムス:スタジオに持っていくまでは曲は存在しないと思うし、少なくとも完成したとは言えないと思うよ。ライヴで演奏するのは曲が実際どういうものなのか確認するにはいちばんの経験になる。

ジェイミー:ライヴはとても重要だよ。でも、いまは自分たちモードをスタジオ作業にフォーカスしているのさ。

俺たちは本当に日本のファンがタイガーカブを聴いて、情報を更新して、自分たちとの旅の一部のように感じてくれることを願っているよ。(ジェイミー)

トム・ダルゲティとの仕事はどうでしたか?

ジェイミー:彼はとても親しい友人であり、素晴らしいエンジニアでもあり、グレイトなレコードを何枚も作っていて、いっしょに働くことで彼からはたくさんのことを学んだよ。

今作の録音やプロダクションにおいて、バンド側からとくに希望したことや意図などがあったら教えてください。

ジェイミー:日本で今作を出すことで、まずやりたかったのは自分たちのバック・カタログを紹介したかったんだ。UKで活動して、いまの地位に落ち着くまでに1年以上かかったし、ちょうどストーリーができたように思うしね。俺たちは本当に日本のファンがタイガーカブを聴いて、情報を更新して、自分たちとの旅の一部のように感じてくれることを願っているよ。

タイガーカブというバンド名の由来は?

ジェイミー:純粋に偶然の思いつきだよ。俺たちの音に合う名前だと思ったんだ。

同世代で共感できるアーティストを教えてください。

ジェイミー:ザ・ウィッチズ、ロイヤル・ブラッド、TRAAMS

音楽をやっていなかったら何をやっていたと思います? また、もともとからミュージシャンになるのが夢だったのですか?

ジェイミー:音楽をやっていない人生なんて想像できないね。自分にとっては避けられないことさ。

KGE & HIMUKI - ele-king

 今年2015年、キングギドラの1stアルバム『空からの力』の20周年記念盤が出て、合わせてアニバーサリー・ライヴが開催された。Zeebraはみずからのレーベル〈Grand Master〉の動きと連動していまもシーンを率いているし、K DUB SHINEは名実ともに文化人というか、すっかりタレントだ(120%いい意味で)。
 ここで書きたいのはキングギドラについてではなく、20年前に出た『空からの力』の歌詞カードの最後に記されたスペシャルサンクスのクレジットのことで、当時、高校生だった筆者は、リアルタイムで『空からの力』の歌詞カードのZeebraのスペシャルサンクス欄にある日本のヒップホップ・アーティストの名を、ひとつひとつ「これも聴いた」「これも知ってる」とチェックし、そこに挙がったアーティストをほぼ全員を網羅して楽しんでいた。
 そのときの衝撃の延長線上で、現在もヒップホップのアーティストを取材するライターをやっているわけだが、高校生ラップ選手権や全国で開催される数多のフリースタイル・バトル出演者の名前を聞いても、顔触れを一瞥しても、正直もはや誰が誰だかわからない。全部を網羅しているなどとは口が裂けてもいえないし、そもそも網羅したいという願望がない。ただ、この豊穣な状況はまったく喜ばしいことだと傍観者として見ているだけだ。
 だが、もちろん傍観者としてライターに任じているわけではない。
 本題に入ろう。
 すべてを追いきれない以上、自分である程度取捨選択して聴く以外ないわけだが、その基準はひとつだ。単純に良作を求めてるのではなく、凄いアルバム、凄い曲に触れたい。その作品に触れた瞬間、あるいは凄いものが生まれていると確信めいた予感が脳内を突き抜けたときだけ、傍観者でなくなることができる。いわば自分を傍観者でなくしてくれる音源だけを純粋に探していると言えるだろう。傍観者でなくなるとは、突き詰めれば結局スピーカーであったりヘッドホンと自分だけになるということで、そうなったときはじめて、筆者は書きたいとかインタヴューをしたいと思うのだ。そこに曇りはない。
 9月9日リリースされるKGE&HIMUKI の『LOVE & BLUES』は凄いアルバムだ。
 今作でKGE&HIMUKI のタッグ作品は3作目で(1stアルバム『LOCAL FAMILY』、2ndアルバム『2ND IMPACT』)、これまでもシーンでふたりの評価は一貫して高かった。それでも、この豊穣なシーンの中で、このふたりはやはり知る人ぞ知る存在ということになる。
 トピックの多彩さ、フロウ巧者で知られるラッパーKGE、USでも名高いKOOL G RAPやGuilty Simpsonなど(これはほんの一例だ)の海外勢とのコラボを果たし、安定したプロデュースワークを誇るHIMUKIのふたりのタッグで、下手なものができるわけがない。彼らを知っていれば、この専門誌のレビュー的な評価も、自然に頷けるものに違いない。だが、それがイコール凄いかどうかは、また別の話だ。
 これまでも良作を生み出しているふたりがここにきて、本当に凄いアルバムを作った。ワンループ、サンプリング、ドープ、タイト、王道のヒップホップ、太い、黒い、黄色い。評論家や音楽ライターなら、こういった言葉を駆使して、本作の魅力を解説するだろう。そして、そこに書かれたことは、きっとその通りなのだ。だが、このアルバムの聴きどころ(魅力といってもいい)は、そういったキーワードを並べただけでは足りない。
 この作品が一朝一夕では生まれないスキルの結晶というのは一面真実だが、何より素晴らしいのはソウルがスキルや手管を超えていることだろう。クサい言い方だが『LOVE & BLUES』というタイトルを本当に表現するのであれば、ソウルがみなぎっていなければならないのは必要不可欠だった。だが、それを狙ってやるのは簡単ではない。
 ライムと向き合いながら、感情がライムではなく違う言葉を選んだとしたら、KGEは遠慮なくライムではなく感情の言葉を選びとっている。これは同時に、本作のKGEのキレキレのライムには、すべて感情がほとばしっていることを意味している。
 収録曲中でKGEは「流行りにのっかるのは下手くそ」とラップするが、昔からKGEはビートに乗っかるのが超ウマいラッパーだった。意味と無意味のヘアピンカーブのギリギリのラインを縫うように繰り出すフロウは、LOVEとBLUESを唯一無二の形で結晶させている。そして、そのフロウを引き出したのはHIMUKIのビートに他ならない。いや、ほとんどHIMUKIのビートだけが、このラップを引き出し得たというのが正確だろう。
 本作品のただ1人の客演であるGAGLEのHUNGER(この人選が既にタイトで意味深だ)が、このアルバムのプレスに「全てをつぎ込んだKGEくんの気持ちを一回通して聞いただけでは受け止め切れないほどエネルギーと愛に溢れたアルバム」と言葉を寄せているのを読み、なるほどと腑に落ちるものがあった。

笑いと破壊、これでいいのだ!! - ele-king

 バカにしか見えない真実がある──天才ギャグ漫画家の赤塚不二夫はそんな言葉を言い残しています。しかし赤塚不二夫の「バカ」とは、「バカだなぁ、でへへへ」などという、そんなクサいものではありません。もっとキョーレツで、破壊と解放があります。戦後日本のサブカルチャーが爛熟した60年代から70年代にかけて、それは広く、そして深く突き刺さっています。たとえば天才バカボンには、アナーキーなすごさがあります。アナーキー・イン・ザ・バカボンです。腹がよじれるほど笑いながら、赤塚作品からは庶民の底知れぬパワーを感じ取るができます。笑いながら物事を変えていくことは、果たして可能なのでしょうか。

 来るべき9月14日は、赤塚不二夫生誕80周年。その日に、ele-king booksは赤塚不二夫の本を2冊同時リリースします。
 まず一冊は『赤塚不二夫 実験マンガ集』。赤塚不二夫がメジャーな少年誌を舞台でヒット作を連載していた国民的な作家なのは周知の通りですが、同時に彼はアヴァンギャルであり、実験精神旺盛な作家でもありました。たとえば『天才バカボン』がどれほど表現の限界に挑んだ作品だったのか、あらためて思い知って欲しいと思います。

 もう1冊は、『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ』。こちらでは生前赤塚不二夫とお付き合いのあった方々(赤塚がもっともアナーキーだった70年代、当時のサブカルチャーと呼びうるシーンに関わっていた方々)に取材、そのすごさをあらためて語ってもらいました。70年代の日本のサブカルチャーの狂乱を振り返りつつ、赤塚不二夫がこだわった「バカ」について考えた本です。
 70年代『宝島』編集長、後の「笑っていいとも」のスーパーヴァイザーとして知られる髙平哲郎、いまも活躍中の音楽家・三上寛、フリー・ジャズの巨匠・坂田明、先日亡くなられた詩人にしてジャズ評論家/偉大なるパロディストの奧成達、映画監督にして革命運動家の足立正生、偉大なるジャズマンの山下洋輔……そして、解説には赤塚りえ子+三田格。
 
 ぼくたちはどこから来たのか……いま日本は本当にとんでもないことになっていますが、日本のサブカルチャーにおいて誇れるものがここにあります。この機会に、手にとっていただけたら幸いなのだ!!

『赤塚不二夫 実験マンガ集』


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定価:1800円
ページ数:384
並製/B6

マンガを左手で描く狂気とは?
近くのものが遠くに見えるマンガとは? 
フキダシに絵を描いて絵の場所に文字を描くマンガとは? 

メジャーな少年マンガ誌を舞台に、マンガ表現のいきつくところまで行き着いた赤塚不二夫のもっともラジカルな作品群を収録。
解説あらためインタビュー取材には、石野卓球が登場。
いわく「赤塚作品とは、アシッド・ハウスなのだ!!」


『破壊するのだ!!──赤塚不二夫の「バカ」に学ぶ』


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著者:高平哲郎/三上寛/坂田明/奥成達/足立正生/山下洋輔ほ
定価:1850円
ページ数:224
並製/四六判

いま語る70年代日本サブカルチャーの狂乱、
そして赤塚不二夫のすごさ。

ペーソスはいらないのだ!!──高平哲郎
書を捨て町を裸で街を歩くのだ!!──三上寛
深遠なバカなのだ!!──坂田明
クーダラナイから良いのだ!!──奧成達
やりたいことをやるのだ!!──足立正生
破壊するのだ!!──山下洋輔
いまこそ赤塚不二夫が必要なのだ!!──赤塚りえ子×三田格

刊行:ele-king books/9月14日(赤塚先生の生誕日)刊行なのだ!!


Oneohtrix Point Never - ele-king

 2014年度のele-kingのベスト・アルバムがOPNの『R Plus Seven』だったんですが、いまや、OPNは明日のエレクトロニック・ミュージックを占う存在、いや、ソフィア・コポラやアント ニー・ヘガーティにまで目をつけられるほどの、なんとも大きな存在になってしまいました。思わず、かつてのイーノ、かつてのエイフェックス・ツインに重ねたくなるような……。そして彼自身もエレクトロニック・ミュージックの歴史をよく知っています。つまり本気で、(感覚だけではなく)エレクトロニック・ミュージックがいまどこに向かっているのかを考えている人物でもあります。
 OPNは、ミュジーク・コンクレート(録音物を加工する音楽)のパイアオニア、ピエール・シェフェールの21世紀版とも言えるでしょう。彼の音楽は現代=スーパーフラッター・ワールドに生きるものではありますが、その作品は冷酷だったり、攻撃的だったり、あるいは穏やかだったり、起伏に富んでいます。新作はそういう意味では、前作にくらべて躍動的で、OPNらしい挑戦的な作品です。
 ま、それはお楽しみってことで、OPNが来日します!


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