「Nothing」と一致するもの

MJ (BLACKSHEEP) - ele-king

BLACKSHEEP Classics

BLACKSHEEP所属、昆虫界のマイケルジャクソン。
10/8(土)にBLACKSHEEP8周年パーティを開催します。
内容、ロケーション共に素晴らしく、周年に相応しい渾身のパーティをメイクしますので、ぜひお越しください‼︎

《BLACKSHEEP party info》

vol.85 8th ANNIVERSARY PARTY
2016.10.8(sat) at 富士白糸ワンダーミュージアム跡地(静岡県富士宮市佐折599-1)

vol.86 feat.混乱
2016.11.26(sat) at 高円寺knock & smallaxe

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カフカ鼾 - ele-king

 「オキテ」から「ネムッテ」へ。起床から睡眠へ。ライヴ録音からスタジオ録音へ。ジム・オルーク、石橋英子、山本達久によるカフカ鼾、待望の新作『ネムッテ』は、前作『オキテ』とは対照的な作品である。
 いうまでもなく、素晴らしい仕上がりだ。ピアノもドラムもギターもベースも抑制された(しかし圧倒的な演奏技術で)即興演奏をジワジワと展開・持続させている。全1曲39分。ここに陶酔はない。しかし覚醒しているわけでもない。起きているわけでもない。かといって寝ているわけでもない。それらの中間領域に、滲みのように「浸透」していくような時間の生成がある。

 この滲むような「浸透」感覚こそ、ジム・オルーク的なのだ。映画用語の「ディゾルブ的」といいかえてもいいかもしれない。ディゾルブとは映像のオーヴァーラップのようなもので、前の映像に後の映像が重なって写り、やがて前の映像が消え去っていくという映像手法のことである(本作でじっさいに音がオーヴァーラップすることはない。あくまで印象の話。ちなみにジャン=リュック・ゴダールも『映画史』などの編集で多用している)。
 そもそも映画愛好家でもあるオルークの編集には、どこか映画的な持続や編集を感じることが多い。たとえば彼の初期作品『ルールス・オブ・リダクション』(1993)は、リュック・フェラーリの「ほとんど何もない」を思い起こさせるフィールド・レコーディング作品なのだが、いくつものサウンド・モジュールが映画のシークエンスのように編集され、いつのまにか変化を遂げていくような「ディゾルブ」的な構成・構造・感覚を有していた(繰り返すが、あからさまなオーヴァーラップなどはない。自然に/いつのまにか、だ)。
もっとも、この『ルールス・オブ・リダクション』をリリースしたシリーズ自体が「音のない映画」をテーマに掲げたものであったのだから、「ジム・オルークが考える音響=映画」的曲であっても当然だろう。が、それゆえオルークの「映画=音響」観を、ほかの作品よりも直裁に示した貴重な例でもあった。この10数分の短い音響作品には、「ポスト・ゴダール」的ともいえる独自の音響的持続が生成していた。まるで「監督:ジム・オルーク」作品とでも称したいCDである。

 私はカフカ鼾の新作『ネムッテ』は、『ルールス・オブ・リダクション』のように「監督:ジム・オルーク」の側面が全面に出たアルバムではないかと考えている。むろん、この作品では、石橋と山本という日本屈指の演奏家が凄まじい演奏を繰り広げているし、ジム・オルークもギターからノイズ、ベースに至るまで適材適所に卓抜な演奏を披露している。とくに水滴のように透明な石橋のピアノや、伸縮するようなタイム感覚が卓抜な山本のドラムの隙間から、どこか冷徹な眼差しをむけるようなシンセのような音が素晴らしい。幽霊のように控えめでありながら、しかし、幽霊のように、そこにいる音。
 しかし、である。『ネムッテ』全編を聴き終えたとき、私は、たしかに『ルールス・オブ・リダクション』と近い編集感覚を抱いたのだ。音響と音響のブロックが、まるでディゾルブで繋がっていくように「浸透」する感覚が、このアルバムには極めて濃厚に感じられたのである。
 これはオルークが参加したフリー・インプロヴィゼーション系のアルバムにはあまり感じられない感覚で、カフカ鼾特有のものといえよう。その意味でカフカ鼾の新作を「オルークのインプロ系」とすることはできないはずだ。むしろ、ファウストの『リアン』(1994)の系譜にある作品なのではないか。演奏を偏執的に、緻密に、細やかに、大胆に編集していく、という意味で、である。このカフカ鼾の新作もまた、滲み、浸透していくようなオルークの編集術を存分に満喫することができるのだ。

 そう、最高の演奏家の演奏を、その最良の瞬間を抜き出しつつ、しかしどこか冷徹な眼差し(耳)で、「ただの音響」として扱うこと。それによって独自の時間感覚を生成すること。この「演奏家の演奏」を「役者の演技」もしくは「風景」と考えてみると(自身が「演奏=出演」しているとはいえ)、本作のジム・オルークが「監督」としての役割に徹していることも分かってくる。そう、本作には、彼の映画・映像的な編集センスが、演奏の横溢の向こう側に、確かにうごめいているのだ。

TwiGy - ele-king

 ソロ名義は無論のこと、MICROPHONE PAGERや雷の一員として、あるいは岸田繁やプレフューズ73といった様々なアーティストとのコラボレーションを通して、日本語ラップを変革し続けながら貪欲に多様な音楽スタイルに取り組んできた伝説的ラッパー、TwiGy。6月に刊行された自伝『十六小節』も大きな話題を呼んでいる彼だが、このたび、10月4日(火)深夜に放送される『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)にゲストで出演することが発表された。これはTwiGyの最新パフォーマンスをチェックする絶好の機会である。火曜日の晩は夜更かしすべし!

日本語ラップを変革したラッパー、ジャパニーズ・ヒップホップ界のレジェンド、TwiGyがはじめて明かし紡いだ自身の歴史『十六小節』(ele-king books)が、初夏に刊行され大きな話題となっているなか、遂に本人の最新ステージ・パフォーマンスをチェックできる機会が!!

いまや社会現象となっているフリースタイルバトルを牽引するTVプログラム『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)10月4日(火曜)深夜放送にて、TwiGyがライヴ・ゲストとして出演する!!

[番組詳細]
フリースタイルダンジョン|テレビ朝日
10/4(火)25:25~
https://www.tv-asahi.co.jp/freestyledungeon/

TwiGy Official:
Twitter https://twitter.com/twigy_tweet
書籍「十六小節」https://www.ele-king.net/books/005124/

トクマルシューゴ - ele-king

 10月19日に4年ぶりとなるニュー・アルバム『TOSS』をリリースするトクマルシューゴ。楳図かずお原作、フィリップ・ドゥクフレ演出、高畑充希&門脇麦主演のミュージカル『わたしは真悟』の音楽を手掛けることでも話題となっている彼だが、このたび、『わたしは真悟』のイラストをアレンジした『TOSS』の〈楳図かずおアナザージャケット・バージョン〉が数量限定でリリースされることが発表された。
 他にも各種特典やTV出演などが続々と決定している。詳細は以下を!

トクマルシューゴのニュー・アルバム『TOSS』に、衝撃の超限定<楳図かずおアナザージャケット・バージョン>が登場!
さらに特典情報やTV出演情報などニュースがてんこもり!

【ニュース 1】
楳図かずお「わたしは真悟」のイラストを大胆にアレンジした『TOSS』<初回限定アナザージャケット・バージョン>発売決定! 限定店舗のみで販売の完全数量限定生産盤につき、即完売→プレミア化は必至です!

トクマルシューゴ
『TOSS』<初回限定アナザージャケット・バージョン>

2016.10.19 in stores
PCD-26066 ¥2,685+税
★完全数量限定生産
★一部店舗のみでの限定販売
※アナザージャケット以外のパッケージ仕様、収録曲は通常ジャケット・バージョン(PCD-26065)と同様です。

[販売店舗]
・タワーレコード:札幌PIVOT店/仙台パルコ店/渋谷店/新宿店/池袋店/秋葉原店/吉祥寺店/町田店/横浜ビブレ店/名古屋近鉄パッセ店/名古屋パルコ店/京都店/梅田大阪マルビル店/梅田NU茶屋町店/難波店/神戸店/広島店/タワーレコードオンライン
・ディスクユニオン:新宿日本のロックインディーズ館/御茶ノ水駅前店/大阪店/オンラインショップ
・ヴィレッジヴァンガード下北沢店
・ローチケHMV(オンライン)
・アマゾン
・TONOFON SHOP

【ニュース 2】
アルバム初回特典として、ボーナストラックのMP3ダウンロードURL付き<紙ホイッスル>を封入! ただのダウンロード・カードにあらず! 組み立てると楽器になっちゃう優れもの!
※アナザージャケット・バージョン、通常ジャケット・バージョン共通特典

【ニュース 3】
アルバム・パッケージは、遊び心に溢れたスペシャルポップアップジャケット仕様! 中身は手に入れてからのお楽しみ♪
※アナザージャケット・バージョン、通常ジャケット・バージョン共通仕様

【ニュース 4】
恒例のTONOFON SHOP限定特典も決定!
新作『TOSS』アナザージャケット・バージョン、通常ジャケット・バージョンを<TONOFON SHOP>にてお買い上げの方に、先着でオリジナル巾着をさしあげます♪
https://shop.tonofon.com/

【ニュース 5】
トクマルシューゴがNHK総合「バナナ♪ゼロミュージック」学校音楽SPに出演します! オンエアは10/8(土)!お見逃しなく!

[番組詳細]
2016年10月8日(土)23:25〜 OA
NHK総合「バナナ♪ゼロミュージック」学校音楽SP
【司会】バナナマン, 久保田祐佳,
【出演】あばれる君, 生田絵梨花, 石井竜也, 桐山照史(ジャニーズWEST), 重岡大毅(ジャニーズWEST), 嗣永桃子, トクマルシューゴ, オルケスタ・バナナゼロ・ムジカ
https://www4.nhk.or.jp/bananazero/


<商品情報>

トクマルシューゴ
『TOSS』

2016.10.19 in stores
PCD-26065 ¥2,685+税
★初回生産分のみダウンロードURL付き紙ホイッスル封入
★スペシャルポップアップジャケット仕様
※価格が¥2,600+税から変更となりました。

MATERIALSCHLACHT - ele-king

 〈グリュン・イン〉をご存知だろうか? 70年代末にデュッセルドルフ近郊のゲーヴェスベルクにあった伝説のパブであり、近年になってその存在が注目されてだしたドイツ音楽シーンに欠かすことのできない拠点だ。ここではロベルト・ゲアル、ピロレーター、ガビ・デルガド、クリスロー・ハース、フランク・フェンスターマッハーといった80年代ドイツを牽引していく錚々たるミュージシャンが出入りし、新たな音を模索しながらセッションに明け暮れていた。1979年になるとこの場所でD.A.F.はファースト・アルバム『Produkt der Deutsch Amerikanischen Freundschaft』を、デア・プランはデビュー・シングル「Das Fleisch」という新しい音楽ムーヴメントの皮切りとなる記念碑的作品を録音している。そしてもうひとつ重要な作品が残されていることを忘れてはならない。マテリアルシュラハト唯一のリリースであるシングル「キンダーフロイントリッヒ」だ。
 マテリアルシュラハトは、のちにフェールファーベンに参加するドラマー、ウーヴェ・バウアーを中心にヴォルフガング・シュペルマンス(D.A.F.、マウマウ)、女性ヴォーカリスト、モナ・リザによって結成された。彼らの公式リリースは前述のシングルしか存在しないが、ライヴ活動はきわめて活発に行っていたことが知られている。ラインナップも流動的で、ミヒャエル・ケムナー(D.A.F.、マウマウ)やピロレーター、フランク・フェンスターマッハー(デア・プラン)らが加入することもあったという。
 今回のCD化は、彼ら唯一の公式リリースである1979年のシングル曲に、同年の未発表ライヴ音源、大幅なメンバーチェンジ後に1983年に録音されたデモ音源を追加し、世界初再発となった。まるでD.A.F.のファースト・アルバムの系譜にあるサウンドをさらに凶暴にしたかのような混沌は、彼らこそがグリュン・インの精神をもっとも色濃く体現化し継承した存在であったことを物語る。初期D.A.F.やデア・プランでさえも、この始原の混沌から派生し、独自に具現化していったのだろう。マテリアルシュラハトのサウンドは、1980年代に巻き起こるあらゆる可能性を内包していたグリュン・インの初期衝動を、生々しく白日の下に曝す。それは当時のドイツ音楽シーンの時代性の縮図そのものに他ならないのだ。

マテリアルシュラハト(CD+7"シングル)
MATERIALSCHLACHT / Kinderfreundlich
SSZ3025OD ¥3,800(+税)
Suezan Studioメーカー直販のみ復刻版「Kinderfreundlich」7インチ・シングルが付属(ホワイト・ビニル)
https://suezan.com


Frank Ocean - ele-king

あなたの表面に浮かぶ印
あなたのしみだらけの顔
傷ついたクリスタルが
あなたの耳からぶら下がって
あなたの怖れは 僕には計り知れなかった
僕は仲間たちには 共感できない
本当は 外側で生きたい
ここにいて 頭がおかしくなるくらいなら
むしろ僕のプライドを粉々に砕いた方がましだ
たぶん僕は馬鹿なんだ
たぶん僕は移動するべきなんだ
どこか落ち着けるところへ
二人の子供たちとプール
僕は臆病者だ
僕は臆病なんだ(★1)

 ポップソングが持つ、既存のフォーマットに絡め取られず、果てしなく自由であること。ルールで固められたホームの、遥か上空を浮遊すること。彼が臆病でないことは、このアルバムの作りを見れば分かる。彼は移動する。

 彼は内側から外側へ移動する。あるいは境界線を移動させ、外側を内側に引き入れる。しかし内側と外側は、見方ひとつで反転してしまう。

 17の名前が付けられたピースたちは、典型的なR&Bの楽曲の長さと比較して、不自然なほど長くてもいいし、逆に短くてもいい。それはシンガーソングライターのソロ・アルバムだが、必ずしも、常に歌声が聞こえていなくてもいい。ビートは、何らかのテンポを刻むが、ダンスフロア向けにチューニングされていなくてもいい。それが、外側で生まれたこのアルバムの色。歌モノのクリシェの外側へ、彼が移動することで拾い上げた、ブロンド色。

 何かを拾い上げたということは、何かを捨てたということだ。フランクが捨てたものたち。そのひとつ。バックビートに打ちつけるスネア。もしくはバックビートをひとつのカテゴリとするビートそのもの。現代的なR&Bの世界の内側がこれまで共有してきたバックビートを疑うこと。結果、中盤から後半にかけて、スネアとキックなき楽音がビートを刻むプリミティヴな風景が展開する中、途中キックとスネアの世界観に回帰する“Close To You”のどこか牧歌的な響き。

 一拍目のキックで沈み込む身体を引き上げるスネア。抑圧された欲望を解放するクラップ。言い換えれば、目の前のあなたを抱き締めることの、あるいは殴りつけることの表象としてのスネア。これらのクリスピーな因子たちを沈黙の沼の底に放置することで、示す、反動。

 あるいはぶつ切りにされ、突発的に挿入されるコラージュのサウンド・ピース群。ティム・ヘッカーやOPNが弄ぶ時空の歪みが、随所に配置された60分超の音の連なり。たとえば“Nights”や“Godspeed”の曲中で肌触りが異なるピースが導入されたときの、あなたの驚きの表情、あるいは好奇心に満ち、仄かに潤んだ瞳の輝き。カーテンが引かれる動作とともに、突然喜怒哀楽の価値が入れ替わったり、心地よさの定義が転覆されたりする世界。

 尺の長い曲と短い曲のふるまいの、圧倒的な差異。まずは、長い曲。弾き語りの楽曲は裸体だ。その裸体に、どのように布をあてがって、隠しながら曝け出し、ラインを強調し、あるいは輪郭を霧で包むかを探求しているのが、フランクのプロダクションだ。ドライな音場でピアノやギターに伴奏される彼の歌声は、あなたが手を伸ばせば、触れられるほど、そこにある。一方で、深い残響音の支配する音場で、彼の歌声は、あなたの目が届かないところまで離れゆく。リヴァーブやディレイは、あなたとの距離を測る物差しだ。いや、そもそもラヴ・ソングというもの自体が、あなたと誰かの距離を測る観測機なのだから、フランクが投げかけるサウンドの肌触りに、あなたは素直に近さや遠さを感じればいい。

 次に、尺の短い曲。たとえば、アンドレ3000のライムで埋め尽くされた“Solo (Reprise)”。フランクはどこで何をしているのか。そこにあるのは、アンドレのライムと、フランクの不在を証明するビート。不在のピアノコード。彼を象徴する歌声を不在とすることのオーラにより、逆に存在感を強調すること。マイルスがトランペットを置いて、オルガンを叩いた“Rated X”のように。セカンド・アルバムにして、すでに不在でいられることへの驚嘆。

 マガジン付属版のオープニングを、加工したヴォイスと日本人のラッパーのライムで飾ること。「君たちを預言者にしてあげる/まずは未来を見てみよう」と歌うフランクに、「今しかない時間/大事にしな/何憶万人も/いい人ならいるよ」と返答するKOHH。逆にKOHHのヴァースの「誰かのことを/誰も縛れはしない/他人の心」というラインに、フランクはアルバムを通して対峙している。人はそれぞれが、他人には計り知れない「怖れ」を抱えている。

 2012年、フランクは4つ前の夏の記憶、つまり19歳のときの夏の記憶をネットで世界に向けてカミングアウトした。彼は、自分と同じ19歳の青年を前にしたその時の状況を「絶望。逃げ場はない。その感情とは交渉の余地はなかった。選択の余地もなかった。それが初恋だった。それが僕の人生を変えた」と記した。

1942年生まれ、ニューヨークはハーレム育ちのアフロアメリカンでゲイのSF作家、サミュエル・R・ディレイニーは、ダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」を批判する論考である「サイボーグ・フェミニズム」の中で次のように述べている。

ひとつの立場から、私は読む。
ひとつの立場から、私はこの読みかたには何かが欠落しているように思う。
かくて、私はひとつのテクストを──テクストのシミュレーションを──ひとつの立場からもうひとつの立場へ手渡す。私のものとはいいがたい借りものの立場から、あなたのものともいいがたい立場へ。このテクストは私のところへ回ってきたが、あなたもまたこれを誰かに手渡すだろう。(★2)

フランクがこのアルバムで模索し、示そうとしているのは、過去に描かれたことのない、歌と、感情と、愛と、人間のあり方だ。かつてディレイニーが僕たちの外側の生物/機械や世界を描いたテクストで、それらを探究したように。フランクは、外側との境界線を軽々と跨ぎながらも、友人や恋人との関係を通して、人は自己の意識の内側、そして皮膚の内側に留まらざるをえないという事実を繰り返し突きつけられる。そして“Be Yourself”ではロージー・ワトソンによってピア・プレッシャーの無化が諭され、“Solo”では「So low」な自身の内側において、孤独=soloであることの高み=ハイになることのポジティヴネスが探られる。

しかしフランクが“Nikes”という楽曲において、ひいてはこのアルバムにおいて証明していることがある。70億の二乗で示される組み合わせから、28歳のルイジアナ育ちのLAのシンガーと、26歳の王子のラッパーのヴァースが連結されることで、何が見えるのか。その、目も眩むような、確率の脆弱さ。そして、その吹けば飛んでしまいそうな確率が生き延びたことで現れた、外側と内側を重ね合わせることで生じるランドスケープの新奇さ。そして、あなたは気付くかもしれない。あなたの日常における他者との出会いも、実は、このように新奇な風景を更新しているのだという事実に。それぞれの怖れは個別のものでも、その怖れから生まれる言葉は共有されうる。他人の内側の怖れは共有できずとも、その怖れから生まれた言葉=テクストは他者に手渡され、外側で書き足され、組み合わさる。その組み合わせに、賭けてみること。

一光年の距離はどのくらいだろう

アルバムはこの言葉で締め括くられる。フィーチャリング・ゲストを単純に並べただけではない、言葉の組み合わせ。ケンドリック・ラマー、ビヨンセ、アンドレ3000、KOHH、ジェイムス・ブレイク、キム・バレル、セバスチャン、そしてフランクの弟や友人の家族、つまり他者の言葉=テクストが有機的に、しかし都度交わらない確率に晒されながら組み合わされたアルバムの、最後のライン。アルバム最後の曲“Futura Free”は、メインの楽曲の後、途中40秒間の空白を挟んで、ノイズ塗れの会話群がコラージュされる。その中で、最後に聞き取れる言葉。ひとつの問い。アフロ・フューチャリズムの想像力が、現在の方向に折り畳む未来。折り返された現在にプロットされた未来が、あるアーティストや作品に、突如として、顔を覗かせることがある。

ディレイニーは、前述の引用部に引き続き、次のように記している。

おそらく、それは移行に関するシミュレーションにほかならない。
読むことによって、我々はそれを食い止めるのだろうか?
読むことによって、我々はそれとともに歩むのだろうか?(★3)

フランクは、移動の目論みをこのアルバムに落とし込んだ。あなたは、このアルバムをどう読んでもいい。いかようにも解釈して、あなたの言葉=テクストを付け加えてもいい。そのために、“Futura Free”の40秒間の空白が、あなたを待っているのだから。

★1:フランク・オーシャン『Blonde』(2016年)より“Seigfried”。
★2、3:巽孝之編『サイボーグ・フェミニズム』2001年、水声社。

吉田雅史

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大勢が僕たちを嫌ってるし、僕たちが存在しなければいいと願っている
──フランク・オーシャンのタンブラーより

 6月12日の夜は眠れなかった。フロリダ州オーランドのゲイ・クラブで49人が殺された銃乱射事件の続報を次々に追っているうちに気がつけば朝になり、精神的にすっかり参ってしまったのだ。そのひと月前にたまたまゲイ・クラブに遊びに行っていた僕は、自分が被害者になるところを……ホモフォビアの凶悪犯に殺されるところを想像した。あるいは逃げ惑う自分を。それから少し経って、犯人がクラブの常連であったことからゲイもしくはバイセクシュアル男性であった可能性が高い(というか、確実にそうだろうと自分は思う)ことが報じられると、いっそういたたまれない気持ちになった。僕は自分が加害者になるところを……自分が同性愛者だと受け入れられず、自己嫌悪とルサンチマンに駆られてホモフォビアに囚われる自分を想像した。自分が被害者にも加害者にもなりえる世界に、いまなお生きている現実を突きつけられた気分だった。そして考えても詮ないことが頭をよぎった。犯人は、フランク・オーシャンの『チャンネル・オレンジ』を聴かなかったのだろうか……と。

 『チャンネル・オレンジ』は、オーシャンが自分の失恋を赤裸々に綴り、歌うことでそれを乗り越えていこうとするところで終わるアルバムだった。そうして自分の恋を葬送し、自身を受け入れる作業でもあった。“フォレスト・ガンプ”……それはラヴ・ソングにおいてはごくありきたりの失恋の物語だったはずだが、青年が青年に抱いた恋心について描かれていたために、ブラック・ミュージック/ポップ・ミュージックを更新する1曲と「なってしまった」。彼自身は自分の表現において、自分自身に正直でありたかっただけだ。社会に何かを強く訴えるとか、自分がきっかけとなるとか、そういうことは優先して考えられていなかったはずだ。僕もあの曲を、あのアルバムをそう捉えていた。
……だから、オーランドの銃乱射事件からしばらく経って、冒頭で引用したメッセージをオーシャンが事件を受けて発表したとき、僕は少し驚くとともに鋭く胸を突かれたような気がした。迷うことなく、「We」「Us」という人称を使っていたその熱のこもった文章に。その時点で発表されていた新作のタイトル『ボーイズ・ドント・クライ』──ザ・キュアーの引用──がどうして複数形なのかようやくわかった。それは反語だ。「僕たち」は、いつだって泣き続けているのだと。僕がフランク・オーシャンを聴いているといつも感じるのは、マイノリティとはたんに人数が少ないということや「属性」のことではない、ということだ。

 散々待たされてようやく発表されたヴィジュアル・アルバム『エンドレス』、そしてそれに続いた『ブロンド』は、「We」「Us」についての作品集だ。虚実入り乱れるストーリーテリングを特徴としていたそれまでの作風に比べ、より内面的で、よりパーソナルな度合いが高まったとされるが、自分には聴けば聴くほどに「僕たち」や「わたしたち」の音楽に思えてくる。膨大かつ多岐にわたるコントリビューター/インスピレーション元のリストのせいもある。ジャンルをやすやすと越えて行き来する音楽性によるところもある。よりエモーショナルな声で歌われている痛みや傷が、とことん赤裸々であるがゆえに生々しいからでもあるだろう。たとえば1曲め、“ナイキス”──あまりに感傷的で、あまりに美しいオープニング・ナンバー──ではエフェクトのかかった声が「RIP トレイヴォン」と告げる。もちろん、銃殺されたトレイヴォン・マーティンのことだ。「RIP トレイヴォン、僕みたいなニガー」。このナンバーのエクステンデッド・ヴァージョンでは、そして、KOHHのラップに引き継がれる。あるいはまた、タイラー・ザ・クリエイターとファレル・ウィリアムスがクレジットされている“ピンク+ホワイト”では涼風を感じるようなスムースな演奏に乗せて自身の生い立ちが綴られているが、それは後半ビヨンセとの現在のポップにおいて最高にリッチで眩しいコーラスとなって表現される。また、ギターの弦の震えが優しげな“スカイライン・トゥ”では夏の記憶がケンドリック・ラマーの客演をさりげなく加えながら映し出される。イントロのキーボードの響きがいかにもフランク・オーシャンらしいバラッド“ホワイト・フェラーリ”ではビートルズの“ヒア、ゼア・アンド・エヴリホウェア”が、“ジークフリード”ではエリオット・スミスが引用されている。それらは彼自身が想いを寄せてきた/寄せているアーティストたちやミュージシャン、シンガーが総動員されたものであり、彼の内面世界に溶け込んでいる。これまで以上にR&Bやソウルの囲いをあっさりとはみ出る音楽的な幅広さにかかわらず、統一感があるのはそのためだろう。そもそもアートワークがヴォルフギャング・ティルマンス──90年代のアンダーグラウンド・ゲイ・カルチャーを現代アートの領域まで拡張したドイツの写真家──だという時点で、フランク・オーシャンというひとがアメリカのメインストリームにおけるブラック・カルチャーの枠を大きく外れた感性のひとだということがわかる。
 叶わなかった恋、ドラッグ、SNS時代における虚しいリレーションシップ、子ども時代の記憶と肉親への想い、ポップ・スターとしての空虚さや孤独……『ブロンド』における音楽的/文化的な折衷性や多層性は、フランク・オーシャン自身の感傷を中心としてかき集められたことによるものだ。それは彼の弱さや正直さからできている。ポップ・スターもアンダーグラウンドの新鋭も、肌の白いひとも黒いひとも黄色いひとも、生きているひとももう死んでしまったひとも召喚されて、ここで息を吐き出したり音を鳴らしたりしている。オーシャンの心の震えが、それら大勢の人間の表現と少しずつ共鳴している。その、少しずつ、という感覚こそがフランク・オーシャンのポップ・ミュージックだと思える。彼の音楽にとっての「僕たち」とは、彼が説明されるときにしばしば言われる「ゲイもしくはバイセクシュアル男性」、ではない。たくさんの、本当にたくさんの人間たちの吐息のことだ。

 このアルバムのムードを端的に示しているのがラスト2曲だろうか……とくにビートレスの“ゴッドスピード”は出色だ。ゴスペルのコーラスは、しかしカットされ、ときにピッチシフトされてどこかしら不完全でいびつなものとして響いている。それにどこまでもセンチメンタルな鍵盤と歌──存在しなければいいと願われている僕たちが、しかしそれでも存在していること。多様性やダイヴァーシティなんて言葉を政治家が声高に叫ぶ現在において、それでも行き場所を見つけられない人間たちの逃げ場所が『ブロンド』だ。いまこのときも燃えさかる憎悪を一瞬だけでも忘れられるように、そこでは少しばかり苦しそうに、だが慈しみをこめて、「I will always love you」と歌われている。

木津毅

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DJ WADA (Dirreta) - ele-king

Lounge charts

comming soon !

DJ WADA - Garden (sample) c-90+DL CODE

from Field Of Mouth Records

vol.86:大統領候補テレビ討論会 - ele-king

 もはや何回目かわからなくなっているrandom NY連載だが、大統領選挙の43日前の9/26、第一回の大統領候補のテレビ討論会が行われた。

 討論会が巨大スクリーンで見れるという、近所のバーhumboldt & Jacksonに出かけたのだが、午後8:30頃着くと、まだはじまってもいないのにスクリーンのあるバックルームは人でいっぱい。外で友だちを待って入ると、通りすがりの人が「まだはじまってない?」と聞いてくるわ、みんなよく知ってる。そうしている間に、余りにも人が多くなり、ドリンクもオーダー出来ない状態になる。バックルームは、ソールドアウトのショーのような人の入り。少し見て、別のバーに行くと、ここも普通にテレビで討論会を見てる。今日はもう何処であろうと、ほとんど100%のアメリカ人が、テレビにかじりついているのだろう。これくらい緩い方がいいか、と思いつつ、バーテンダーも客もみんなテレビに釘付け。やっぱり、ドリンク、オーダーしづらい。

 詳しい内容は、ニュースを見て頂くとして、ザクッと、タックス、ISIS、アメリカの人種、経済、犯罪などについて討論をしたのだが、オーディエンスは、ヒラリーさんとトランプさん、それぞれの一語一語にびっくりする程よく反応する。ヤジを飛ばしたり、ブーイングが出たり、盛り上がりはスーパーボウル並み。テレビにですよ! 通りすがりの近所の人たちもバーに入ってきて、テレビ討論会を見ては、やんや言っている。テレビに向かって、これだけ言えるのは、やっぱり国民性か。討論会が終わった後はさらに、知らない人も(バーテンダーも)一緒になって話し込んでいた。これでまだ1回目なのだから、2、3回目などはどうなるのだろう。

 オーディエンスのダイレクトな反応も面白かったが、切り返し等、いろいろ練習したんだろうと思わせるヒラリーさんに比べ、トランプさんは、行き当たりばったりという感じ。モデレーターも良いところを突いていた。今回はヒラリーさんの勝利、ということだが、討論は選挙に関係ないという意見があったり、ソーシャル・メディアではトランプさん支持が多かったり、まだまだ先は読めない。
 普通の音楽ショーよりも断然人が入る大統領候補の討論会は、あと3回ある。
 
 10/4(火)、10/9(日)、10/19(水)。私たちの未来がかかっているのだから、気にならずにはいられない。

DJ Earl - ele-king

 OPNがシカゴのフットワーク/ジュークにおける重要レーベル〈テックライフ〉の作品に参加していること自体が事件だが、それはいまや超売れっ子のテクノ・コンセプチュアル・アーティストがゲットー・ミュージックにアプローチしているから事件なのではなく、シカゴのフットワーク/ジュークというスタイルが、ゲットーに閉じることなく他との接触を好み、そして拡張していることが事件なのだ。このところCDでしか買っていなかったぼくもさすがにヴァイナルで(しかフィジカルがないので)買いました。何故なら、才能あるDJラシャドが他界して、そしてシカゴのフットワーク/ジュークのリズム/手法はさんざんいろいろなところで引用/消費されていて、この先どうなんだろうと思っていたところに、『Open Your Eyes』はそのタイトル通りリスナーの「目を開かせ」、この音楽を延命させたと言えるだろうから。また、アフリカ系アメリカ人をめぐる政治的状況が、もはや一触即発を越えているこのとき、こうした異種混合(ハイブリッド)をやってみせるところにパーティ・ミュージックのもっとも理想的な考えが具現化されていると解釈するのは、飛ばしすぎだろうか。
 
 OPNが関わっているのは全8曲中3曲だが、その3曲はやはり面白い。シニカルに言えば、知性派は得てしてストリートのワイルドネスに過剰な憧れを抱きがちだが、ダニエル・ロパティンは、理性的に彼らのファンクネスに色味を加えているだけではなく、明らかに彼らの可能性を押し広げている。とくに“Let's Work”という曲がそうだ。いっぽうDJアールのほうでも、たとえばTaso(昨年ジェシー・ランザとコラボしている)との共作“Smoke Dat Green”なる曲は、直球なその曲名と、そしていかにもフットワーク/ジューク的な声ネタ・チョップを使いつつ、しかしその展開はドラムンベースを取り入れたDJラシャドの遺産を継承しながらも、それでは飽き足らないと言わんばかりにハウスやテクノを吸収し、さらにもっと前に進んでやろうじゃないのと言っているようだ。それはたとえば、ジョージ・クリントンが〈ブレインフィーダー〉から作品を出すような、よき方向に向かっているということなのだろう。

 昔ながらのシカゴ・ハウス・ミュージックのファンにとって、「オープン・ユア・アイズ」といえば、マーシャル・ジェファーソンのあの曲である。ジェファーソンはそこで、ハウス・ミュージックには真実へと目を開かせる力があることを主張したが、DJアールは、フットワーク/ジュークというスタイルそれ自体が見開いていることを証明した。これを聴けば、キミの目も開かれるだろう。

Sleaford Mods - ele-king

 これは明るいニュース、真っ黒こげの未来です。そう、スリーフォード・モッズが〈ラフトレード〉と契約しました。もう知っている方も多いと思いますが、このニュース、けっこう、アガります。まずは手始めにEP「TCR」が出る!

 スリーフォード・モッズといえば、労働党の党首だったジェレミー・コービンを支持するためこの1年党員となったヴォーカリストのジェイソン・ウィリアムソンが、ブリグジット以降、コービンへの非難が噴出する労働党において、党のダン・ジャーヴィス議員を汚らしい言葉で罵るツイッターを流し、離党を命じられたことがニュースになったばかり。
 シングルの発売は10月14日。それでは、「76年以来のパンク」「革命は一時的にテレビに放映された」などとコメントされている、BBCで放映されつつも、のっけからf**kばかりだったため削られた、彼らの曲“職探し人(“Jobseeker”)の映像をどうぞ。

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