「Nothing」と一致するもの

アルカ(Arca)新作は11月! - ele-king

 アルカ。
 自主リリースのミックステープ『&&&&&』が話題となって、あれよという間にほぼ無名ながらカニエ・ウェストの『イールズ』に5曲参加、立て続けにFKAツイッグスのプロデューサーとしても『EP2』『LP1』とメモリアルな作品を残し、契約争奪戦の上で〈ミュート〉とのサインにいたり、傑作『ゼン』をリリース、今年はビョークのアルバム『ヴァルニキュラ』を共同プロデュースした、あのアルカだ。

 彼(女)の新作リリースが決定した。

 ポスト・インターネットを象徴し、アンダーグラウンドが時代とメジャーを動かすことを鮮やかに示してみせた彼(女)が、次のステージで表現するものは何か。自らのルーツや環境、社会的なコンフリクトと向かい合った上で踏み出される、その第2歩めに期待が高まる。

 「『ミュータント』は、デビュー・アルバム『ゼン』が内省的な作品だったのに対して、外に開かれ、そしてより大胆な作品となった」 プレス・リリースより

 制作上のパートナーとして、ヴィジュアル面を全面的に手掛ける鬼才ジェシー・カンダも、もちろん今回も切れっきれである。まずは新作ヴィジュアルと最新アー写、そして新作MVをお届けしよう。

■新着ミュージック・ヴィデオ「EN」

 我々の前に現れた突然変異(ミュータント)。デビュー作をはるかに圧倒する作品完成!
 昨年リリースされたデビュー・アルバム『ゼン』の尖鋭性、ビョーク、カニエ・ウェストやFKAツイッグスのプロデュース、奇妙で美しいヴィジュアル・アートとの融合作品…全世界に衝撃を与えたこれらの作品はアルカの才能のほんの序章だった。
 デビュー・アルバムから1年、アルカは、ミュータント(突然変異)というタイトルのセカンド・アルバムを早くも完成させた。まさに溢れ出るほどの才能が一気に解放されたような作品だ。

 デビュー作で末恐ろしい24歳と評され、時代の寵児となったアルカ、その今後の作品への可能性は、どきどきさせるようなものだった。そして本作はその通りの作品となった。
 デビュー作を下敷きとしながら、音楽的豊潤さ、表現力、全てにおいて圧倒している。そして彼はこれだけのことをやりながらも、まだ25歳ということも末恐ろしい。今作は全てにおいてレッド・ゾーンに突っ込んだようだ。

 発売は11月18日。

■アルカ / ミュータント
発売日:11月18日 日本先行発売 (海外:11/20)
品番:TRCP-190
JAN:4571260584884
定価:スペシャル・プライス2,100円(税抜)
ボーナス・トラック収録
解説: 佐々木渉(クリプトン)

■アルカ
アルカ(ARCA)ことアレハンドロ・ゲルシ(Alejandro Ghersi)はベネズエラ出身の24歳。現在はロンドン在住。2012年にNYのレーベルUNOよりリリースされた『Baron Libre』,『Stretch 1』と『Stretch 2』のEP三部作、2013年に自主リリースされたミックステープ『&&&&&』は、世界中で話題となる。2013年、カニエ・ウェストの『イールズ』に5曲参加(プロデュース:4曲/ プログラミング:1曲)。またアルカのヴィジュアル面は全てヴィジュアル・コラボレーターのジェシー・カンダによるもので、2013年、MoMA現代美術館でのアルカの『&&&&&』を映像化した作品上映は大きな話題を呼んだ。FKAツイッグスのプロデューサーとしても名高く、『EP2』(2013年)、デビュー・アルバム『LP1』(2014年)をプロデュース、またそのヴィジュアルをジェシー・カンダが担当した。2014年、契約争奪戦の上MUTEと契約し、10月デビュー・アルバム『ゼン』 (“Xen”)をリリース。ビョークのアルバム『Vulnicura』(2015年)は、ビョークと共同プロデュースを行い、その後ワールド・ツアーのメンバーとして参加した。2015年11月、2ndアルバム『ミュータント』リリース。

■ジェシー・カンダ
アルカのヴィジュアル・コラボレーター。アルカが14歳の時、とあるアーティストのオンライン・コミュニティーで知り合って以来の仲。「ジェシーと僕は知合ってからもう相当長いからね」とアルカが説明する。「何か疑問点があったとして、僕が音楽面でその疑問点をそのままにしてると、ジェシーがビジュアルでその答えを出してくるんだよね。ジェシーがそのままその疑問に映像で答えを出してなかった時は、それは音楽で答えを出すべきだ、という事だと思うんだ」。本作のアートワークもジェシー・カンダが担当。その加工されたヴィジュアルに関して「それは作品自身の内部で起こってる事を反映したもの」by ジェシー・カンダ。
https://www.jessekanda.com/

■ディスコグラフィー
1st AL『ゼン』(Xen) (2014年) TRCP-178 (TRCP-178X: HQCD仕様として2015年3月に再発)
2nd AL 『ミュータント』(Mutant) (2015年) TRCP-190

■デビュー・アルバム『ゼン』まとめ。
[Visual] https://bit.ly/1UUmQTd
[特集記事] https://bit.ly/1Dzi7iw

■リンク先
https://www.arca1000000.com
https://soundcloud.com/arca1000000
https://www.facebook.com/arca1000000
https://twitter.com/arca1000000
https://instagram.com/arca1000000
https://mute.com
https://trafficjpn.com

■公開中のミュージック・ヴィデオ「Soichiro」 *「Soichiro」とはジェシー・カンダのミドル・ネーム


Sam Binga - ele-king

 ここ数年間、ドラムンベースを追っているリスナーたちの多くから賞賛のことばを浴びてきたアーティスト、サム・ビンガ。いや、むしろそのサポーターの枠はドラムンベースに限らず、フットワークからワールド周辺の刺激的な音を求めるディガーの方にも多いという事実に注目するべきなのかもしれない。たしかに、いくつかの点において、「重低音」というターム内だけで聴くには、あまりにも広い表現をするアーティストだ。

 前回のアルバム『ジョイント・ベンチャー』はバオビンガ名義で自身の〈ビルド・レコーディングス〉から2011年に発表され、それまでのキャリアを総括するような、ブレイクビーツをダブステップやドラムンベース上で巧みに組み合わせたサウンドを披露。それ以降、彼は名義をサム・ビンガに変更し2013年にリリースを再始動させた。その年に〈エグジット〉からオム・ユニットとの共作で発表された『スモール・ビクトリーズEP』を、今回彼の音に初めて接する方に薦めよう。UKアンダーグラウンドのメッカであるブリストルから、フットワークやトラップの要素までをも取り込んだ音は、リリースから2年経ったいまでもフォロワーを寄せ付けない金字塔になっている。

 そういった傑作を連発しているプロデューサーなだけに、この名義でどんなアルバムを発表するのか大きな期待がかかっていたことは間違いない。それに彼はすでに10年選手だ。ジャンルの変化やプロダクション・テクノロジーの進歩が、いかにひとりのアーティストに影響を与えうるのかという意味でも、サム・ビンガはリスナーの注目を集めていた(もしかしたらポシャってしまうという不安もあったかも漂っていたかもしれない)。

 そうして先日、とうとう『ウェイステッド・デイズ』が我々の手元に届いたわけだ。語弊があるかもしれないが、これは「ラップ」アルバムだ。サム・ビンガはほぼ全曲にわたって、さまざまなMCとコラボレーションをしている。そして、その声の使い方がとても素晴らしい。それは冒頭のウォーリアー・クィーンとの表題曲を聴けば一目瞭然だ。彼女が声を荒げるとき、バックトラックのベースも突き抜けるようにトーンを上げ、有機的にリズムを形成していく。ベース・カルチャーにおいては、トラックという絶対的な存在に、MCが即興でことばを被せていくのがひとつのマナーであったわけだが、サム・ビンガは他人のための作品ではなく、自身のアルバムにおいて他者との共存を選び取ったわけだ。

 アルバムを支えている強靭なトラックにも、やはり最後の最後まで目を離すことはできない。作品全体貫くのは、ドラムンベースとジュークの共通項である170BPM前後の速度なのだが、そのなかでの表情の付け方が……。いわゆるジュークの三連キックが出てくることもあれば、MCに空間を明け渡して、そこにUSのサグさを投入したり、グライムのクラップが高速で鳴らされたりと、雑食性は混迷を極めているのだが、なぜかそれがスッキリと成り立っている。謎だ。

 一聴するとジェット・コースター的なノリで時間が過ぎるのかと思えば、“マインド・アンド・スピリット”のような曲では、叙情性までもが溢れ出してくる。その辺で、このカオスを理解するのではなく、消化不良のまま飲み込むことが正解なんじゃないかとすら思えてきてしまう。再度、MCの話に戻ってしまうのだが、そこでマイクを握るライダー・シャフィークの声がまた……良い。恐らくは褒められるようなことなど歌っていないのだが、他のMCと比べてみても、フロウするところはフロウし、きっちりリズムにハメるところではそのタイミングを逃さない。こういうときに、歌詞カードが手元にないことを悔やみたくなる。

 やはりこの作品を「ラップ&リズム」アルバムと呼びたい。そこに踊るひとがいる限り、やはり音楽はリズムの呪縛からは逃れられないし、身体的に訴えかけるような声もやはりまだまだデジタル時代には必要なようだ。そのテーゼを突き進んだのがこの生産的な「無駄な日々」であり、たとえそれが「ベース・ミュージック」論争に巻き込まれようが、DJに使いづらいと罵倒されようが、そこでサム・ビンガが選択したリズムと声は、現代において想像以上に強いのである。

Idjut Boys - ele-king

 ディスコ・ダブのパイオニアであるイジャット・ボーイズが今月末から11月上旬にかけて日本ツアーを敢行する。今年8月に〈スモールタウン・スーパーサウンド〉からリリースされた最新作『ヴァージョンズ』は、2012年に同レーベルから発表した『セラー・ドア』を換骨奪胎、ダブ・アレンジをしたもので、90年代より続くふたりのキャリアに裏打ちされた傑作だ。
 現在、ノルウェイ〈セックス・タグス〉のDJフェット・バーガーとDJソトフェットらの活動によって、再評価がされているディスコ・ダブだが、今回の来日ツアーはそのサウンドを理解する上でよい機会になるだろう。

Idjut Boys Japan Tour 2015
- new album "Versions" release party -

10.30 (金) 岡山 Yebisu Ya Pro
Info: Yebisu Ya Pro https://yebisuyapro.jp

10.31 (土) 大阪 Studio Partita (名村造船所跡地)
Info: CCO クリエイティブセンター大阪 https://www.namura.cc
CIRCUS OSAKA circus https://circus-osaka.com

11.2 (火/祝前日) 東京 CIRCUS Tokyo
Info: CIRCUS TOKYO https://circus-tokyo.jp

11.6 (金) 浜松 Planet Cafe
Info: Planet Cafe https://www.club-planetcafe.com

11.7 (土) 札幌 Precious Hall
Info: Precious Hall https://www.precioushall.com

11.8 (日) 江ノ島 OPPA-LA
Info: OPPA-LA https://oppala.exblog.jp

Total Tour Info:
AHB Production https://ahbproduction.com

calentito:
https://bit.ly/1N2w6ms

映画会社で働いていたDanと、サボテン農場で働いていたConradが出会い、Idjut Boysを結成。2人はパブやレストランでPhreekという名前のパーティーを始め、そのパーティーはその後、U-Star Dance Partyとなった。パーティーU-Star Dance Partyをそのままにレーベル名に使用し、1994年にはレーベルU-STARが立ち上がった。ダンスミュージックへの強い愛情をライブ感覚溢れたダブ処理とユーモアによって昇華した彼らの作品は、単なるリコンストラクトに留まらないオリジナリティーに満ちており、”Dub- Disco”なスタイルを確立。DiscfunctionとNOIDというレーベルも始動させ、また2000年以降はcottageとDroidというレーベルを立ち上げ、それらのレーベルを通じて素晴らしい才能達をリリースした。そんなIdjut BoysのDJスタイルとは、巧みなミックスと創造性溢れる選曲で構成されるmadでグルーヴィーなダンスパーティーである。2011年、Idjut Boysとしての初のオリジナルアルバム『Cellar Door』をSmalltown Supersoundより発表。2014年、大阪の盟友Altzが主宰するALTZMUSICAからドーナツ盤”World 1st Day”をリリース。2015年9月には『Cellar Door』をまるまるダブ化したダブ・アルバム『Versions』をリリース。今回はそのアルバムリリースツアーとしての来日が決定した。


ENA - ele-king

 東京を拠点に活動するプロデューサー、エナが11月にふたつの作品をベルリンの〈サムライ・ホロ〉
と、その姉妹レーベル〈サムライ・レッド・シール〉よりリリースする。昨年に同レーベルよりリリースされた『バイノーラル』では、ダブステップとドラムンベース以降の重低音とリズムの新境地を切り拓き、作品は高い評価を得た。その年末には東京での彼のホームである〈バック・トゥ・チル〉のコンピレーションに参加し、今年に入ってからはカセットで『ディバイデッド』をリリース。今回の作品は2015年初のレコード・リリースとなる。
 RAによれば、〈サムライ・ホロ〉からの『ディバイデッド9 & 10』が7インチでリリースされ、〈サムライ・レッド・シール〉からの『メテオ』のデジタル版にはボーナス・トラック2曲が追加される。トラック・リストは以下の通り。

Release:2015年11月6日

『Divided 9 & 10』
〈Samurai Horo〉
A 9th Divided
B 10th Divided

『Meteor』
〈Samurai Red Seal〉
A1 Meteor
A2 Bulkhead
B1 Insective

JUZU a.k.a. MOOCHY (J.A.K.A.M. / NXS / CROSSPOINT) - ele-king

最近ゲットした新譜

Obscure Rural Laid Back Rock Bandit Buggy Classics

Rose Mcdowall - ele-king

 ローズ・マクドウォールと聞いてもいまいちピンとこないかもしれませんね。というわけで、“ふたりのイエスタディ”といえば話は早いだろうか(ちなみに吉川ひなのとトミー・フェブラリーもカヴァーしてましたよね!)?
 そうなんです。このローズ、何を隠そう──水玉模様の衣装とド派手なメイク&ヘアスタイルをキメこんで、時代を先取りしたゴスロリ・ファッションと甘くはじけるシンセ・ポップで80年代のお茶の間を席巻した──グラスゴー出身の女の子デュオ=ストロベリー・スウィッチブレイドの片割れなのだ。

 突然の名声により2人が抱えた精神的ストレスは相当なものだったのだろう。スウィッチブレイドはわずか1枚のアルバムを残して86年に解散。その後、ソロへの道を歩んだローズが唯一発表している作品『カット・ウィズ・ザ・ケイク・ナイフ』(2004)がこの度リイシューされた。そして、そのリイシュー元が、現行ポストパンク〜ノイズ〜シンセポップ・シーンのなかでもとりわけセンシブルでトンガった連中の作品を輩出するレーベル〈セイクリッド・ボーンズ〉と〈ナイト・スクール〉ということからだけでも、この作品がいまこそ聴かれるべき状況にあることを容易に察知できるはずだ。

 さて、その内容はというと、88年〜89年に録音されたデモ音源に、88年にリリースされたEP『ドント・フィア・ザ・リーパー』(「死神を恐れないで〜」なんて歌うブルー・オイスター・カルトのカヴァー曲!)の2曲を追加収録したものである。そして、このデモ音源。ずばり! ストロベリー・スウィッチブレイドのセカンド用に作られた曲も多く含まれているので、(相方ジル・ブライソンのいない)ひとりスウィッチブレイドの未発表曲集としても十二分に楽しめる。しかも、スウィッチブレイド時代のポップスター然としたゴージャスなサウンドの装飾(それはそれで重要なのだけれど)が取りはらわれているぶん、ハッとしてグー! なメロディの豊かさがよりくっきりと浮かび上がり、雲の間から射しこまれる「天使のはしご」のごとくローズの歌声とソングライティングの妙がゆらめきながら光り降り立つのだ。

 そして、もはや説明不要かもしれないけれど、ローズ・マクドウォールといえばコイル、サイキックTV、カレント93からデス・イン・ジューンに至るまで、いまも語り草となっている当時のインダストリアル〜ゴシック〜ネオフォーク〜オカルティックな音響シーンの最重要バンドを渡り歩いた歌姫としても知られている。なので、本作はパンク上がりの田舎の不良少女があれよあれよと表舞台に駆け上がり世界をカラフルに彩ったポップ・サイドと、まったく同じ時期に地下に潜りこみ世界を禍々しい黒に染めた暗黒サイドをつなぐ奇跡的な軌跡としても聴きどころたっぷりである。いかんせん太陽の光が強い分、裏に潜む影の部分がいっそう存在感を増し、その強いコントラストを存分に楽しめるってわけだ!

 アルバムはカレント93のデヴィッド・チベットとの失われた友情について歌われる悲しい哀しいナンバー“チベット”から幕を開ける。そして、続く“サンボーイ”ではスロッビング・グリッスル〜サイキックTVのジェネシス・P・オリッジと、80年代ニューロマを代表したバンド・パナッシュのメンバーにして後にサイキックTVに参加するポール・ハンプシャーについて歌われている。とはいえ、そのサウンドにドロリとした重さはなく、とびきりポップで軽快だ。ポコポコとしたチープなリズムが小気味良いドラムマシンのビートに、ソーダ水のように清涼感あるシンセとクリアなギターがピチピチはずむ。そこに乗っかるシュガーコーティングされたローズの歌声は、どれだけリアルで悲しみにあふれて陰鬱な内容を描き出そうとも、辺りにぱっと華やいだ真紅の花を咲かせる。まさに甘くて美味しい毒入りキャンディー。地上世界からドロップアウトした地下世界のフェティシストたちを虜にしたのも納得である。

 また、美しいハーモニーと情緒あふれるグッド・メロディが短編映画のように紡がれ、ローズの心の中に秘められたさまざまな心象風景を覗かせる“シックスティー・カウボーイズ”。シンセによるセンチメンタルなリフをバックにドラムマシンが疾走するイントロだけでインディー・ギターポップ・ファンのハートを打ち抜くキラー・チューン“クリスタル・ナイト”(最近のダムダム・ガールズ・ファンにも聴いてほしい)など、シンプルながらも繰り返し聴きたくなる現代性と中毒性はかなりのものだ。

 というわけで、王道シンセ・ポップ好きからアヴァンギャルド好きまでをもそわそわさせるこのリイシュー。水玉模様のファンシー・ドレスからタイトな黒のレザー・スーツに衣替えし、天使も悪魔も困惑させてしまうローズのコケティッシュな魅力だけでなく、彼女の想像力豊かでずば抜けたポップ・センス(というか罪深き魔力ですね、これは)をこれでもかと再確認できるリリースとなっている。

 余談になるけれど、これを機にローズがノイズ・ユニット「ノン」のボイド・ライスと結成していたデュオ=スペルが発表した60Sポップスのカヴァー集『シーズンズ・イン・ザ・サン』(1993)。そして、ロバート・リーと結成していたデュオ=ソロウによるケルティック色も漂う夢見心地アルバム『アンダー・ザ・ユー・ポゼスト』(1993)のリイシューも密かに願う。

Moritz Von Oswald - ele-king

 ダブ・テクノのレジェンド、モーリッツ・フォン・オズワルドのコンソール・システム、Speak Electronics SSM-24が現在eByaで競売にかけられており、出品者はモーリッツの代理人のネーション-X。
 ベーシック・チャンネル全盛期においては、彼らの使用機材は完全にシークレットだっただけに、衝撃は大きい。なにしろあれほどのミニマル(最小)の音が、これほどの卓でミックスされていたのかと思うと、感慨深い。
 ちなみに現時点での値段は17,500ユーロ(日本円で約237万円)。『Fact』によれば、本機によって、ベーシック・チャンネル、モーリッツォ、リズム&サウンドの諸作品や『リコンポーズド』が作られ、今日でも状態は良好だそうだ。

Regis - ele-king

 〈ダウンワーズ〉総帥として、またブリティッシュ・マーダー・ボーイズ(BMB)としてサージョン(Surgeon)とともにハードテクノの一時代を築き上げ、ファンクション(Function)、サイレント・サーヴァント(Silent Servant)、フィメール(Female)らとのレーベル・コレクティヴ、サンドウェル・ディストリクト(Sandwell District)によってポストパンク/パワエレ/インダストリアルとテクノをノワールなイメージとミニマリズムで繋いだカール・オコナーことリージス。

 暗黒電子音界最高峰プロデューサーとしての近年の秀逸な仕事をまとめたコンピレーション『マンバイト』が〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉から発売された。アイク・ヤードやヴァチカン・シャドウ、ダルハウスにファミリー・セックス、レイムらのトラックを完全に我が物に扱い、ほぼオリジナルとして再構築される敏腕エディット術。凍りつくように美しいミニマリズムはリージスにしか出しえないのだ。え? ヴァージョン違いばっかりじゃなくって新たなオリジナル曲はどうしたの? という疑問を忘れるくらい、あらためて関心させられる。ま、ほぼ聴いた音源で被りまくることでお馴染みのBEBですから。

 もちろん、本人としても近年はプロデュースとコラボレーション・ワークを中心に据えての活動を好んでいることに間違いはないが、誰もが彼の完全新録トラックを待ち望んでいるだろう。

 ぜんぜん関係ないけど、最近ゴッドフレッシュとのライヴ・コラボレーションを披露するとかしたとか。そこまでもろなインダストリアル・メタルとの邂逅はなにげに初めての試みなんじゃないか?

WIRED CLASH - ele-king

 日本最大規模のテクノ・パーティのワイヤーとクラッシュのコラボレーション・イベント、ワイヤード・クラッシュの開催が今月24日に迫るなか、リッチー・ホゥティンやレディオ・スレイヴらスターDJに加えて、さらに石野卓球とケン・イシイがB2Bで出演することが発表された。長年日本テクノ代表を務めてきたふたりの共演を、是非スタジオ・コーストの音響で。DJソデヤマといった先鋭的なプレイヤーから、東京のローカルで活躍するスンダまで実に多彩な顔ぶれが揃っており、4つのステージを往復するのに忙しくなりそうだ。詳細は以下の通り。


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