「Nothing」と一致するもの

赤塚不二夫 実験マンガ集 - ele-king

「赤塚作品とは、アシッド・ハウスである!」──石野卓球(本書より)

マンガを左手で描く狂気とは?
近くのものが遠くに見えるマンガとは?
フキダシに絵を描いて絵の場所に文字を描くマンガとは?
作画中にアシスタントがいなくなった作品とは?
登場人物を実物大で描くとどうなるか?

──メジャーな少年マンガ誌を舞台に、マンガ表現のいきつくところまで行き着いた赤塚不二夫のもっともラジカルな作品群を収録。

解説あらためインタビュー取材には、石野卓球が登場。
いわく「赤塚作品とは、アシッド・ハウスなのだ!」

ひとはなぜ裸になり、ケツにローソクを刺したり、
朝までギャグを語り、生産性のないことに高じるのか……
いや、こんな時代だからこそ「バカ」が必要なのだ!

赤塚不二夫の「バカ」とはいったい何なのか?
生前に親交のあった、サブカルのゴッドファーザー、ジャズメン、フォーク歌手、映画監督など、70年代サブカルチャーを牽引した大物たちが、いま語る赤塚不二夫のすごさ。

元『宝島』編集長にして『笑っていいとも!』のスーパーヴァイザー──髙平哲郎
過激なフォーク歌手にして俳優──三上寛
世界で活躍する日本フリー・ジャズの巨匠のひとり──坂田明
ビートニクの詩人でありジャズ評論家、伝説のパロディスト──奧成達
日本の映画界のラジカリスト──足立正生
日本のフリー・ジャズの大いなるピアニスト──山下洋輔

酒を飲み、裸になり、バカをやってきた生き証人たちが語る赤塚不二夫の正体。70年代の日本のサブカルチャーの一場面を浮彫にしつつ、混迷するこの時代にあらためて赤塚の残した「バカ」を追い、「バカ」の必要性を問う。

目次より:
ペーソスはいらないのだ!/書を捨て町を裸で街を歩くのだ/深遠なバカなのだ!/クーダラナイから良いのだ!/ほか

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ただバカっつったて、ホントのバカじゃダメなんだからな。知性とパイオニア精神にあふれたバカになんなきゃいけないの。(中略)リッパなバカになるのは大変なんだ。だから、バカになる自信がなかったら、キミもごく普通のリコウな人でいたほうがいいって。まァ、これでいいのだ!!
           ──赤塚不二夫『人生これでいいのだ!!』より
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interview with New Order - ele-king

なぜニュー・オーダーなのかと言われたらわからないけど、みんな精神的な繫がりを感じているようだ。ぼくたちの音楽は凄くエモーショナルだから、人生で何か困難に直面したとき、ぼくたちの音楽に気持ちの慰めを見出すことができるのかもしれない。あと、人を惹き付ける物語がこのバンドにはある。


New Order
Music Complete

[ボーナストラック収録 /大判ステッカー付 国内盤]
Mute/トラフィック

Indie RockElectronicDisco

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 新作はダンス・アルバムであり、エレクトロニック・サウンドに戻っているという前評判を耳に入れて、いざシングル曲“レストレス”を聴いたら、どこがダンスでエレクトロニックなんだよと思ったコアファンもいるかもしれない。しかしご安心を。“レストレス”はアルバムの1曲目だが、2曲目以降にはそれが待っている。“ブルー・マンデー”から『リパブリック』までのニュー・オーダーを特徴付けるエレクトロニック・サウンドは引き継がれ、ある意味アップデートされている。
 ちなみに、“レストレス”のシングル盤のリミキサーはアンドリュー・ウェザオール。ファンはここで名曲“リグレット”を思い出すだろう。あの切ないメロディとエレクトロニックのマンチェスター的折衷……これ、これ、そう、これだよ、俺たちのニュー・オーダーが帰ってきたのだ。

 ジョイ・ディヴィジョンの最初の2枚、いや3枚、まあ……3枚の重要なシングル盤を加えると6枚……は、いま聴いても、リスナーが「重荷を背負った若者」ではなくなっても、あらためて歴史を切り拓いた音楽だったと思う。本当に、よくもまあこんな作品をあのセックス・ピストルズとあのザ・クラッシュの後に作れたものだ。社会や政治というよりは内面という曲の主題(彼らが社会や政治に無関心だったわけではないが、作品にはパンクにはなかった深い内省があった)、そしてその革新的音響(マーティン・ハネットの天才的録音)、ピーター・サヴィルの革命的アートワーク(ジャケの紙質までこだわっていた)、それらすべてをひっくるめて永遠のクラシックだ。『アンノウン・プレジャーズ』のアートワークがインディ・ロック・Tシャツにおける最高の地位になっていることに異論もない。

 で、ニュー・オーダーとは、その永遠のクラシックを作った後の、当時のロックのセオリーで言えば中心人物を失った後の、10番のいないサッカーチーム、4番バッターとエースのいない野球チーム……みたいなものだったが、それでも世界レベルで最高の結果を残すチームになりえた。作る曲すなわち作品でもって常識をひっくり返し、そして、そのとき、おいてけぼりにされた若者の内面はダンスへと向かったのである(しかも作品によっては、あの頃のぼくたちからもっとも遠かった太陽と海へと、そう、向かってしまったのである)。
 そんなことをつらつらと思えば、バーナード・サムナーの自伝『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』に記されているように、たしかにぼくたちの人生はニュー・オーダーとともにあったのだろう。初めて『ムーヴメント』に針を下ろしたときのこと、“ブルー・マンデー”に心底震えた夜、耳にたこができるほどあらゆる場所で聴かされた“ビザール・ラヴ・トライアングル”や“パーフェクト・キッス”、あるいは“ワールド・イン・モーション”や“ラウンド・アンド・ラウンド”のリミックスEP、そして異性(同性)と別れ出会う度に聴かなければならない“リグレット”……、その他いろいろ、ぼくたちはニュー・オーダーの切ない歌とエレクトロニックな楽曲の向こうにそれぞれの時代を思い出す。

 ほがらかなメロディの“ラヴ・ヴィジランティス”は、NYエレクトロを思い切り吸収した『ロウ・ライフ』のオープニング曲で、クラブ・サウンドを我がモノとしながらアルバムはしかし古風にはじまるというひねくれ方は、なるほど、いかにも英国風と言えるだろう。新作『ミュージック・コンプリート』にもそれは引き継がれている。
 ちなみに『ミュージック・コンプリート』のバッキング・コラースには、インディ・ロック・ファンにはお馴染みのデニス・ジョンソン(プライマルの“ドント・ファイト・イット〜”の人です)が参加しているが、ラ・ルーも歌っている。たしかに新作には、イタロ・ディスコ(コズミック)めいた箇所がいくつかある。バーナード・サムナーのドナー・サマー趣味がここにきて噴出したのかもしれない。ほかに話題としては、ケミカル・ブラザースのトム・ローランズが3曲参加していること、イアン・カーティスのヒーローだったイギー・ポップが1曲参加していることも挙げられる。

 ニュー・オーダーは、いくつかの困難を乗り越えてここまで来ている。彼らの人生から滲み出るものが、ニュー・オーダーの背後にはある。それは泥臭さである。電子機材が普及してからの華麗なるモダンデイ・ポップ・ミュージックの先駆けだが、その音楽には普遍的なエモーションがあり、だからこんなにも多くの人から、世界中の人たちから、そして新たにまた、内面が敏感な世代から愛され続けているのだろう。
 『ミュージック・コンプリート』は、ピーター・フック脱退後の、新生ニュー・オーダーの最初のアルバムだ。しかも〈ミュート〉からのリリース。例によってバンド名もタイトルも記さないピーター・サヴィルのアートワークにも、思わずニヤっとしてしまう。
 ニュー・オーダーが最初に輝いた10年はサッチャー政権時代であり、それを思えば『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツは巷でさらに増殖するかもしれない。まあニュー・オーダーに限らずだが、昨年のモリッシー、先日アルバムを出したPiLなど、あの時代のUKのミュージシャンたち、いい歳した連中は、いまもなおエネルギッシュで、しかも新たな輝きを見せはじめている。さまざまな話題性を含めて、今回は注目の新作なのである。

ダンス・ミュージックをやっているけど、いまどんなサウンドが流行っている、といったことは一切考えずに作った。自分たち独自のことをやった。ダンス・ミュージックが一時期から細分化され過ぎて、作っていて拘束着を着せられているように感じた。「このジャンルはこのサウンドでこのビートじゃなきゃ駄目」といった縛りが多すぎるって。

実はあなたの自伝をライセンスして、ニュー・オーダーの新作のリリースに合わせて刊行する予定でいます。そもそも自叙伝を書かれた理由は何だったのでしょうか? 

バーナード・サムナー(BS):自伝のなかでは、まさにそこのところも語っている。ぼくの音楽はぼくがこれまで生きてきた人生がもとになっている。子供時代、そして青春時代の経験や記憶だ。それはジョイ・ディヴィジョンにおけるぼくの音楽的貢献にも間違いなく繫がっている。ぼくが子供時代、そして十代を過ごした環境の雰囲気が表れている。自分に「音楽を作りたい」と思わせてくれた、自分の原点だ。
 それとは別に、新しい音楽との出会いについても触れている。ぼくが15歳、16歳のときに影響を受けた音楽について語っている。あとマンチェスターについても語っている。マンチェスターで生まれ育つのがどういう感じか、という。正確にはサルフォードという街でぼくは育ったんだ。サルフォードというのはマンチェスターに隣接した街で、マンチェスターから西に向かって進むといつの間にかサルフォードに入っている。マンチェスター首都圏のなかでもとくに工場が密集した工場地帯だ。そういう街でぼくは育った。それが後に自分の音楽にどう影響したかということを自伝のなかで語っている。

わかりました。さて、『ミュージック・コンプリート』は、大雑把に言って、ニュー・オーダーとはこういうバンドなんだという、自己確認するアルバムであり、原点回帰的なところもあるアルバムだと感じました。つまり、ニュー・オーダーらしいニュー・オーダーのアルバム、最初に聴いた瞬間に、「あ、ニュー・オーダー」と思うしかないアルバムというか。いかがでしょうか?

BS:ありがとう。

あなた個人にとって「ニュー・オーダーらしさ」とは何だと思いますか?

BS:……。何だろう。ファンの人たちに訊いたほうが上手く答えられるんじゃないかな。ライヴの後、ファンの人たちと会場の外やホテルで会ってサインとかする際によく言われるのは、「貴方の音楽と出会って人生が変わりました」、または「貴方の音楽は自分の人生を彩るサントラです」だ。彼らの心に深く刺さっているのがわかる。なぜニュー・オーダーなのかと言われたらわからないけど、みんな精神的な繫がりを感じているようだ。ぼくたちの音楽は凄くエモーショナルだから、人生で何か困難に直面したとき、ぼくたちの音楽に気持ちの慰めを見出すことができるのかもしれない。それがひとつある。
 あと、人を惹き付ける物語がこのバンドにはある。イアン・カーティスのこともそうだし、イギリスにおけるインディ・レーベルの台頭に大きく関わっていたことも大きい。〈ファクトリー・レコード〉の物語をひとつとっても面白い。すでに2本の映画が作られたくらいだ。〈ファクトリー・レコード〉のトニー・ウィルソンの生き様を描いた『24アワー・パーティ・ピープル』とイアン・カーティスの生き様を描いた『コントロール』だ。こうやって2本の映画ができるほどの興味深い歴史があるということも人びとがニュー・オーダーに惹かれ、共感し、そこに慰めを見出す所以なんじゃないかな。

ピーター・フックが脱退したとき、バンドは事実上解散したと思いますし、あなた自身にも再結成するプランはなかったと思います。しかも、バンドにとってベースラインはトレードマークでした。それがどうして、このように新しいアルバムを完成させ、発表するまでになったのでしょうか?

BS:まず……、彼不在でライヴを幾つもやるところからはじめた。その前にはっきりさせておきたいんだけど、彼はバンドを自ら辞めたのであって、決してぼくたちがクビにしたわけじゃない、ということ。

(笑)。

BS:そのことで彼にはずっと文句を言われっぱなしだからね。

そもそも彼はなぜ脱退をしたのでしょうか?

BS:もうやってられない、と思ったのだろう。おそらくぼくと彼が性格的にそりが合わなかったことが要因だった。彼はかなり対抗心を燃やしてくる性格で、でもぼくはそうじゃない。むしろ、そういうのが苦手だった。だって、同じチームなんだから、同じ目標に向かってみんなで力を合わせて頑張るのが当たり前だと思っていた。でも、同じチーム内で自分に対して対抗心を燃やしてくる人がいたら、それはチームにとっても良くないと思ったし、ぼくとしてもすごく嫌だった。
 それと、彼がぼくにやって欲しいと思っていたことをぼくがやらなかった、というのもあったと思う。彼は常時ツアーに出たいと思っていた。でもぼくはまだ幼い子供もいて、家族と離れるのが嫌だった。バンドに対して決してめちゃくちゃなことを要求しているは思わない。でも彼はそれが気に入らなかった。ぼくと彼は全く違うタイプの人間だったということに尽きると思う。考え方も懸け離れていた。それが限界に達していたのだろう。彼もぼくにうんざりしていたし、ぼくも彼にうんざりしていた。
 彼は、ぼくだけじゃなく、みんなを自分の思い通りにしたかったんだと思う。いまは自分のバンド、フリーベースでそれができるようになった。他のメンバーはおそらく彼の言う通りに動いてくれるのだろう。でもニュー・オーダーでそれをやろうと思っても無理だ。

そこからどうやって、彼抜きでニュー・オーダーを続け、このように新しいアルバムを完成させ、発表するまでになったのでしょうか?

BS:彼不在でライヴをやりはじめた頃は、正直多少の不安もあった。しかも彼はプレスに対して「俺抜きでは絶対に上手くいかない」と言い張ったんだ。「自分がいないニュー・オーダーはフレディ・マーキュリーのいないクイーンのようだ」ってね(笑)。「やったところで大失敗するだけだ」って。
 つまり、「俺は去るけど、せいぜいみんなで失敗すればいい」というのが彼の態度だった。「俺抜きで続けるなんて不可能だ」ってね。だから最初は多少の不安もあった。人びとがどう反応するかわからなかったから。でも、いざライヴをやってみると観客の反応は素晴らしく、世界各国で最高のライヴをいくつもおこなうことができた。新作の制作に取りかかるためにスタジオに入った頃には、すでに3年半ライヴをやってきていたから、彼がいないことに慣れていた。だから全く問題にはならなかったよ。

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曲作りでいちばん難しいのはいいメロディを書くことだ。ビートを作るのはさほど難しいことではない。いまではネット上でビートを買うことだってできるわけだからね。


New Order
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ジョイ・ディヴィジョンのときはポストパンク、ニュー・オーダーのときはディスコやエレクトロ、『テクニーク』のときはアシッド・ハウスとセカンド・サマー・オブ・ラヴなど、あなたはわりとムーヴメントとともにアルバムを作ってきたと思うのですが、『ゲット・レディ』以降は、音楽文化自体が、ムーヴメントなき時代に突入したました。そういう時代の変化と、ニュー・オーダーのやり方がズレはじめたと感じたことはありますか?

BS:ダンス・ミュージックに関しては多少あったね。ダンス・ミュージックが細かく区分化され過ぎてると感じた。ディープ・ハウスにファンキー・ハウスにアシッド・ハウス……という具合にジャンルが細分化され過ぎてしまって、ダンス・ミュージックの曲を書こうと思っても、まずどのジャンルに当てはまるかを考えなきゃいけないような気にさせられた。音楽はそうあるべきじゃないのに。
 今度の新作でもダンス・ミュージックをやっているけど、いまどんなサウンドが流行っている、といったことは一切考えずに作った。自分たち独自のことをやった。ダンス・ミュージックが一時期から細分化され過ぎて、作っていて拘束着を着せられているように感じた。「このジャンルはこのサウンドでこのビートじゃなきゃ駄目」といった縛りが多すぎるって。
 あともうひとつ感じたのは、ぼくたちは“ブルー・マンデー”でダンス・ミュージックにおけるパイオニア的存在だと見られていたのもあって、常に人がこれまで聴いたことのない音を出すことを期待されていた。でもそれって不可能なことなんだ。「新しい車輪を毎回発明しろ」と言っているようなものだ。それもあってダンス・ミュージックから少し距離を置こうと思ったんだ。ギターを核とした作品を作った。『ゲット・レディ』にしても『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』にしてもダンスの要素が薄れ、ギターが前面に出たアルバムになった。ギターで曲を作るときというのは、サウンドをそんなに気にせず歌をそのまま書けばいい。ギターの音は所詮ギターの音であって、ベースにしてもドラムにしても同じだ。サウンドのことをあれこれこだわる部分は少なく、単刀直入な作業だ。当時はそれが凄く新鮮だった。
 ジョニー・マーとやったElectronicの3作目、つまり最後のアルバムがギター中心のアルバムだった。その後の『ゲット・レディ』もギターが前面に出たアルバムだった。その後の『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』は少しエレクトロニックの要素もあったけど、ギターが主だった。その後ぼくはサイド・プロジェクトのバッド・ルーテナントで『ネヴァー・クライ・アナザー・ティア』というアルバムを出して、それもギター・アルバムだった。
 という流れがあって、もう十分ギター・アルバムはやったと思って、エレクトロニックなサウンドに戻るのにちょうどいま機は熟したと感じた。やりたくて飢えていたんだよ。ぼくだけじゃなく、スティーヴン(・モリソン)やジリアン(・ギルバート)もそう感じていたんだと思う。たとえるなら、ある食材を長い間全く口にしていなかったと想像してみて欲しい。チョコレートとか。で、ある時思い立ってまた口にしてみたら、美味しくてしょうがないと思うよね。それと同じで、今回またシンセサイザーを多用したことは、まるでおとぎの国にいるようだった。テクノロジーの進化がまた、制作をさらに面白いものいしてくれた。前はやりたいことがあってもそれを上手く音にすることができないこともあった。ジョイ・ディヴィジョンや初期のニュー・オーダーでは、持っていたシンセでかなり苦労をした。やりたいことがあっても、当時のシンセには限界があった。シンセそのものよりも、シーケンサーやコンピュータのテクノロジーがいまほど進んでいなかったから。それがいまはできるようになった。いまは音楽をまるで粘土遊びのように扱うことができる。曲やサウンドを粘土や石膏のように自在に形作ることができるようになった。それがすごく面白いと感じる。

アルバムのなかのジョルジオ・モロダー的なミニマルなビートに関しては、スティーヴン・モリスがファクトリー・フロアのような若いバンドに触発されたところがあるようですが、あなた自身がUKの若いクラブ・ミュージックに触発されることはありますか?

BS:う〜ん……ないかな。

なるほど。では、シングルのリミキサーで、たとえばですが、ジェイミーXXのような、クラブ系の若いタレントを起用することは考えませんでしたか?

BS:彼に限らず可能性はいくらでもあると思っている。リミキサー選びはこれからの作業になるから、いまからじっくり時間をかけて才能ある人を選びたいと思っている。ただ、いまの時代、可能性や選択肢が多すぎるというのも、それはそれで困ったものなんだよね。ニュー・オーダーの初期の頃はリミックスをお願いする人にしてもひとり、ふたりくらいしか選択肢はなかった。でも、いまは何百と優れたリミキサーがいる。いまの段階ではまだ話せないけど、いろいろ進めているものもあるよ。

マンチェスターの新しいシーンには関心がありますか? 

BS:さっきも若いクラブ・ミュージックに触発されることは「ない」って話をしたけど、ぼくの場合、音楽のインスピレーションは自分の内側からくるもので、外から受けるものではないんだ。最初に自伝の話をしたときにも話したけど、ぼくという人間の生い立ちから来るものなんだよ。

ニュー・オーダーの曲にはダンスもありますが、メロディアスな曲調もバンドを象徴していると思います。“レストレス”なんかは、ぼくには“リグレット”を彷彿させわけですが、あの当時“リグレット”は、サマー・オブ・ラヴが終わった感じをとてもよく表していました。そのセンで考えると“レストレス”にも時代が描かれているのでしょうか?

BS:おかしなもので、本来エレクトロニックなアルバムを作るつもりだったのに、アルバムの1曲目にアコースティック調な曲を持ってきたんだよね。まあ、それもニュー・オーダーらしいよ。矛盾だらけのバンドだ。「こうする」と言っておきながら、違うことをしてしまう(笑)。今回もエレクトロニック・アルバムだって言うのにアコースティックな曲で幕を開ける。なんでかって聞かれたら、これがシングルだからだろう。これまでもシングル曲を1曲目にしてきたことが多い。そして、君が言うように非常にメロディアスな曲でもある。
 曲作りでいちばん難しいのはいいメロディを書くことだ。ビートを作るのはさほど難しいことではない。いまではネット上でビートを買うことだってできるわけだからね。あるいは勝手にビートを作ってくれるプラグインだってある。当然、独自のサウンドのビートを作ろうと思ったら、もっと難しくなるわけだけどね。“ブルー・マンデー”のような独特のビートを作ろうと思ったら。それでもいちばん難しいのはいいメロディを書くことだと思う。曲を書く上でいちばん苦労する部分だ。で、今回いちばん意識した部分でもある。全員が今回いいメロディに重点を置いて曲作りをした。どの曲にもいいメロディが不可欠だと思った。
 “レストレス”は、我々がいかに慢性的な消費社会になってしまったかってことを反映している。大量消費ついて考えていたんだ。本当の意味では何も我々を満たしてくれないって。何かを買っても、数日間は満たされた気持ちになるかもしれない。でも、すぐにまたもとに戻ってしまう。だったら何が自分を幸せにしてくれるのかって疑問に思った。お金では買えないもので自分を幸せにしてくれるものは何かって。この曲は消費者主義に対するぼくなりの所見を述べている。消費者主義を批判しているわけではない。誰もが消費者はわけで、ぼく自身も一消費者だ。つい先日もApple Watchを購入したばかりだ。立派な消費者さ。でもふと考えたんだ。個人のみならず、社会全体をより幸せに、より満たしてくれるものは何か?って。
 現代社会において、日々の生活のなかで満たされる気持ちがどんどん欠けてしまっているんじゃないかって思うんだ。それは我々が消費することに取り付かれていることに起因しているのではないかって。例えば大量消費とは無縁の熱帯の島で暮らしている人たちに比べたとき、彼らのほうがずっと満たされた生活を送っている。例えば日本の何処かの島ないしは沿岸の漁村に住む人たちは非常に素朴な生活を送っている。消費者主義とは無縁の彼らのほうが幸せなんじゃないかなって思うんだ。(この曲は)批判しているわけではないし、所見というよりも、むしろ疑問に近い。「何が我々を幸せにしてくれるのか」「何が我々の生活をより幸せにしてくれるのか」「いかにして我々は嘗てあったものを失ってしまったのか」という。大きな疑問だね。

そうした資本主義の行き過ぎてしまっているような社会状況に関連した歌詞は今回のアルバムの大きなデーマのひとつと言えるのでしょうか?

BS:アルバムを通してひとつの大きなテーマがあるわけではない。歌詞に関して言うと、ぼく自身のことを歌っていると思われることが多いんだけど、必ずしもそうではないんだ。架空の人物や架空の人物たちについて書いた、自伝的でない曲を書くことだってある。人間関係についての歌にしても、ぼくの実体験というよりも、作り話であることだってある。
 今作の曲にしても歌詞の内容は多岐にわたっている。自分の歌詞を解説するのは好きじゃないんだ。自分の歌詞を聴いた人が、その人なりの解釈を加えることで、聴き手側も関与する、曲を介した双方向の対話になったほうが、ただ聴き手が受動的に曲を聴くだけよりもいい。それに、ぼくの歌詞は抽象的なことが多い。そもそも音楽はもっとも抽象的な芸術的表現だ。絵画における抽象画が登場する以前から、音楽は常に抽象表現だった。人びとはいくつかの和音を組み合わせたり、旋律を書く、あるいは太鼓のリズムを作ることで音楽を表現した。言葉などを使って具体的な何かを示しているわけではない。完全な抽象芸術だ。
 実はアルバムのタイトルを『アブストラクト(抽象的)』にしようかとも考えたんだ。なかなかいいタイトルだといまでも思う。でも実際、曲に歌詞をつける段階で、書き手としては抽象的であることを諦めなければいけなくなる。言葉で曲に意味をつけなければいけない。さらにはそれを聴き手が解釈をする、ということを念頭に書かなければいけなくなる。最初の頃はそこにかなり抵抗があった。ニュー・オーダーの初期の頃。自分のことを語るのが苦手だった。自分が何を考えているのか人に知られるのが嫌だった。自分だけの大切な逃げ場所だったから。でも、バンドのシンガーになったことで、自分の殻から出ることを強いられた。だから最初の頃は非常に曖昧な歌詞を書いた。ぼんやりとした表現をすることで真意をわざと隠した。いまでも自分の歌詞はそういう要素を引きずっていると思う。いまは、表現はより明瞭になったかもしれないけど、想像上の物語だったり、架空の人のについて書くようになった。ちょっとした短編小説のようにね。

バンドとしてもアルバムを完成させるのにとにかく集中して力一杯取り組んだ。作業に費やした時間も長かった。クリスマスでも週に50時間働いた。仕上げの1ヶ月は週に70時間働いた。それくらい大変な作業だったけど、そこまで頑張ったからこそ出来たアルバムには凄く満足しているよ。

シンガーという話が出ましたが、『ミュージック・コンプリート』を聴いてもうひとつ思ったことがあります。あなたは以前よりも歌がうまくなっているんじゃないかということなんですが、ご自身ではどう思いますか?

BS:ミュージシャンとしてもシンガーとしても常に成長していると思う。音楽をやってれば、必ず何か新しいことを学ぶ。だからいつだって成長し続けている。だからこれだけ長くミュージシャンを続けられているんだと思う。学校に通っていたときと違ってね。
 学校は大嫌いだったよ。学校で教そわる科目も嫌いだったし、先生も嫌いだった。つまらないと思ったし、だから勉強する気になれなかった。学校で教えてることがたわいもないものにしか思えなかったから、知識として得ることができなかった。それに比べて音楽は興味をそそられた。音楽のことを学ぶ過程にも興味が尽きなかった。ぼくをはじめ、バンドの全員が独学で音楽を身につけた。他のミュージシャンを聞いて学んだり、彼らのことを読んで学んだり、実際に自分たちでプレイすることで学んできた。人から教わるのではなく。全て独学で覚えた。その辺りがクラシックのミュージシャンたちとは違う。
 決して彼らが間違っていて自分のほうが正しいと言ってるわけじゃない。そうやって独学で習得する部分がぼくとしては気に入っている、というだけ。いまでも学ぶことはたくさんある。そしてぼくはヴォーカリストだ。昔と比べて、ヴォーカリストであることに慣れて自信が持ててきたといのはある。ニュー・オーダーの初期の頃はヴォーカリストであることが苦痛だった。そもそもヴォーカリストになんてなりたくなかったわけで。イアンが亡くなったからそうするしかなかった。でもいまは、自分がシンガーという事実を受け止めて、やるべきことをやると割り切っている。……それでも難しいけどね。
 いつも、曲が先にでき上がるんだ。今作では3つのグループに別れて曲作りをした。スティーヴンとジリアンは彼らのスタジオで曲作りをして、トムとフィルはスティーヴンとジリアンと共同で作業することもあれば、トムの家で自分たちで作業することもあった。ぼくもスティーヴンとジリアンのスタジオまで行って彼らと作業することもあったけど、かなりの時間をいまいる自宅のこの部屋で過ごした。すごく狭い部屋をスタジオとして使っているんだ。邪魔されることなく作業に集中できる。一つのスタジオに全員が集まって作業する代わりに、そうやって今回は曲作りを進めた。そこでできた曲やアイディアをみんなで持ち寄るんだ。ぼくが発案したアイディアを誰かが発展させることもあったし、他の人のアイディアをぼくがさらに発展させることもあった。正直、凄く集中力を要した張り詰めた制作プロセスだった。「凄く楽しんで作ることができた」とは決して言えない。というのも、ニュー・オーダーにとって重要なアルバムになるとわかっていたから。バンド内で起きた変化を経て、バンドの歴史においても節目となる作品だった。それだけに、バンドとしてもアルバムを完成させるのにとにかく集中して力一杯取り組んだ。作業に費やした時間も長かった。クリスマスでも週に50時間働いた。仕上げの1ヶ月は週に70時間働いた。それくらい大変な作業だったけど、そこまで頑張ったからこそ出来たアルバムには凄く満足しているよ。バンド全員が満足している。

トム・ローランズは3曲で参加していますが、彼が関わることになった経緯について教えて下さい。あなたは彼のどんなところに期待をしたのですか?

BS:ケミカル・ブラザーズとは、ぼくが個人的に参加した「Out Of Control」がこれまでもあったし、トムもニュー・オーダーと“Here To Stay”で共演している。これまでも何度か一緒に仕事をしたことがあったし、ケミカル・ブラザーズのふたりと考えも似ていると思っている。自然と噛み合う。だから今回もトムに何曲かプロデュースを依頼したいと思った。あまり保守的な人には依頼したくないというのもあった。勢いのあるトラックに関してはとくに。もちろんトム自身も好きなものがはっきりしているから、アルバム全部をお願いするつもりはなかった。結果的に2曲を手がけてもらうことになった。ケミカル・ブラザーズの音楽は非常に革新的で進歩的で、畳み掛けてくる迫力がある。だから今回彼が手がけた曲に関してはそういう彼ならではのテイストが反映してもらいたいと思ったんだ。

Nozinja - ele-king

 2年前、カリブーのレーベル〈ジャオロング〉からツォンガ・ダンスのシングル「ヘケ・ヘケ/ホザ」は出た。視聴したときにそのBPM170超えのあまりの速さと、妙なメロディ使いに面食らってしまったけれど、踊れそうとか、DJに使えそうとかそんな考えそっちのけで、何かヤバいものを感じてそのままレジに直行した。それが自分と南アフリカのプロデューサー、ノジンジャとシャンガーン・エレクトロの出会いだ。

 2004年頃からノジンジャことリチャード・ムセトワは、アフリカの伝統的な音楽&ダンス・カルチャーであるシャンガーンにミュージシャンとして関わるようになったという(もともとはダンサーだった)。もともとシャンガーンはアフリカ土着の楽器でのみで演奏されていたのだが、60年代にエレキ・ギターなどが導入され、スタジオ録音のもとエディットが施されるようになり、ゼロ年代、そこにノジンジャが先導切ってドラムマシーンやシンセサイザーを大体的に導入。そうやってシャンガーンはエレクトリックなダンス・ミュージックになった。

 ノジンジャの活動が目に止まり、2010年に〈オネスト・ジョンズ〉からジャンル最初のコンピが出て、その流れがアールピー・ブーからリカルド・ヴィラロヴォスまで参加したリミックス盤に繋がるほど、シャンガーン・エレクトロは大きなものになりつつあった。しかし意外にも今回の『ノジンジャ・ロッジ』が〈ワープ〉から発売されるまで、ひとりのアーティストによるまとまったアルバム作品が話題に上ることはなかったようだ。

 そういった背景もあり今作に対する期待は高まっていて、それに応えるように、ノジンジャはいままでのシャンガーン・エレクトロのイメージを引き継ぎつつも、歌物やギターなども取り入れ、ジャンルの世界観を更新した。
 しばし、そのリズムの速さや体を高速に動かすダンスのスタイルから、ジュークとも比較されるシャンガーンだが、この作品によって類似性よりも違いの方が顕著になったように思える。まず、キックの打ち方がぜんぜん違う。ジュークで聴けるような三連のもたつくリズムはほとんどなく、ストレートなリズム・セクションは動物の大群が坂を上から下に駆け抜けるかのような怒涛の疾走感を呈している。
 それから低音がびっくりするくらいスカスカだ。そのせいもあって、ダンサーが身にまとう衣装のようにカラフルな上モノに、リスナーの視線が完全に奪われてしまう。そこで漂うメロディはときにR&Bのようでもあり、さらにときには演歌のようでもある。
 「シャンガーン・ダンスの方がフットワークのステップより5倍は速いぜ」とノジンジャは語るが、おそらくはそういったトリックが視覚的にだけではなく、感覚的にもダンスの速度を上げているのだろう。

 この音楽がプレイされているのは、アパルトヘイト以降の南アフリカの大地だ。ノジンジャは今年45歳になる。つまり、あのとき南ア全体を覆い尽くしていた狂った装置の現状を彼は知っている。シャンガーンが政治的に社会とどのような距離にあるのかはわからないが、少なくともノジンジャは黒と白に色分けされた世界で大いに踊っていたはずである。
 ダンス・ミュージックはその歴史で多くの人びとを自由にしてきたし、シャンガーンが同じような役割を果たしてきただろうということも、容易に想像できる。そういった意味で、狂った法案が通ろうとしている日本において、ノジンジャを聴くことは実は相当にクールな体験なのかもしれない。現実に絶望するくらいならシャンガーンのスピードに身を委ねたい。というか、そうしようぜ。

KAMATAN (仙台PANGAEA) - ele-king

今日のレコードバッグ

MITSUKI (MOLE MUSIC) - ele-king

「不変推、推増即正」

注目のD.A.N.“夏の終わりの”新曲配信 - ele-king

 あまりにみずみずしく、また、あまりに堂々たるインディ・ロック──「ジャパニーズミニマルメロウ」を掲げる若き3ピース・ユニット、D.A.N.のデビューEP『EP』がすばらしい。リリース・パーティを10月に控え、さらなる活躍に期待が高まる中、新曲1曲が配信限定で発表されるとの報が寄せられた。
 「夏の終わり」に合わせた曲だということだが、長雨が野分の風とともに暑気を振り払ったかと思えば、ふたたび夏の名残りが戻ってきそうな予感のこの頃、9月の終わりをもってようやく、わたしたちはこの曲とともに夏を惜しめるかもしれない。

フジロックのルーキーステージにも出演、いまだセールスが伸び続けている全員まだ21歳の3人組D.A.N.ですが、夏の終わりに合わせ新曲を1曲、配信限定で9月30日にリリースします。
デビューepとはまた一味違う、D.A.N.の新たなセンスが伺えるとてもポップな楽曲です。
都会の夜に合うアーバンな世界を持ち、かつバレアリックなチル効果もあり、涼しくなったまさに今この季節に聴いてほしい最高に気持ちのいい1曲です!
今作は最近ライブでもサポートしてくれている、トロピカルなマルチミュージシャン"小林うてな"嬢がシンセとスティールパンで参加しています。
また、REC&MIXエンジニアは前作に続き、葛西敏彦さんが手掛けています!間違いありません!
そして、この新曲のリリースに伴い、デビューep『ep』と併せた形でリリースパーティーを開催します。
10/19、場所は渋谷WWW、ゲストアクトに、U-zhaan × mabanua、submerseという強力なメンツが揃いました。

■リリース情報

D.A.N.
digital single『POOL』

発売日:2015.09.30(wed)
価格:¥250
発売元:SSWB / BAYON PRODUCTION

itunes
https://itunes.apple.com/jp/album/ep/id1004255038

D.A.N.
桜木大悟 (Gt,Vo,Syn)
市川仁也 (Ba)
川上輝 (Dr)

Guest Player
Utena Kobayashi (Syn,Steelpan)

Engineer
Toshihiko Kasai

○Message
誰にでも大切な記憶の「プール」がある。
その記憶の貯水池が「溢れる」瞬間を見つめた、新曲「POOL」。
夏の終わりの虚無感とともに訪れる記憶の走馬灯。
瑞々しい記憶や切ない記憶、すべての記憶が絡み合い溢れ出して、頭の中を心地よく漂っていく。

誰にでもある大切な記憶の「プール」。
当たり前のように 側にあるひと時、
宝物のような 幸せなひと時、
胸を擦り剥いて 眠れないひと時、
目を見れない 恥ずかしいひと時
その一枚、一枚の記憶の断片が折り重なる広大な貯水池。

いつの間にか化粧された記憶ばかりが溢れていき、胸がいっぱいになる。
ありのままの自分を探し求めてその「プール」を泳ぎ続ける。
きっと愉快でしあわせな桃色の記憶だってあるはずだから。
私たちはそんな記憶の「プール」を泳ぐ生きものだ。

D.A.N.

■イヴェント情報

D.A.N. release party "POOL"

2015.10.19 (mon)
at 渋谷WWW

ACT
D.A.N.
U-zhaan × mabanua
submerse

開場19:00 / 開演19:30
前売¥2,800 / 当日¥3,300(ドリンク代別)

問い合せ:WWW 03-5458-7685

チケット
一般発売:9/12(土)
チケットぴあ【P:276-621】/ ローソンチケット【L:76011】 / e+ / WWW・シネマライズ店頭

○D.A.N.
2014年8月に、桜木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、
いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。
2014年9月に自主制作の音源である、CDと手製のZINEを組み合わせた『D.A.N. ZINE』を100枚限定で発売し既に完売。
6月11日に開催の渋谷WWW企画『NEWWW』でVJ映像も取り入れたアート性の高いパフォーマンスで称賛を浴びる。
そして、トクマルシューゴ、蓮沼執太、森は生きているなどのエンジニアを務める葛西敏彦を迎え制作された、
デビューe.p『EP』を7月8日にリリース。7月にはFUJI ROCK FESTIVAL '15《Rookie A Go Go》に出演。

○U-zhaan × mabanua (ユザーン・バイ・マバヌア)
タブラ奏者 U-zhaanとドラマーmabanuaによるプロジェクト。
レイ・ハラカミ氏の「ユザーンがmabanuaくんとやるのをちょっと観てみたいなー、おれ」という軽い勧めにより結成。
音源リリースは未だないにも関わらず、UNIQLO CMへの楽曲提供や、FUJI ROCK、KAIKOO、りんご音楽祭など全国のフェスにも多数出演。

U-zhaan
ザキール・フセイン、オニンド・チャタルジーの両氏にタブラを師事。yanokami、UA、HIFANA、七尾旅人、SUPER CAR、
大橋トリオ、小室哲哉など多くのアーティストの作品にタブラ奏者として参加している。
憧れのミュージシャンはレイ・ハラカミ。1stアルバム『Tabla Rock Mountain』が発売中。
https://u-zhaan.com/

○mabanua
ドラマー、ビートメーカー、シンガー。Chara、くるり、大橋トリオ、DJ BAKU、COMA-CHI、TWIGY、Eshe、Chet Fakerなどの作品のプロデューサー、
ドラマー、リミキサーとしても活動。またGoogle、キユーピー、UNITED ARROWSなど数々のCM音楽の制作や、
フジテレビ系アニメ「坂道のアポロン」「スペース☆ダンディ」への楽曲提供など、あらゆるシーンで奮闘中。
https://mabanua.com/

○submerse
イギリス出身のsubmerseは超個人的な影響を独自のセンスで 消化し、 ビートミュージック、ヒップホップ、
エレクトロニカを縦横無尽 に横断するユニークなスタイルを持つ DJ/ビートメーカーとして知られている。
SonarSound Tokyo2013、Boiler Room、Low End Theoryなど国内外の人気パーティーに数多く出演。
また、Pitchfork、FACT Magazine、XLR8R、BBC といった影響力のあるメディアから高い評価を受ける。
昨年ファーストアルバ ム『Slow Waves』を、今春最新EP 『Stay Home』を flau/Project Mooncircleよりリリース、ロングセラーを続けている。
https://soundcloud.com/flaurecords/sets/submerse-stay-home
https://soundcloud.com/submerse/slow-waves


Tamaryn - ele-king

 サイケデリア。それは00年代末期から2010年代のインディロックを語る上で重要なタームのひとつだ。そして、そのサイケデリアを語るうえで欠くことのできないレーベルが、ニューヨークの〈メキシカン・サマー〉である。

 同レーベルは2008年に設立されている。翌2009年にはウォッシュド・アウトのデビューEP『ライフ・オブ・レジャー』を世に送り出し、10年代的なチルウェイヴ/サイケデリアの重要な源流を作り出す。また、ネオ・シューゲイザーの重要バンド、ノー・ジョイなども本レーベルからリリースを重ねている。
 さらに昨年、アンドラス・フォックス 『ヴィブラート・オン・サイレント』や、トーン・ホーク『レッツ・クライ・アンド・ドゥー・プッシュアップス・アット・ザ・セイム・タイム』など、ポストインターネットな作品もラインナップに加えており、最先端への目配せも忘れてはいない(ワンオートリクス・ポイント・ネヴァー主宰〈ソフトウェア〉は、〈メキシカン・サマー〉傘下)。そのうえロバート・レスター・フォルサムやリンダ・パーハクスのリイシューまで行っているのだから、まさに現代性と歴史性を兼ね備えた優良レーベルといえよう。
 今年のリリース作品を見渡してみても、ジェフレ・キャンツーリデスマ『ア・イヤー・ウィズ・13ムーンズ』、トラヴィス・ブレッツァー『ワキシング・ロマンティック』、ノー・ジョイ『モア・フェイスフル』など、現代のサイケリデリアを象徴するアルバムを多数リリースしている。このタマリンの新作も素晴らしい。

 タマリンは、タマリン・ブラウンの湿り気を帯びたヴォーカルを中心としつつ、ギターのレックス・ジョン・シェルヴァートンの蒼白い炎のようなギターワークの存在感が強いバンドであった。彼らは2010年にファースト・アルバム『ザ・ウェイヴス』、2012年にセカンド・アルバム『テンダー・ニュー・サインズ』などを〈メキシカン・サマー〉に残しているが、その幽玄な音楽性は2010年代的なシューゲイズ/サイケデリアそのものといってよい作風だ。

 しかし本作において彼らは大きな方向転換を図っている。アリエル・ピンクの盟友であり、ノー・ジョイの新作も手掛けたホルヘ・エルブレヒトがプロデュースを担当し、ウィークエンドのショーン・ダーカンをバンドに迎えたのである。結果、その音楽性はシンセポップ的かつインディR&B的な華やかさと、ダークな80年代ニューウェイヴな雰囲気が濃厚になってきたのだ。

 1曲め“クレーンキス”はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの“スーン”を思わせもするが、2曲め“ハンズ・オール・オーヴァー・ミー”、3曲め“ラスト”から一転してシンセポップ色が強くなる。6曲め“ソフトコア”からは80年代的なニューウェイヴ・モードに突入し、続く7曲め“フェイド・アウェイ・スロウ”にはコクトー・ツインズやバウハウスのような4AD的なダークな雰囲気が充満している。
 とはいえ、このような変化は意外ではない。何故なら近年のシューゲイザーは、MBV的なものと、4AD的なダークなニューウェイヴの強い影響下にあるからだ。

 タマリンの新作もそのような潮流をよく表している。しかし、それがヨーロッパの音楽ではなく、アメリカの音楽という点が私には重要に思える。ヨーロッパ的な歴史が積層されていくゴシック感覚ではなく、資本主義の廃墟に生じるアメリカ的な歴史の止まった環境(音楽でいえばカート・コバーンの死以降、90年代以降)。それが彼らのサイケデリアに(無意識であっても)強く影響しているように思えてならない。
 歴史の停滞とサイケデリア。タマリンと〈メキシカン・サマー〉は、そんな現代のポップミュージックの光景を良質なインディロック/インディ・ミュージックとしてプレゼンテーションしている。資本主義の砂漠に咲く美しいサイケデリアの花のように。

無為こそ過激 - ele-king

俺のラップはファッションではない、パッション
怒り 絶望 喜び 希望 色んなそん時がつまってんだ まだ科学じゃ解明できない
一瞬の爆発を秘めている 目にできないから絵にもできない その時その場所じゃなきゃ分からねぇ……──ギンギラギン

 いちばん最後に見たTAMUくんのラップは方南通り裏のスナックでカラオケマイク持ちだしたとき、ではなくて、他のメンバーも来てタクシーで池袋〈BED〉に向かいMONJUが出演する前にマイクを持ち出してフリースタイルをキメだしたやつだったかな、あの時はバッチリキマってたなぁ。いやちがうな、二木くんが高円寺でDJしてるってのを聞いてちょうど卓球BARで飲んでたんで遊びに行ったらマイクを持ち出してフリースタイルはじめた時だな、その時はあんまりキマってなかったなぁ……

 飲んだときの会話で引っ掛かってるのが「自分が描いてきた作品を個展として見せてみたい、その後はぜ~んぶ売ってしまいたい」って言ってたことだったけど、そのパッションという言霊は今週末に結実するんだな。

 あんとき聴いとけばよかったなぁ、見とけばよかったなぁ、ってことになる前に。
 さよならだけが人生だ……

■TAMU 個展 「anmaorenikamauna」xREFUGEE MARKET
2015 9/12(sat)~9/13(sun)
Open15:00~Close22:00
@Time Out cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
Adv 1000円/1D

〈DJ's〉
PUNPEE
16flip
YODEL
WATTER
CHANGYUU
COTTONDOPE
K.K.K.K.K.
qroix
slowcurv
babysitter
illcommunication

and more

<VJ>
VIDEOBOUILLON www.videobouillon.com


THE BELIEVABLE MEDIA IS AROUND US

DownNorthCamp 1st ALBUM REC初日、皆が新しいリリックをキックする。
あいつだったらどんなラップを乗せるのだろう。

「言いたいこと好きなだけ言えるよ。
まだまだまだまだ…」
TAMUのリリックが頭をよぎる。

描き溜められた作品達に込められた残りの「言いたいこと」を今放出することで、
CPF×DNCのプロジェクトに全員参加した形になればと思い、個展を開催します。

由来となったanmaorenikamauna@docomo.ne.jpは、現在使われておりません!

問い合わせ先:
Dogear Records
Time Out Cafe & Diner 03-5774-0440
LIQUIDROOM 03-5464-0800

https://www.timeoutcafe.jp/news/150912000887.html


第33回:パンと薔薇。と党首選 - ele-king

 それはある晴れた夏の日のことだった。
 鬱気質であまり明るい人間ではない筈のうちの連合いが、爽やかな笑顔を浮かべてロンドンから帰って来た。癌の検査で病院に行って来た男が、また何が嬉しくてこんな陽気な顔で帰ってきたのだろうと訝っていると、彼は言った。
 「ロンドンがいい感じだったよ」
 「いい感じって?何処が?」
 「いや全体的に」
 と言って口元を緩ませている。
 「なんか、昔のロンドンみたいだ。俺が育った頃の、昔のワーキングクラスのコミュニティーっつうか、そういう息吹があった」
 相変わらずわかりづらい抽象的なことしか言わないので、具体的にどんな事象が発生したのでその「息吹」とやらを知覚したのかと問いただしてみると、こういうことだった。

 自分が行くべき病院の場所を知らなかった連合いは、ヴィクトリア駅前のバスターミナルに立っていた。おぼろげにこっち方面のバスだろうなあ、と思いながらバス停のひとつに立っていたおばちゃんに「○○病院に行きたいのですが」と話しかけると、「ああ、それならこのバス停だよ。○番のバスに乗って、11番目、いや待てよ、12番目かな、のバス停、左側に大きなガソリンスタンドと貸倉庫が見えて来るから、それをちょっと過ぎたところでバスを降りて、道路を渡ったら煙草屋があるから、そこの角を右に曲がって100メートルぐらい歩いたら云々」とやたら詳しく説明をはじめ、「ああ、でも、アタシそのバスでも家に帰れるから、一緒に乗って、あなたがバスを降りる時にまた教えてあげる」と言ったそうだ。それを聞いた連合いは感心し、「いやあ、今どき、こういうローカルな知識のある人にロンドンで会えるなんて新鮮です。今の世の中はソーシャル・ディヴァイドが進んで、気安く人に話しかけれらない」と言うとおばちゃんは言ったそうだ。
 「いや、ロンドンは変わるんだ。昔のようなコミュニティ・スピリットが戻って来るんだよ」
 おばちゃんはそう胸を張り、
 「あなた、ジェレミー・コービンって知ってる?」
 と唐突に言ったらしい。
 「ああ。すごい人気ですよね」
 「彼はもう30年もイズリントンの議員だった人だよ。ロンドンっていうとすぐウエストミンスター政治って言われるけど、ロンドンのストリートを代表する政治家だっているんだ」
 バスに乗り込んでもおばちゃんは連合いの隣に座ってコービン話を続けたそうだ。
 「俺はジェレミー・コービンの言うことは全て正しいと思うけど、それと政党政治とはまた別物だから……」
 と連合いが言うと、後ろの席に座っていた学生らしい若い黒人女性が
 「私、実はジェレミーを支持するために労働党に入りました」
 と言い、脇の折り畳み式シートに座っていた白髪の爺さんも
 「ゴー、ジェレミー」
 とこっそり親指を立てていたそうだ。
 「ひょっとしてこれはコービン・ファンクラブのバスか何かですか?」
と連合いが言うと、乗客たちがどっと大笑い。みたいなたいへん和やかな光景が展開され、病院近くのバス停で降りるときにはおばちゃんがまた懇切丁寧に病院までの道筋を教えてくれ、病院に着いてからも心なしか受付のお姉ちゃんも看護師もみんな気さくで親切で、ロンドンがきらきらしていたというのだ。
 「それ、天気がよかったからじゃないの?」(実際、天気がいいと英国の人々は明るい)
 とわたしは流しておいたが、ロンドンであんなポジティヴなヴァイブを感じたのは数十年ぶりのことだと連合いは力説していた。

 それが日本に発つ前日のことで、2週間帰省して英国に帰って来てみれば、SKYニュースの世論調査で党首選でのコービン支持が80.7%などという凄い数字になっていた。
 今年の総選挙で英国の世論調査がどれほどあてにならないかということが露呈されたとはいえ、さすがにこれでコービンが労働党の党首に選ばれなかったら裏でトニー・ブレアたちが何かやってるだろう。

 しかし、たったひとりの政治家がストリートのムードまで変えてしまうというのはどういうことなのだろう。

 わたしも日本語のネットの世界ではけっこう早くからコービン推しをしてきたひとりだと思っているが、正直なところ、「どうせ彼が勝つわけがない」という前提はあった。
 ここら辺の気もちは、立候補当初から彼を全力で支援してきた左派ライター、オーウェン・ジョーンズも明かしているところで、彼も「3位で終わるだろうと思っていた」と書いている。しかも、コービンの立候補を知った時の最初のリアクションは「心配だった」と表現している。彼のいかにも政治家らしくないキャラクターが、「反エスタブリッシュメント」のシンボルとしていろいろな人々に利用されはしないかと思ったという。
 オーウェンとコービンは10年来の友人だ。いわゆる「レフトがいかにも行きそうなデモや集会」でしょっちゅう会っていたからだ。拙著『ザ・レフト』にも書いたところだが、「草の根の左派の運動をひとつにまとめてピープルの政治を」というのは、ここ数年、英国でずっと言われて来たことだ。が、オーウェンは「まだ自分たちにはその準備ができていない」と思っていたという。それがコービンの党首選出馬によって数週間のうちに現実になって行くのを見ると、左派にとっては「嬉しい誤算」というより、「へっ?」みたいな戸惑いと怖れがあったのだ。

 ビリー・ブラッグもその複雑なところをFacebookに吐露している。
「労働党の党首選には首を突っ込まないつもりだった。党員ではなく、支持者として見守るつもりだった。党内の人びとに決定させ、自分はその結果を見て労働党を支持するかどうか決めようと思っていた。コービンが立候補した後でさえ、気持ちは変わらなかった……(中略)……だが、僕の気が変わったのは、トニー・ブレアが『自分のハートはコービンと共にある、などと言う人はハート(心臓)の移植手術を受けろ』と言った時だった。僕は労働党にハートのない政党にはなって欲しくない」

           *******

 月曜日にBBC1の「パノラマ」というゴールデンアワー放送のドキュメンタリー番組で、ジェレミー・コービンの台頭について特集していた。今週の土曜日に党首が発表されるというのに、そこまでやるかというぐらいにアンチ・コービンな内容の番組だった。
 BBCは労働党のブレア派と繋がりが深いとは言え、またこれは露骨な。と驚いたが、メディアがこうした報道をやればやるほどコービン人気はうなぎ上りに盛り上がる。

 英国民を舐めちゃいかん。
 ここは昔パンク・ムーヴメントが起きた国だ。
 「それはダメ」「それだけは絶対にいけない」と言われると、無性にそれがやりたくなるのである。

           *******

 コービンに関する不安は、わたしもずっと継続して持っている。
 過去20年間UKに住んで、これだけ大騒ぎされ、まるで新興宗教の教祖のようにもてはやされている政治家を見たのは、トニー・ブレア以来だ。ブレアはあの通りギラギラとエゴが強力で、もともとロックスターを目指していた人だから、ほんとに教祖になったつもりでパワーをエンジョイできた。が、コービンのような「我」のない普通の人がいきなり国中のピープルから教祖にされたら悲劇的に崩壊しそうな気がするからだ。

 けれどもコービンについて熱く語る若い人たちや地べたの労働者たちを見ていると、ここに至る流れは確かにあったと、それを止めることはできなかったと思わずにはいられない。
 例えば昨年は『パレードへようこそ』という映画の思わぬ大ヒットがあり、英国では北から南まで国中の映画館で観客がエンドロールで立ち上がって拍手していたそうだが、あの映画でもっとも印象的なのはストライキ中の炭鉱の女性たちが有名なプロテストソング「パンと薔薇」を歌うシーンだ。


 私たちは行進する 行進する
 美しい昼間の街を
 100万の煤けた台所が
 数千の屋根裏の灰色の製粉部屋が
 きらきらと輝き始める
 突然の日の光に照らされて
 人々が聞くのは私たちの歌
 「パンと薔薇を パンと薔薇を」

 私たちは行進する 行進する
 私たちは男たちのためにも戦う
 彼らは女たちの子供だから
 私たちは今日も彼らの世話をする
 暮らしは楽じゃない 生まれた時から幕が下りる時まで
 体と同じように 心だって飢える
 私たちにパンだけじゃなく 薔薇もください   
               “Bread and Roses”


 ネットに投稿されている誰かが描いたコービンのイラストに、彼が胸に一輪の薔薇をつけている画像がある。(今ではそんなこたあ誰も覚えてないように見えるが)英国労働党のシンボルも実は一輪の赤い薔薇だ。昨日と今日にかけて、わたしは11人の英国人に「薔薇って何のこと?」と尋ねた。ひとりは「愛」だと言った。もうひとりは「モラル」だと言った。そして残りの9人は「尊厳」だと言った。

 日本で左派が「お花畑」と呼ばれることがあるのはじつに言葉の妙というか面白いが、パンが手に入りにくくなる苦しい時代ほど、人間は薔薇のことを思い出す。

 今週末、英国でついにその薔薇が再び咲くかもしれない。
 長いこと人気のない温室でしか咲かなかったその薔薇が、風雪にさらされる場所に咲いても大丈夫なのか、どうすればわたしたちはそれを枯らさずにいられるのか、これからが本物の正念場だ。

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