「Nothing」と一致するもの

Grischa Lichtenberger - ele-king

 2010年代的「グリッチ以降・電子音響/テクノロジカルな先端的音楽」は、さまざまな「ノイズ」を誤用することで生まれるスタイリッシュ・エクスペリメンタル・ミュージックであった。この場合の「ノイズ」とは、いわゆる楽音以外のさまざまな音のマテリアルを意味し、俗にいう「轟音」とか「雑音」としてのノイズのみを意味するわけではない。社会から溢れ落ちた諸々の音の残滓を掬い上げるかのように、「ノイズ」をエクスペリメンタル・サウンドとしてコンポジションしていったのだ。
そのような先端的音楽の系譜にあって、90年代中期からグリッチやサイン派を用いたモダン・テクノ(ロジカル)な音響作品のプレゼンテーション/リリースを繰り返してきた〈ラスター・ノートン〉の存在は、とても大きい。現在はカールステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)とオラフ・ベンダー(バイトーン)を中心に運営されているこのレーベルは、20年にわたり最先端の電子音楽を見出し、われわれリスナーの知覚にむかって新しい電子音楽を提示している。
彼らのキュレーション能力は常に研ぎ澄まされており、近年は日本人アーティストのキョーカのアルバムも〈ラスター・ノートン〉から発表された(本年11月にレーベル20周年を記念するジャパン・ツアー「ラスター・ノートン 20th Anniv.」が開催される。東京公演は日本初開催「MUTEK」にて!)。
そして2012年、(事実上の)ファースト・アルバム『アンド IV [イナーシャ]』をリリースしたグリーシャ・リヒテンバーガーもまた〈ラスター・ノートン〉によって、その才覚を見出された電子音楽アーティストである。

 ベルリンのビーレフェルトの農村で生まれ育ったグリーシャ・リヒテンバーガーは、インターネット上の「マイスペース」でトラック/楽曲を発表していた。その「マイスペース」を通じて、カールステン・ニコライからコンタクトを受けたというのだ。その結果、2009年にEP『~トレイブギュット』、2012年にアルバム『アンド IV [イナーシャ]』をリリースするに至った。
リリース当時、『アンド IV [イナーシャ]』は、いわゆるオウテカ以降のサウンドとして高く評価されたが(じじつ彼は90年代においてオウテカやトータスなどから影響を受けたという)、しかし、4年が経過した現在の耳で聴き直してみると、先に書いたような極めてスタイリッシュな10年代的ノイズ・モダン・コンポジション・サウンドであったことに気が付く。
『アンド IV [イナーシャ]』には「ノイズ」を通して社会・科学・歴史を考察するような知的な営み、つまりは「コンセプト」を強く感じた。じっさい『アンド IV [イナーシャ]』は、「ニュートリノ観測装置の後継器のことをテーマ」にした作品でもあった。グリーシャは当初、「小説」として、同テーマの作品にとりかかろうとしたようで、彼は音楽を含めて「芸術」を総合的な思考/認識する媒体として認識しているのだろう。

 裏を返して考えれば、彼は創作にあたって常にコンセプト=言葉を必要としているともいえる。1983年生まれのグリーシャは、スタイルの新奇さや実験的手法の目新しさを追及すれば、「新しい」音楽が自動的に生まれるとは考えてはいないはず。あらゆるものは出尽くした。だからこそそれらをいかにリ・サイクルし、そこに新しいコンセプト=思考を見出していくのかが重要なのだ。
そして、昨年2015年に発表されたアルバム『ラ・ドゥムール;イリヤ・ペリル・アン・ラ・ドゥムール(La Demeure; Il Y A Péril En La Demeure)』では、「ドゥムール=「住居」は、親密性や、隔離とその可能性ともいえるが、隔離されて、経済、時間、社会の制約から自由になって作業や探求、実験をする喜びが本作の着目点の中心となっている」アルバムであった。これは20世紀的な技術/居住空間=公共圏の問題に連なる問題ともいえ、いわばテクノロジカルな音楽を通じて、20世紀のモダンの問題(とその限界)を「イメージさせること」が目的なのだろう。
また、この『ラ・ドゥムール;イリヤ・ペリル・アン・ラ・ドゥムール』は、全5部作のシリーズの最初の作品としてもアナウンスされていた。アルバム『ラ・ドゥムール;イリヤ・ペリル・アン・ラ・ドゥムール』を発表し、その後に3部作のEPをリリース、最後にアルバムで締めるという壮大な計画である。いわばグリーシャ・リヒテンバーガーによる20世紀技術史/思想史の音による論文/著作といった趣のシリーズとでもいうべきか。
ちなみにこの隔離された居住空間から社会へのこだわりは、彼がビーレフェルトの農村出身であり、都市の喧騒から距離を置きつつ、創作を始めたことと無縁ではないかもしれない。

 そして本年2016年。シリーズの中核「EP3部作」がセットとしてリリースされた。それが本作である。EPといってもアルバム2枚から3枚分の曲が収録されており、もはやアルバムといってもいいボリュームだ(フィジカルはヴァイナル3枚組の限定500セットで発売され、グリーシャ自身による美しいシルクスクリーンも封入されている)。
このEP3部作は、『シュピールラウム』、『オールゲーゲンヴァルト』、『シュトラルンク』と名づけられ、それぞれ6曲、5曲、8曲のトラックを収録している。グリーシャのサイトでは、『シュピールラウム』には「目に見えない自由」、『オールゲーゲンヴァルト』には「目に見えない存在」、『シュトラルンク』に「目に見えない力」という副題が付けられている。私見だが『シュピールラウム』では、20世紀的な直線的なクロノス時間の問題、『オールゲーゲンヴァルト』ではファシズムに至る群集心理の問題、『シュトラルンク』では原子力などの科学技術の問題が内包されているように思えた。それぞれのEPは、著作でいえば、ちょうど本文の核となる各論といった趣であろうか。くわしくはグリーシャのサイトをご覧頂きたい。彼の手によるシルクスクリーンによるアートも閲覧することができる。

 じっさい、『シュピールラウム』に収められた電子音響的なグリッチなテクノ・トラックは、いやがおうにも進展的な時間を実感させるし、『シュトラルンク』のさまざまな音素材を用いてコンポジションしたミュージック・コンクレート的テクノ・トラックは、人の「声」まで引用しつつ、大衆の無意識にアジャストするように、社会の残滓・残骸を感じるトラックを収録している。『シュトラルンク』は、シンセ音や、細やかな音のレイヤーなどがアンビエンス感覚を助長し、目に見えない原子力のアトモスフィアを表象しているようにすら感じられた。
「映像的でサウンドトラックのような音楽」とはよくいわれる比喩だが、本作のように「思考/思想をトレースするような音」は、あまりない。本作(本シリーズ)でグリーシャは、「思想のサウンドトラック」を実現しようとしているのではないか。先のサイトでは、ヴァルター・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」、エリアス・カネッティ『群集と権力』、モーリス・ブランショの『文学空間』なども援用しており、20世紀的な(人文学的な?)問題を、ドイツ人として追求していることは明白だ。以前のインタヴューなどでレヴィナスからハイデガーの問題まで語っていたほどである。

 あえて私なりに本作を語るならば、1909年に「未来派宣言」を発したルイジ・ルッソロによる「イントナルモーリ」を用いた元祖(ノイズ)音響作品の系譜につらなる2010年代的な先進的電子音響作品に思えた。「未来派」は、ファシズムの魅惑=危険性と同時に神経的芸術の幕開けを予言した芸術運動でもあったわけだが、この『シュピールラウム | オールゲーゲンヴァルト | シュトラルンク』は、21世紀的な世界的不穏の只中におけるアフター・モダン・ミュージックとして、戦争と技術の時代たる「20世紀」を総括し、不穏と崩壊の世紀である21世紀中葉にメッセージを発している……。そんなふうに思えてならないのである。時代の節目と境目に鳴る音響?
そう、本作こそ「マテリアルな素材=ノイズをスタイリッシュにコンポジションする2010年代のエクスペリメンタル・グリッチ・テクノ」の「ひとまずの完成形」ではないか。ビート/リズム・トラック面での進化=深化がみられ、ジャズ的なビートの断片をサンプリングし導入している点も聴き逃せない。ジェシー・オズボーン・ランティエとの共作『C S L M』(こちらも傑作)とともに、電子音楽/音響の「現在」を体感することができるアルバムといえよう。

Jameszoo - ele-king

 〈ブレインフィーダー〉の勢いが止まらない。
 ジョージ・クリントンと契約を交わしたことでも話題沸騰中の同レーベルだが、5月にリリースされたジェイムスズーのデビュー・アルバムも、後世に長く語り継がれることになるだろう珠玉の1作である。まだフローティング・ポインツほどの知名度はないけれど、少なくともそれと同等か、場合によってはそれ以上のポテンシャルを秘めたオランダ出身の青年――それがジェイムスズーことミシェル・ファン・ディンサーだ。
 この期待の新星が、なんと11月に来日しちゃいます。11月25日(金)@CIRCUS TOKYO、11月26日(土)@CIRCUS OSAKA。ちなみに両公演にはSeihoも出演予定とのこと。
いまのうちに彼のパフォーマンスを堪能しておけば、将来お友だちに自慢できますYO!

〈Brainfeeder〉の現在の勢いを体現する怪作にして、
ジャズとエレクトロニック・ミュージックとを融合した音楽の1つの頂点ともいうべき傑作
『Fool』をリリースして大注目のJAMESZOO来日公演が決定!!

Shabaka And The Ancestors - ele-king

 昔からイギリスの音楽シーンにはジャマイカからの移民が多く、今ではその2世や3世の世代が活躍する時代となっている。イギリスでレゲエやダブが盛んなのはそのためであるし、クラブ・ミュージックの世界にもジャマイカ系は多い。ジャズの世界もそうで、1960年代であればジョー・ハリオット、ハロルド・マクネア、ディジー・リースなどがジャマイカからイギリスに渡ってきた。1980年代後半からはコートニー・パイン、クリーヴランド・ワトキス、スティーヴ・ウィリアムソンなどジャマイカをルーツに持つミュージシャンが活躍している。ロンドンの黒人ジャズ・サックス奏者のシャバカ・ハッチングスにインタヴューしたとき、彼の父親方がジャマイカ出身だったので、そうしたジャマイカのルーツを意識しているのかと訊いたところ、彼にとっては母親方のルーツであるバルバドスに対する意識の方が強いと言っていた。当然だが、同じ英国連邦のカリブ諸国でもいろいろ違いはあるようだ。彼の母親は教師だったそうで、その母親の薦めで6歳から16歳まではバルバドスで過ごしていたという。彼らのような有色人種にとって、現在のイギリスの教育制度には不満点が多いようで、その点でバルバドスの方が満足のいく基礎教育が受けられるし、子供が生活を送るのには適しているという判断だったらしい。

 バルバドス出身者では、やはり1950年代半ばに渡英したトランペット奏者のハリー・ベケットがおり、モダン・ジャズからフリー、ジャズ・ロック、フュージョンといろいろやっていたのだが、その作品のいくつかではカリプソ色を強く打ち出したものもあり、そのあたりが彼のルーツなのだろうなという感想を抱いたことがある。シャバカにとっても同様で、彼自身はそれを表だって出すのではなく、あくまで自身を形成する要素の一部としてほかの音楽的要素と融合している。今回リリースしたアルバム『ウィズダム・オブ・エルダーズ』では、“OBS”という曲がカリプソのメロディーをもとに生まれたということだ。ジャズに進む前のバルバドス時代はカリプソ・バンドで演奏していたそうで、今はストレートなカリプソを演奏することはないけれど、ポエトリー歌手のアンソニー・ジョセフ(彼はトリニダード出身)のバンドで演奏するときは、比較的カリビアン色が強い演奏をしているようだ。

 こうしたカリビアン・テイストには、アフロ・アメリカンのミュージシャンとの違いが表われているし、さらにもうひとつ『ウィズダム・オブ・エルダーズ』とアメリカのジャズとの違いとして、共演するアンセスターズが南アフリカ共和国のバンドということも挙げられる。アンセスターズは7人編成の南アフリカのジャズ・バンドで、トランペットのマンドラ・マラゲニ、ピアノのンドゥドゥゾ・マカシニ、ドラムのトゥミ・モロゴシと、それぞれ個別に活動するミュージシャンの集まりである。3年ほど前からシャバカは南アフリカに赴いて演奏する機会が増えたのだが、マンドラ・マラゲニを介して現地のミュージシャンとの交流が広がり、今回のレコーディング・セッションのためにアンセスターズは生まれた。南アフリカはアフリカ大陸の中でもジャズが発達した国のひとつで、1960年代頃から独自の発展を遂げた。アメリカから輸入されたジャズの影響下に、ハイライフはじめアフリカ音楽の要素を取り入れている。英国との結びつきも深く、古くはクリス・マクレガー、ドゥドゥ・プクワナ、ルイス・モホロ、モンゲジ・フェザ、ジョニー・ディアニなど〈ブルー・ノーツ〉の面々が渡英し、彼らの影響で英国ジャズ界におけるアフリカ音楽との融合が促進された面もある。クリス・マクレガーのブラザーフッド・オブ・ブレスは、前述のハリー・ベケットのほか、イギリスの白人ミュージシャンも数多く参加した集団で、フリー・ジャズとアフリカ音楽を融合したものだった。白人のクリス・マクレガーはハリー・ベケット、コートニー・パインらと1980年代末に共演してアルバムを出したこともあるが、こうした多人種、多民族のセッションが多くおこなわれるというところも、イギリスのジャズ界の面白さのひとつでもある。シャバカの『ウィズダム・オブ・エルダーズ』は全て南アフリカで録音されたそうだが、ブラザーフッド・オブ・ブレスから流れる英国と南アフリカのジャズの歴史、関係性が今も息づいていることを感じさせる。


Jameszoo - ele-king

 ジェイムスズーとは何者なのだろうか。本名、ミシェル・ファン・ディンサー。オランダ南部の町デン・ボス出身のプロデューサー/トラック・メイカーであること、前衛ジャズやプログレ、クラウトロック、実験的エレクトロニック・ミュージックといったジャンルのバックグラウンドを持っていることくらいしかいまのところはわからない。もっともこれだけわかっていれば、充分であるとも言えるかもしれない。なにより音源さえあれば本人のプロフィールなんて二の次だ。

 彼は〈ブレイン・フィーダー〉からリリースされたこのデビュー・アルバム以前にも何枚かのepを出しているが、もちろんそれらを聴いたのも『フール』を知ってから。僕にとってこの『フール』がジェイムスズーとの初対面だった。
 そして、この初対面でジェイムスズーの実像を掴みとることはできなかった。むしろ、さらに謎に包まれたと言ってもいい。初体験の『フール』から読み取ることができたのは、彼の提示する「ナイーヴ・コンピュータ・ジャズ」(ジェイムスズー自身による呼称)が最先端の音であるということと、このアルバムに参加しているミュージシャンたち、とくにニルス・ブロースとジュリアン・ザルトリウスがクレイジーなプレイヤーであるということだった。彼の音楽性が多岐に渡っていることもよくわかる。しかしながらこのアルバムにおいてジェイムスズー個人の存在感を意識することはほとんどない。まるでリーダーが不在であるかのような感覚を抱いてしまうのだ。

 このアルバムにはふたりのドラマーが参加している。ホセ・ジェイムズやフライング・ロータス、シネマティック・オーケストラのスチュアート・マッカラムらの作品に参加しているUKのドラマー、リチャード・スぺイヴンとコリン・ヴァロン・トリオなどで活躍しているジュリアン・ザルトリウスだ。僕はこのアルバムを聴くまでリチャード・スぺイヴンがメイン・ドラマーとして参加しているものだと思い込んでいたのだが(数少ないジェイムスズー・クインテットのライヴ動画では彼が叩いている)、『フール』において彼の乾いたマイネル・シンバル・サウンドを聴きくことはなかった。
 それもそのはずで、リチャード・スぺイヴンの参加曲は“ワロング”のみで、その他のドラムが入っている曲はすべてジュリアン・ザルトリウスが叩いている。“ワロング”のクレジットには両名の名が記されているので、実質ドラム・パートはほぼジュリアンが担当しているのだろう。
 これにはたまげた。コリン・ヴァロン・トリオや自身のソロを聴き、彼がエレクトロ・ミュージックからの影響を受けたフリーキーなプレイをすることは知っていたが、ここまでビート・ミュージックと親和性が高いドラミングをするプレイヤーだとは思っていなかった。例えば、アルトゥール・ヴェロカイが参加する“FLU”では、思わずリチャード・スぺイヴンが叩いているのではないかと錯覚してしまうほど、グリッドに正確で直線的なドラミングをしている。
 さらに、曲の後半ではダイナミクスのあるプレイを展開し、最後は三連符の激しいスネア・フィルによって熱を帯びたセッションに終止符を打つ。ビート・ミュージックに対してジャズ・ドラマーとしてのアプローチをしかける、最高にクールなプレイだ。また“ミート”や“ザ・ズー”においては、彼の特徴であるプリペアド・ドラム的なサウンドが聴こえてくる。スネアやタムの上にシンバルやゴングを乗せて叩くことで、よりエフェクティヴなドラム・サウンドを作り出すのは、とくビート・ミュージック系のジャズ・ドラマーたちがよくやることなのだが、ジュリアン・ザルトリウスはマシン・ビートを生音で再現するというよりも、プリペアド・ドラムそのものを聴かせるような発想があるように見える。
 つまり基準がマシン・ビートではなく、あくまでもアコースティック・ドラムなのである。だからこそ、このアルバムへの参加が意外だったのであるが、蓋を開けてみればエレクトリックにより過ぎない彼のドラミングが、「ナイーヴ・コンピュータ・ジャズ」サウンドの構築に大きく貢献しているのだ(ドラムの音もあまり機械的な加工がされていないように聴こえる)。

ジュリアン・ザルトリウスによるソロ・パフォーマンス。

 また、キーボードとして参加しているニルス・ブロースも「ナイーヴ・コンピュータ・ジャズ」サウンドの根幹を担っていると言ってもいいだろう。彼はジェイムスズーと同じくオランダ出身であるようだが、『フール』の参加以外はカイトマン・オーケストラなどに参加しているミュージシャンであるようだ。アルバム(日本盤のボーナストラックも含め)全12曲中10曲もクレジットされており、ジェイムスズーからの信頼が厚いことがうかがえるが、“FLU”で突如として挟み込まれるシンセサイザーの恍惚的なフレーズや、浮遊感のあるウーリッツァーのバッキング、“ザ・ズー”の前半部分におけるフリーキーでエッジー、そして時折メロウな一面を見せる彼のプレイはかなり印象的だ。“クランブル”でのハーモーニーと手数で攻める超絶技巧的な演奏もさることながら、スキット扱いの“NAIL”でみせるインプロヴィゼーションのほとんどない構築的なプレイも美しい。シンセサイザーのクレジットではミシェル・ファン・ディンサーとの連名になっている楽曲が多いので、先に挙げた“FLU”のフレーズはジェイムスズーの演奏によるものである可能性もあるが、ニルス・ブロースの存在なしでは『フール』のサウンドは成り立たなかったであろう。彼のジャズ・ミュージシャンとしてのスキルは、このアルバムが〈ジャズ〉であることに大きく貢献している。

ニルス・ブロースによるソロ・パフォーマンス。

 注目すべきプレイヤーはジュリアン・ザルトリウスとニルス・ブロース以外にもいる。このアルバムにインスピレーション元となったというアルトゥール・ヴェロカイとスティーヴ・キューンの参加は、ある意味で異質な要素として印象的であるし、“ミート”でのサンダーキャットことステファン・ブルーナーが、もはやベースを弾いているとは思えない超絶技巧を披露するのもにやけてしまう。サックス奏者であるジョン・ダイクマンのフリーキーなプレイや、サンダーキャット以外にも4人いるベーシストの異なるプレイなど、演奏面においての聴きどころが数多くある。しかし、これはあくまでもジェイムスズーの作品だ。彼を忘れてはならない。

 先ほど『フール』においてジェイムスズーの存在は意識されないと書いたが、それはプレイヤーとしての存在が意識されないという意味である。クレジットを見れば、それがよくわかるだろう。ジェイムスズーことミシェル・ファン・ディンサーのプレイヤーとしての参加はシンセサイザーのみで、“NAIL”や“ティース”では参加すらしていない。参加曲においても彼のプレイが前面に押し出されるような箇所はほとんどなく、いやもしかしたらあるのかもしれないが、先述したようにニルス・ブロースとクレジットが被っている場合がほとんどなので、判別するのが困難なのである。彼は『フール』に収録されているほとんどの楽曲を作曲してはいるが(“ザ・ズー”はスティーヴ・キューン「Pearlie’s Swine」のカヴァー。何曲かはニルス・ブロースらとの共同名義になっている)、楽曲の中での彼は決してリーダー的なプレイをしていない。リーダー不在のセッションなのである。これはマリア・シュナイダーのようなジャズ作曲家のような視点で捉えられることも、ジェイムスズーの肩書そのものであるプロデューサーとしての視点で見ることもできる。彼はプレイヤー同士のセッションを内側からではなく外側から見ることによって、この奇妙な「ナイーヴ・コンピュータ・ジャズ」を作り上げているのである。

 『フール』には妙な空白がたびたび現れる。例えばそれは曲と曲の間であったり、曲中でぶつ切りのように現れたり、とにかく妙なタイミングで現れる。『フール』の締めくくりである“ティース”の最後でも、妙な空白の後に突如としてセッションの一部分が挿入されるが、このようなエディットは彼がジャズ・ミュージシャンではないからこそ可能なのであろう。リーダーの不在や奇妙なエディットによって、『フール』はジャズ・ミュージシャンが演奏するジャズでない何か別の音楽になっている。それは近年の〈ブレイン・フィーダー〉がリリースしてきた諸作品と共通する点であり、ジャンルに縛られることのない最先端の音楽なのである。
 油性絵の具を塗りたくられたジェイムスズーがこちら側を向いている『フール』のジャケットは、彼がセッションのなかで匿名性を示したことと何か関係性があるように思える。参加ミュージシャンのクレジットを隅々まで読みこもうとするジャズ・リスナーにとって、ジェイムスズーが何者であるかを理解することはできないだろう。

Lorenzo Senni - ele-king

  去る10月11日、UKの名門レーベル〈Warp〉は、ミランを拠点に活動しているサウンド・アーティスト、ロレンツォ・セニ(Lorenzo Senni)と契約を交わしたことを発表した。まだ具体的なリリース予定などは明らかにされていないが、契約を記念した招待制パーティの日程が公開されている。
 1983年生まれのロレンツォ・セニは、これまで〈Editions Mego〉や〈Boomkat Editions〉などから作品をリリースしており、昨年の4月11月には来日公演もおこなっている。これまでに二度『FACT』誌の年間ベスト・アルバム50にアルバムが選出されたり、アクトレス(Actress)のミックスCD『DJ-Kicks』にトラックがフィーチャーされたりと、すでに各所からの評価は高い。また彼は、自身の主宰するレーベル〈Presto!?〉からフロリアン・ヘッカー(Florian Hecker)やシェラード・イングラム(DJ Stingray)、ゲイトキーパー(Gatekeeper)などの作品をリリースしており、キュレイターとしての眼識も併せ持っている。
 〈Warp〉は昨年、エヴィアン・クライスト(Evian Christ)やケレラ(Kelela)、ラファウンダ(Lafawndah)といった新世代をファミリーに招き入れ、今年に入ってからもダニー・ブラウン(Danny Brown)やガイカ(Gaika)と契約を交わすなど、近年は主にベース・ミュージックやヒップホップ方面の開拓に力を注いできたが、実験的な電子音楽家であるロレンツォ・セニとの今回の契約は、ある意味で本流回帰的な側面もあり、同レーベルの今後を占うものでもあるだろう。
いつも少し遅い。だがそれゆえポイントは外さない。それが〈Warp〉のやり方である。

LORENZO SENNI LIVE DATES

OCTOBER
14 – Glasgow, GB @ RBMA Numbers, The Savings Bank
24 – Montreal, CA @ RBMA, Olympic Pool
27 – New York, NY @ Umbrella Factory

NOVEMBER
6 – Turin, IT @ Warp To Warp, Club To Club Festival
10 – London, GB @ LN-CC (Launch Party)
19 – Milan, IT @ Dude Club (Launch Party)

AHAU - ele-king

最近作業中に聴いていた音楽の中から

AHAU(tomoaki sugiyama)
グラフィックアーティスト、グラフィックデザイナー
1976年横須賀生まれ、東京在住
https://www.instagram.com/ahau_left/

10月16日から、BnA HOTEL Koenjiで展示します。
16日にオープニングパーティーやります。
ぜひ遊びに来てください。


Ahau Exhibition
“The Flyer”巡回展
BnA HOTEL Koenji
2016.10.16[sun] - 11.5[sat]
19:00 - 24:00
Entrance Free
※Close 10.29[sat]、10.30[sun]

Opening Party
10.16[sun] 18:00 - 22:00
LIVE
cinnabom + ARATA(チナボラータ)
DJ
MOODMAN
MINODA
Sports-koide
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Sunday Afternoon Party
10.23[sun] 14:00 - 22:00
DJ
ヤマベケイジ
Q a.k.a. INSIDEMAN
pAradice
弓J
nnn
町田町子
ぬまたまご部長
来夢来人
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Closing Party
11.5[sat] 14:00 - 22:00
DJ
bimidori
THE KLO
do chip a chi
Sports-koide
otooto22
hitch
LIVE
HELIOS
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BnA HOTEL KOENJI
https://www.bna-hotel.com
東京都杉並区高円寺北2-4-7
(JR Koenji Station - 30 seconds)
2-4-7 Koenjikita, Suginami, Tokyo, Japan 166-0003

 ミュージック・テープスを追っかけて早20年。1996年、初めてLAで見たショーはまだはっきり覚えている。アップルズ・イン・ステレオ、オリヴィア・トレマー・コントロール、そしてミュージック・テープスというラインナップだった。
 当時のミュージック・テープスのメンバーは、ジュリアン、アンディ(マシュマロー・コースト)、ジェレミー(ハック・アンド・ハッカショー、ニュートラル・ミルク・ホテル)。アップルズ・イン・ステレオは知っていたが、時間もわからないので、早めに来た。最初のバンド(=ミュージック・テープス)を見て、いままでにない衝撃を受けた。中心人物(=ジュリアン)は、バンジョー、ノコギリ、トランポリン、ギターなど様々な楽器(のようなもの)を演奏し、まるでチンドン屋と遊園地を合体させたようなカラフルなショーで、温かい気分になる。ショーが終わり、まったく会話にならないなりに(英語が喋れない)、どれだけ良かったか、衝撃だったかを説明し、向こうも全身で喜びを表現してくれ、気がついたら彼らの住むジョージア州、アセンスに来ていた。
 彼らと寝食を共にし、生活を知り、夢を具体的に語ってくれた。移動遊園地のサーカス・テントで、シアトリカルなショー(=オービティング・ヒューマン・サーカス)を実現すること。

 ミュージック・テープス(=ジュリアン・コスター)は、すでに5回以上、このオービティング・ヒューマン・サーカスを公演している。その間、ジュリアンは、ララバイ・キャロリング・ツアー、人の家でクリスマス・キャロルを演奏するツアーをしたり(著者は2回参加)(https://vimeo.com/33672614)、無音映画で演奏するワードレス・ミュージック・オーケストラにミュージックソウ奏者として参加したり(https://www.wordlessmusic.org/blancanieves-2012/)、ニュートラル・ミルク・ホテルのリユニオン・ツアーに参加したり(https://pitchfork.com/news/47783-neutral-milk-hotel-reunite-for-tour/)、ちなみに、ニュートラル・ミルク・ホテルの『In The Aeroplane Over The Sea』は1998年リリースに関わらず、10年後の2008年にはもっとも売れたヴァイナル・アルバムの6位に入り、『NME』ではオールタイム・ベストアルバムの98位にランクインしている。
 そんななか、ジュリアンは確実に自分のサーカス・プロジェクトを進行させ、去年の夏は、ハドソンリバー・パークでメリーゴーラウンドでのショーを開催した。

 今回はポッドキャストになって登場。たまたま地下鉄で、メンバーにばったり会い、今回のプロジェクトを教えてもらった。

https://www.orbitinghumancircus.com/

 エピソードは、10/12にスタート、2週間に1回水曜日に配信で、2月の末まで続く。11/9からツアーがはじまり、11/18にはNYにやってく来る。
「ジュニター(門番=ジュリアン)を中心に繰り広げられるオービティング・ヒューマン・サーカスの世界。神秘的に歌う鳥、トロンボーンを演奏する北極グマ、合法な時間旅行(いえ、本当に)、そして、並外れた展示達が貴方を迷わせる」
 2016年11月、周りの雑音から離れて、このマジカルな世界を体験してみよう。ジュニターの切ない摩訶不思議な世界は、現実の世界への新しいアイディアを届けてくれるようだ。

https://www.orbitinghumancircus.com/phone/the-music-tapes.html

Noname - ele-king

 人と音楽の話をするのは苦痛でしかない。感じ方がこうも違うかと思うと、言葉もあんまり出てこない。流行の音楽というのはとてもありがたいもので、現象だけをとりあげて適当にバカにしていれば、その場はたいていやり過ごせる。そして家に帰って、まったく違う音楽を聴いている。昨日も今日もそんな感じだった。明日もきっと同じだろう。この世界にそうじゃない人がいるとは思えない。いるとしたら、それは流行の音楽を聴いている人だろう。そんな人になれたらよかったのに。第一、音楽を探す必要がない。

「大人に気に入られたい子ども」のような感じがしてしまい(偏見!)、どうしてもチャンス・ザ・ラッパーに心が動かない。「はい、よくできました」という感想が脳のそこかしこから湧いては消え、消えてはISのテロリストのようにまた現れる。そう、チャンス・ザ・ラッパーは類まれなる破壊力に満ちている。シカゴ市長に表彰されてしまうなんて、とてもサウス・サイドのラッパーたちにはできないことである。主婦2.0のように育ちを活かして何が悪いのかと。しかも、そのあげくに彼はノーネーム・ジプシーをフック・アップし、この世界に解き放ってしまったのである。図書館で詩を朗読していたファティマ・ワーナー(Fatimah Warner)をその気にさせてしまい、同じシカゴのミック・ジェンキンズやマイアミのジェシー・ボーイキンズ3世のアルバムに参加してきたノーネーム・ジプシー改めノーネームは7月にフリーでデビュー・ミックステープ『テレフォン』のダウンロードを開始した。

https://mixtapemonkey.com/1914/noname-telefone

 これが、なんというか、どうもラップを聴いている気がしない。最初に思い出したのはアリソン・スタットンで、YMGやウイークエンドがミニー・リパートンをダークにカヴァーしたら、こうなるかなと。繊細なピアノとザイロフォンがその儚げなムードをさらに引き立てる。何度か聴いていると、彼女の声は実に醒めていて、そのせいで温度が上がらないのかなとも思えてくる。挑発的なところもまったくなくて、自分の声に酔っていないというのか、ソウル・ミュージックの様式性を嫌っているとさえ思ってしまう。小さい頃からハウリン・ウルフやバディ・ガイを聴いて育ったというファティマ・ワーナーは、しかし、複数のヒップホップMCやソウル・シンガーを起用する一方、ニーナ・シモンをサンプリングしたりも。

「あなたがイーザスになれた時は……」などという歌詞はやはりカニエ・ウエストを皮肉っているんだろうか。そして、自分の葬式だったり、中絶される赤ちゃんの視点でラップしたりと、全体に死を多く扱った歌詞は(genius.comなどで)読めば意味はわかる。しかし、英語だというだけで、その中に深く入り込んでいく感覚は得られない。いくつかのレヴューで、母と、そして祖母の物語を彼女は織り込んでいるとも書かれている。そこで、意訳のつもりで、藤本和子『ブルースだってただの唄 黒人女性のマニフェスト』(朝日新聞社)を読みながら聴いてみる。ただひたすら北米に住むアフリカ系の女性たちに聞き取り調査を行った本で、教育のある女性に始まり、色が薄くて苦労した女性や刑務所に入った女たち、最後は奴隷時代の記憶がある老婆に身の上を語ってもらっているだけ。これはちょっと妙な体験だった。「もっとも戦慄すべき側面は、わたしたちがこの社会の主流文化の側に移動したときに、ぽっかりと口を開けて待っている空隙を見ることだと思う。……わたしたちを養ってきたもの、わたしたちを生かしつづけてきたものとの断絶こそが恐怖なのよ」(P12)。マルチカリチャリズムを選択したのが誰で、その時に恐れていたことが実際にいま、ここで起きているかのような……。

『電話』というタイトルは、ちなみに初めて知り合う人は電話を通じて知り合うことが多いからだそう。ノーネームはチャンス・ザ・ラッパーの新作でも“Finish Line / Drown(フィニッシュ・ライン・ドラウン)”でやはり醒めた声を聴かせていた。

Powell - ele-king

 パウウェル(ゴシップ誌風にいえば“テクの界次世代のスター候補”)の待望のデビュー・アルバムのタイトルは『スポート』で、死ぬほど単調な電子音、PCやiPhoneを叩きつけて破壊するかのようなインダストリアルなグルーヴ、アンダーグラウンド・ロックンロールと名付けられた瓦礫の音響、フランケンシュタインのためのDJミキシング……つまりここには、まったくスポーツらしさはない。
 先にリリースされた「フランキー&ジョニーEP」の“ジョニー”のPVはみんなでスイカを頭で割って喜んでいる。当方、先日頭の怪我で手術したばかりの身なので、あまり笑えないのだが、本当にアホだな~と思う。

 ちなみに「ジョニー」に参加しているジョニーは、ヘイトロック(HTRK)のジョニー・スタンディッシュである(あの身も凍えるようなダーク・サウンドのロック・バンドの女性ヴォーカリストだ)。
 パウウェルは、型にはまることがお嫌いなようだ。1994年の「Club Music EP 」で、これはちょとクラブ・ミュージックとは括られないのでは……という電子ノイズと疾走感を打ち出したかと思えば、そしてスティーヴ・アルビニの声をサンプリングし、アルビニから直に「私は地球上でもっともクラブ・ミュージックを憎んでいる。クラブ人間が大嫌いだし、連中の服装もやってるドラッグもみんな嫌いだ、私は君たちの敵だ」とメールされて話題になった「インソムニアック」は、しかし、実際のところパウウェルは、アルビニがいみじくもそのメールで記した「私が好きなエレクトロニック・ミュージックとは、クラフトワークやクセナキス、初期のキャバレ・ヴォルテールやSPKやDAFのようなサウンド」のほうに近いのである。(この件はファンの間で、アルビニはパウウェルを暗に評価しているからこういう表現をしたのではという議論にもなった)

 〈Modern Love〉や〈Blackest Ever Black〉、〈PAN〉や〈Mego〉などと音楽的にリンクしながら、パウウェルにはユーモアがあり、遊び心があり、ふざけているんだよな~。そのプリティ・ヴェイカントな感じがじつに良い。
 何はともあれ、わずか4枚のEPで注目され、〈XL〉と契約することになった大型新人のデビュー・アルバム『スポート』は、本国では10月14日発売。日本盤はボーナストラック(例の「インソムニアック」)付きで、11月16日に発売。確実に、今年のベスト・アルバムの1枚です。硬直したシーンにはこれぐらいふざけた音楽が必要でしょう!
 

The Pop Group - ele-king

 ザ・ポップ・グループが、35年振りのスタジオ・アルバムとなった『CITIZEN ZOMBIE』に続く、通算4作目のスタジオ・アルバム『HONEYMOON ON MARS』をドロップする。注目すべきは、1979年に発表され、いまなおポストパンクの名盤として語られる彼らのデビュー作「Y(邦題:最後の警告)」以来、37年振りにデニス・ボーヴェル(UKレゲエの最重要人物)とタッグを組んだことである。
 さらに、PUBLIC ENEMYの初期3作品のプロデュースを務めたプロダクション・チーム、ボム・スクワッドの一員であったハンク・ショックリーも3曲のプロデュースに関わっている。
 ボーヴェル曰く「再び彼らと仕事ができて、とても光栄だった。彼らは真に善悪を超越しているんだ」、とのこと。
 また本作のレコーディングとミックスは、2016年の初夏に、いくつかのスタジオに分かれて行なわれた。メンバーのマーク・スチュワートはこう語る。「これは造られた憎悪への反抗であり、異質なる遭遇とSF的子守唄で満たされた暗黒の未来への超音速の旅だ」

 『ハネムーン・オン・マーズ』は2016.10.28世界同時発売 / 日本盤ボーナス・トラック収録。日本盤ボーナス・トラックの“Stor Mo Chroi”は、アイルランドの伝統的な楽曲。バンドのメンバー全員でアレンジを施し、カヴァー曲として収録している。

HONEYMOON ON MARS / ハネムーン・オン・マーズ
1. Instant Halo / インスタント・ヘイロー
2. City Of Eyes / シティ・オブ・アイズ
3. Michael 13 / マイケル13
4. War Inc. / ウォー・インク
5. Pure Ones / ピュア・ワンズ
6. Little Town / リトル・タウン
7. Days Like These / デイズ・ライク・ジーズ
8. Zipperface / ジッパーフェイス (※1stシングル)
9. Heaven? / ヘヴン?
10. Burn Your Flag / バーン・ユア・フラッグ
11. Stor Mo Chroi / ストール・モア・クリー

Tr.11: 日本盤ボーナス・トラック

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