「Nothing」と一致するもの

KANDYTOWN - ele-king

 いまさら言うまでもないことだが、KANDYTOWN は世田谷の喜多見をベースにするグループで、15人強のメンバーはみな学生時代からの地元の友だち。メジャー・デビューとなった前作『KANDYTOWN』での、90年代ニューヨークとのつながりを感じるソウルフルなサンプリング・ヒップホップ、クールでレイドバックしたラップ、またクールな洒落者としての存在感などから、男女問わずヘッズたちから大きな支持を得ている。
 10年代を代表するグループのひとつで、関連作もふくめると作品も山ほどある。なんといってもラッパーが7名、ラッパー兼ビートメイカーが2名、ラッパー兼映像ディレクターが1名、ラッパー兼俳優が1名、ビートメイカーが1名、DJが3名いて、それぞれがなにかしらリリースをしている。初期のミックステープやストリート・アルバムも含めた KANDYTOWN のアルバム4枚をはじめ、各メンバーのソロ・アルバム、EP、ミックスCD、ライヴ・アルバムなどは、2015年からでも30枚を超える。KANDYTOWN の面々がいかにハードワーカーなのかを感じるが、たとえば今年2月に出ている Neetz のアルバム『Figure Chord』は、KANDYTOWN の最新作でのトラップへの挑戦の前哨戦を楽しみつつ、KANDYTOWN よりもダンスやポップであることにも挑んでいて、興味深い内容になっている。

 最新作の『ADVISORY』で KANDYTOWN は、これまでのソウルフルでレイドバックしたサンプリング・ヒップホップから、現行ヒップホップの主流のひとつであるトラップに挑んでいる。でもそれは、たとえばケンドリック・ラマーが『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』から『ダム.』でやったように、大胆に舵を切ったという類のものではなく、あくまでトラップを自分たちなりにうまく消化しているといった印象だ。この音楽を聴きながら KANDYTOWN の地元の喜多見にも行ってみたのだが、行き帰りの道中で、最新作が夜の東京をドライヴするサウンドトラックとしてとてもしっくりくるな、という発見があった。アルバムの15曲中10曲を手がけている Neetz による、その打ち込みビートの立ちや力強さが、そのまま車のサウンドシステムでの鳴りの良さにつながっている。またアルバム収録曲の “Last Week” のMV、それにアルバムとは別曲が聴ける今年のEP「LOCAL SERVICE」のジャケットにも黒塗りの車がフィーチャーされているのも、それと無関係ではないかもしれない。

 そのサウンド面の変化が大きく影響しているのは、むしろラッパーたちの方かもしれない。前作までは、バックトラックに合わせラップもレイドバックした雰囲気を楽しんでいた印象だったけれど、それが打ち込みに変わったことで、(KANDYTOWN のラップの通奏低音であるクールさは保ちつつも)新しいヒップホップのモードにラップを乗せていくのを、アグレッシヴに楽しんでいるみたいだ。たとえば Gottz は収録曲でもっとも多くラップをしているひとりだが、KANDYTOWN のなかでは珍しく以前からソロでトラップを取り入れていた彼は、その経験を存分に活かしている。

 一方でこれまでと変わらず楽しめる部分もある。Neetz 以外の5曲のバックトラックを手がけた Ryohu は、前作までのサンプリング・ヒップホップを踏襲、アルバムにドラマチックな印象を加えている。また Ryohu による “Cruisin’” は、ミッドナイト・スターの名曲 “Curious” を思い出させる佳曲だが、タイトル通りこちらも夜の東京を車でクルージングするのにぴったりの曲でもある。

 新作関連で個人的なベストを選ばせてもらうとすれば、アルバムからの最新のシングルカット「In Need」に収録されている、Neetz と Ryohu のリミックスだろうか。Ryohu は “Last Week” を、スクリュー一歩手前と言いたくなるような重たいビートに差し替え。Neetz は、“In Need” にあらたにメランコリックなギターをフィーチャー、クールなオリジナルをドラマチックに生まれ変わらせている。両リミックスともすでに次のステップに進んでいる印象で、早くも次作への期待が煽られる。

 最後に、冒頭で「洒落者」と書いたけれど、それはユナイテッド・アローズの企画によるこちらの動画(https://youtu.be/lYdSKrB44Eo)を見てもらえれば一発でわかる。もう5年も前の映像だけど、マイクリレーの冒頭で KANDYTOWN の IO、DONY JOINT と YOUNG JUJU(KEIJU)が放つ存在感は、続く KOHH にも引けをとらない。シビれる。また、ファッションとヒップホップ、東京とヒップホップという話でいうと、上の映像で、マイクリレーのバックでブレイクビーツをつなぐ MURO(および、MICROPHONE PAGER の『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』)と KANDYTOWN をつなげて考えると、また見えてくるものがあるのではと思いついたりもしているのだが、それはまた別の機会にかな。

Bill Callahan - ele-king

 騒々しい街なかでイヤホンをつけて歩きながら聴くのには向かない。静かな部屋でひとり、あるいは誰かと、時間を確保してじっくり聴くのがいいだろう。このアルバムの美点は、うっかりすると聴き逃してしまいそうな細部にこそあるからだ。90年代からスモッグとして音楽活動をはじめ、ソロ名義になってからも細々とマイペースに活動してきたビル・キャラハンの新作──スモッグ名義と合わせて17枚めのアルバム──はいつもと同様にさりげなくリリースされ、さりげなく評価され、愛聴されている。ひとりの人間の小ささを表現しているようで、しかし、注意深く聴けばそこには幾多のドラマが宿っているというわけだ。2枚組の20曲、1時間と少し──それくらいの時間を、この音楽に身を任せてみてもいいだろう?
 2013年の『Dream River』以来オリジナルとしては約6年ぶりのアルバムとなるが、その間に彼は『Dream River』のダブ・ヴァージョンである『Have Fun with God』(2014)を発表している。そもそもキャラハンの作品はシンプルでミニマルな弾き語りフォークのようで高度なダブ・ミキシングが施されたものばかりだが、同作においてはとりわけ録音の実験をじゅうぶん満喫したということだ。キャラハンは本作『Shepherd in a Sheepskin Vest』のなかで引越やら何やらの人生のバタバタもあって「曲の書き方を忘れていた」と冗談めかして明かしているが、これまで得た経験が消え失せているわけではない。ナイロン弦のたっぷりの余韻や、曲によって鳴りが異なる打楽器、悠然と挿しこまれる弦楽器──それらは立体的に広がり、時間の流れ方を穏やかにしていく。音響意識の高いフォークは近年とくに注目されるものだが、キャラハンはトレンドと関係なくたんたんとそれに取り組み続けてきた。例を挙げればキリがないが、たとえば“Black Dog on the Beach”で奥のほうで小さく鳴って消えていくハーモニカ、“The Ballad of the Hulk”でかすかに、かすかに聴こえるギター・ノイズ、“Son of the Sea”でサササと重ねられるドラムブラシの音……といったものは、いかにこのアルバムがディテールに富んでいるかを表している。そこに悠然とやってくるキャラハンのバリトン・ヴォイス。それらすべてが合わさり、きわめて酩酊的なフォーク・ソングが現れては去っていく。

 これまでのどこかヘヴィな作風に比べ、穏やかな曲調のナンバーが増えたことも本作の特徴と言えるだろう。それはキャラハンが結婚し子どもをもうけたことが関係しているそうで、ここで彼は「父親」であることの意味をじっくりと考えている。それは母の死を前にして立ち上がる息子の生の眩しさであったり、おどけて語られる結婚生活の幸福であったりするのだが、これまで自身の悪夢や疎外感を歌ってきた彼としては驚くほど優しいものだ。彼の「男性的な」低い声はいっぽうでは父親としての責任を噛みしめ、もういっぽうではその重さにうろたえる弱さや危うさを見せている。普通のひとの普通の日常、または結婚や子どもの誕生や親の死といった普通のひとの人生における重大な出来事が、調子外れのユーモアやシュールなメタファー、ユニークなストーリーテリングとともに綴られていく(アルバム・タイトルは「羊の皮のベストを着た羊飼い」の意)。呟くようなヴォーカルも相まって、どこかレナード・コーエンの官能性を思わせるところもある。
 だから僕には、このアルバムはわたしたち小さなひとりひとりの人生の不可解さや謎、それゆえのおもしろさを小さな音に託しつつ多彩なタッチで描き出しているように思える。個人のささやかなリアリティが豊かな詩情によって普遍性を帯びた「ソング」となる、と。本作にはカーター・ファミリーのカヴァー(“Lonesome Valley”)が挿入されているが、そこに違和感はない。キャラハンのフォーク・ソングたちは個に根差しながらも、次第に個と個の境界を曖昧にしていくのである。だからこそ、ここで彼が自身に突きつけている「死を忘れることなかれ」というテーゼは、聴き手すべてに向けられている。いつか訪れる死という絶対的な事象を前に、お前は日々をどのように生きていきたいのか、そこに何を見出すのか、と。この騒然とした世のなかにあって、たぶん、わたしたちは自分のちっぽけな人生について思索する時間すら奪われようとしている。本作は細やかな音のやり取りによってこそ、その尊い時間をわたしたちの手に取り戻すのである。

KODAMA AND THE DUB STATION BAND - ele-king

 朗報です。去る20日、吉祥寺スターパインズカフェにてすばらしい、ほんとうにすばらしいパフォーマンスを披露してくれた KODAMA AND THE DUB STATION BAND が、来年の桃の節句、3月3日にふたたびライヴをおこないます。会場は渋谷クラブクアトロ。はやくも期待で胸がはちきれそうです。アルバム『かすかな きぼう』が良いのはもちろんですが、バンド・アンサンブルのほうもどんどん良くなっているので、まだ観たことない方はぜひ一度足を運ぶことを推奨します。詳細は下記より。

KODAMA AND THE DUB STATION BAND、2020年3月3日(火)渋谷クラブクアトロ公演決定

11月20日にリリースしたバンド初のオリジナル・フル・アルバム、『かすかな きぼう』が各方面で高い評価を受けているこだま和文率いる KODAMA AND THE DUB STATION BAND。実質的なレコ発となる、12月20日の吉祥寺スターパインズカフェにおけるワンマン・ライヴも大盛況だった彼らの渋谷クラブクアトロ公演が決定。2020年3月3日(火)、お楽しみに。

《公演詳細》
KODAMA AND THE DUB STATION BAND
MEMBER:
こだま和文(Tp / Vo)、ARIWA(Tb / Vo)、HAKASE-SUN(Key)、AKIHIRO(G)、コウチ(B)、森俊也(Dr)

2020/03/03(火)
渋谷クラブクアトロ
開場19:00 / 開演20:00
前売:4000円(税込 / 1DRINK別)
当日:4500円(税込 / 1DRINK別)
チケット発売日:01/11(土)
・DUB STATION BAND HP、チケットぴあ、ローソンチケット、e+、クラブクアトロ店頭、他

*先行予約
・DUB STATION BAND HP: 01/04(土)12:00 ~ 01/10(金)18:00
・QUATTRO WEB: 01/04(土)12:00 ~ 01/06(月)18:00
・e+ pre-order: 01/04(土)12:00 ~ 01/06(月)18:00
問い合せ:CLUB QUATTRO 03-3477-8750 / www.club-quattro.com

KODAMA AND THE DUB STATION BAND official site
https://dubstation.info/

《商品情報》

アーティスト:KODAMA AND THE DUB STATION BAND
タイトル:かすかな きぼう
レーベル:KURASHI/Pヴァイン
商品番号:KURASHI-003
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,727+税
発売日:2019年11月20日(水)

収録曲
01. 霧の中でSKA
02. CHORUS
03. SUNNY SIDE WALK
04. かすかな きぼう
05. 雑草 (weed)
06. STRAIGHT TO DUB
07. GYPSY CIGARETTE
08. NEW WORLD
09. 霧の中でSKA (Mute Version)
10. STRAIGHT TO DUB (Tez Dub Version)

Tohji - ele-king

 2019年、大きな話題を集めたラッパーの Tohji が、人気曲“Rodeo”のMVをサプライズで公開している。USのユーチューブ・チャンネル No Jumper からのリリースで、監督は“aero”のMVも担当していた Havit Art。今年の活躍を締めくくりつつ、来年のさらなる飛躍を期待させてくれるような、なんとも勢いのある動画に仕上がっている。

Fiona Lee - ele-king

現実のオルタナティヴな響き──香港民主化デモのフィールド・レコーディングを聴く

つまるところ、雨傘運動を通して私にもっとも聞こえていたのは罵声と怒鳴り声でした。これらを録音しようとは思えなかったですし、こうした感情的になった場面を録音するための機材はしばしば持っていかないこともありました。政府や警察が恐ろしくて、ひどく嫌なものであることはもはや周知の事実です。ですからある程度までいくと、それらの周知の事実を強調し続けることは、私に関する限り、本当の助けにはならないのです──そしておそらくこのことが、運動全体がもっとも直面しなければならない問題だったのかもしれません。
──フィオナ・リー(1)

 2019年6月9日、香港島北部を東西によぎるヴィクトリアパークから金鐘(アドミラルティ)へといたる路上に、前代未聞の音響が出現した。およそ100万人もの群衆が集い、凄まじいざわめきをともないながら、建造物が林立する空間を様々なサウンドが埋め尽くす。ときに打楽器のリズムに合わせて「加油(ガーヤウ)」と叫ぶ合唱が巻き起こり、終わっては迸る叫び声が歓声のように響きわたり、しかしすぐさま別の場所から別の合唱が巻き起こる。アジテーションのような演説、管楽器や打楽器を使用した演奏などもあり、どれか一つに中心が定められているわけではない。合唱はほとんど偶然のように群衆の声が重なり合うことで激しさを増していく一方、そうした合唱が方々から起きては消えていき、全体を統合することのない、あたかも水のように不定形な音の力が出来する。基層をなしているのは大量の人々が生み出すざわめき、すなわちノイズの様々なありようだ。そしてこの未曾有のサウンドを、幸いなことにわたしたちは実際に耳にすることができる。香港を拠点に活動するサウンド・アーティストのフィオナ・リー(李穎姍)がリリースしたフィールド・レコーディング作品によって。


8月上旬、大埔墟でのデモの様子(撮影:Aokid)

 あらためてことの経緯を確認しておきたい。2019年2月、前年に台湾で発生した殺人事件を口実に、香港政府は逃亡犯条例の改正案を発表した。広く知られているように1842年の南京条約以来、第二次世界大戦における日本による植民地支配を例外に、香港は長らく英国の領土となっていた。そのため中国本土とは大きく異なる制度のもとに統治されており、1997年に中国本土へと返還される際、香港は向こう50年間既存の制度を維持すること、すなわち「一国二制度」のもと高度な自治が認められることになった。これにより中国本土では取り締まりの対象となるような行為、たとえば共産党政権に対する批判や政治的な集会、天安門事件をはじめとした過去の出来事を知ること、あるいは卑近な例ではツイッターやグーグルをはじめとした国外のインターネット・サービスの使用などが認められている。だが香港で犯罪を犯した人物を中国本土へと引き渡す逃亡犯条例改正案は、中国本土の意向に沿わない人物を犯罪者に仕立て上げることで連行することを可能にするものであり、すなわちこうした香港における自由を奪うものだった。逃亡犯条例の改正は「一国二制度」を揺るがし、香港の中国本土化を推し進めるものなのである。それはこれまでのように自由な創作活動ができなくなることをも意味する。こうした危機に対して香港市民は反発した。それは自らの生きる権利、いやむしろ生存の条件を確保するための闘争であると言っていい。

 2019年9月4日、香港トップのキャリー・ラム行政長官は逃亡犯条例改正案の撤回を正式に表明したものの、デモ隊をおしなべて「暴徒」と呼び、大量の催涙弾やビーンバック弾の発射をはじめとした、無抵抗な人間にさえ不当な暴力を振るってきた香港警察の行為に対して、市民の怒りが収まることはなかった。10月には警察が高校生に向けて実弾を発砲。その3日後に香港政府は緊急条例を発動し、のちに高等法院で違憲と判断される覆面禁止法を発令。翌11月には警察に追われた大学生が立体駐車場で転落死するなど、警察および政府による弾圧は激化し、それに抵抗するように一部のデモ隊の抗議活動も過激化していった。11月24日に実施された香港の民意が直接的に反映される区議会選挙では、民主派が8割を超す圧倒的多数の議席を獲得。政府や警察に対する批判が民意として可視化されることとなった。そして半年以上が経過した現在もいまだに抗議運動が収束する見込みは立っていない。闘争は単に香港政府と市民の問題にとどまらず、社会主義国家である中国本土と欧米の自由資本主義の代理戦争とする向きもある(2)。だが本稿ではこれ以上香港の民主化運動それ自体については深入りしない。あくまでも音楽作品がどのようなものであり、どのような意義があるのかということに徹する。抗議運動に関してのみ言及するのであれば音楽作品を語る必要などないからだ。だがむろん、作品を語る上で不可避的に触れざるを得ないことに関しては言及する。

 1987年に香港で生まれたフィオナ・リーは、幼少の頃より長らくピアノを習っていたというものの、あまり練習にのめり込むことができず、むしろ楽譜を使用せずに自由に表現することに愉しみを見出していたという(3)。転機が訪れたのは香港城市大学でクリエイティヴ・メディアを学んでいたときのことだった。師事していたセドリック・マリデから影響を受け、電球が発するサウンドに着目するようになる(4)。そこから音響現象、あるいはサウンド・アートへと関心が広まり、こうした領域で活躍する鈴木昭男やロルフ・ユリウス、フェリックス・ヘス、クリスティーナ・クービッシュ、ヤニック・ドビー、角田俊也あるいは梅田哲也といったアーティストから影響を受けたことを公言している。テン年代に入るとインスタレーションとパフォーマンスを股にかけた活動を精力的におこない、電球が発する響きを構成したパフォーマンス作品「delight」(2010~)、会場内外の様々な電磁波を捉えてサウンドへと変換していくインスタレーション作品「catch the wings of meteors」(2014)、螺旋階段の上階から地上へと水滴を落下させ、その響きを釣竿にぶら下げたラジオから再生するとともにボウルを使用して水滴を遮り、重力と時間と空間の関係性を明らかにしていく「Joy of gravity "Dropping from 14/F to G/F"」(2016)などを発表(5)。電磁波や重力など見えないものを可聴化する試みは、彼女が影響源として挙げる英国の人文学的環境学者ティモシー・モートンの思想とも共鳴する実践だと言えるだろう。

 2016年にはこうしたパフォーマンスやインスタレーション、さらにフィールド・レコーディング作品を収めた代表作と言ってよいデビュー・アルバム『walking in a daze』をリリース。その一方でパフォーマーとして東京、神戸、京都の三都市で開催されたアジアン・ミーティング・フェスティヴァルにも参加。モジュラー・シンセサイザーのサイン波を利用して電磁場を発生させ、磁石の球がガラス・ボウルの中をぐるぐると回転する特異なパフォーマンスを披露した。その後も来日して作品制作やライヴをおこなっており、水道橋のCDショップ兼イベント・スペース Ftarri にも出演。そのときの録音はソロを収めた『Ftarri de Solos』および集団即興を収めた『Ftarri Jam』という二枚のアルバムとなってリリースされている。ガラス・ボウルのほか、マイクスタンドに括りつけたペットボトルから水を垂らし金属の器で受け止め、水滴がリズムを生み出すとともに器を打楽器的に使用し、次第に水が貯まることで変化していく響きを聴かせるなど、つねに生成変化するインスタレーションのようなライヴ・パフォーマンスは視覚と聴覚の双方を刺激する尽きない魅力に溢れている。

 そうした彼女が初めて音を介して政治的/社会的な出来事に参加したのは、香港の港湾で運行しているスターフェリーの埠頭が取り壊されたときのことだったという(6)。香港警察から信じがたい罵詈雑言を浴びせられた彼女らは、手元にあるリコーダーで、警察たちがその場を去るまでひたすらスターフェリーのチャイムのメロディを奏で続けた。このときの経験を彼女は「実際のところ、これによって警察が本当に攻撃されているわけではありませんでした」(7)と述懐しているものの、それは大衆を扇動するために音楽を利用したり、あるいは近年話題になった「音響攻撃」をはじめとして、音/音楽が容易に暴力装置と化すことに対して、あくまでも音は無力である必要があること、しかしこの無力さにとどまり続けることによって権力による抑圧に対する抵抗たり得ることを肌で感じ取ったのではないだろうか。

 2014年、香港では普通選挙を獲得するための雨傘運動が巻き起こった。このとき、香港で音に関わるアーティストの活動を支援している非営利組織「サウンドポケット」によるプロジェクトのひとつ「ザ・ライブラリー」が、雨傘運動を音響的に記録するためのプロジェクトを立ち上げた(8)。香港を拠点に活動するアーティストたち、Nerve としても知られるスティーヴ・ホイや dj sniff など10名が参加したこのプロジェクトは二枚組のアルバム『DAY AFTER翌日 [2014. 9.29 - 12.12]』へと結実する。フィオナ・リーもこのプロジェクトに参加し、二つの音源を発表している。10月13日の早朝、警察による催涙ガスの弾圧を捉えた録音では、鳥の囀りがささやかに響く爽やかな雰囲気からはじまり、しかし次第に通りを行き交う人々のざわめきが増していく。町内放送のようなアナウンスが聞こえたあと、途端に騒がしくなっていき、ある種の即興パフォーマンスのような展開を聴かせる作品である。他方で10月16日深夜の録音では、マンホールの蓋が地面に投げつけられ、それがトンネル内で深い残響をともなって響く、その反響の様々なありようを聴かせるどこかインスタレーションのような作品だ。どちらも雨傘運動の音の記録であるとともに、フィオナの耳が捉えた、彼女自身の音楽活動とも通じる内容となっている。

 それから5年後、フィオナ・リーのサウンドクラウドに一時間半にもおよぶフィールド・レコーディング作品がアップロードされた。100万人が参加した2019年6月9日のデモの模様をビルの最上階で収録した音源である。凄まじい叫びが一斉に巻き起こっては消え、遠くで別のリズムで別の叫びが発生し、あるいはアジテーションとコール&レスポンスが別々に聴こえてくるなど、デモの規模の大きさとその多様性を音響的に伝える内容だ。その後も三ヶ月間、彼女は民主化デモのフィールド・レコーディングを継続し、そしてそれらの音源を組み合わせた作品『Hong Kong 9 June to 12 Sep 2019』を9月中旬に発表した(9)。デモが本格化した6月9日からキャリー・ラム行政長官による改正案撤廃の表明後となる9月12日までの六箇所のフィールド・レコーディングを編集して収録した本作品には、ひとまずは逃亡犯条例改正案に対する抗議活動が撤廃を勝ち取るまでの軌跡が刻まれていると言えるだろう。

 100万人が参加し民主化運動の大きな出発点となった6月9日の抗議デモから本作品は幕を開ける。ドンドコドンドコドン、というドラミングに対して大量の人々が「加油!」と叫ぶ、圧倒的かつ象徴的なシーンだ。その後、いわゆるワーシップ音楽の一つであり、今回の香港におけるデモの抵抗歌ともなっている“Sing Hallelujah to the Lord”の合唱がギターを伴奏におこなわれたり、「光復香港! 時代革命!」というコール&レスポンス、あるいは「五大訴求! 缺一不可!」と叫ぶ群衆が自然と「Stand with Hong Kong! Fight for Freedom!」の叫びへと変化したり、香港のラッパー JB による“Fuck the Popo”の合唱がおこなわれたりなどする。最後はショッピングモールを舞台に、民主化運動の只中で生まれた非公式国家「香港に栄光あれ」の合唱が、管楽器の演奏を交えながら披露される。そのどれもが勢いに溢れ、こう言ってよければ音楽的に豊かなアンサンブルを編み上げている。民主化運動を通じて生まれた──あるいは意味を変えた──数々の抵抗歌とコール&レスポンスの旋律が、余すところなく収められた貴重な記録となっている。だがより興味深いのは、こうした記号化し得る抵抗歌やコール&レスポンスよりもむしろ、大量の人々によって自然発生的に合唱が生まれては消え、さらに群衆が生み出すノイズが空間的に広がりその不定形なかたちの様々なありようを聴かせてくれることである。合唱やコールが一体どのような音環境でおこなわれていたのかが手に取るようにわかるとともに、何層にも重なるノイズと予期し得ない偶然的な変化は、今回の香港民主化運動それ自体の特徴を音響的に示しているようにも思う。こうした音群はたとえば、香港返還後最大規模となる200万人が参加した6月16日のデモについて、「素人の乱」5号店店主の松本哉が書き記した次のようなレポートからも窺い知ることができる。

そして、ちょっと驚いたのが、香港のデモにはデモの宣伝カーがない。制限されて出せないらしいけど、これがまたすごい。それどころか拡声器を持ってる人もほとんどいない。各所で突如巻き起こるコールなどがあるが、それ以外はただただ無数の群衆が行進してる。もちろんいろんな政党や政治グループもあるので、その人たちは一角に簡単なステージを作って話したりしてるし、楽器を持ってくるグループは太鼓(ドラムというより太鼓)を叩きながら行進したりもしているけど、やはりそれはそこまで多くない。そして時々怒りがたまってきた時に「うお~~~」とみんなで叫び始める。数千人数万人が叫ぶ。そしてすぐに止む。これすごい迫力。(10)

 雨傘運動と異なりリーダーや先導する組織が不在であり、各参加者が主にインターネットを通じて自発的にデモに参加していることが、今回の民主化運動のひとつの特徴とされている。デモを主催するリーダーがアジテーションをおこない群衆がレスポンスするのではなく、つねに変化する複数の中心があり、ときには無関係に並走し、あるいは重なりあっていくその様は、香港の活動家・區龍宇が「民主共同体は多元的でなければならない」(11)と述べたような共同体の理想的なあり方を示しているようにも思う。そして不定形に変化する自発的な抗議運動は、香港のアクション・スターであるブルース・リーの名言「水になれ」にあやかって、まさに不定形に離合集散を繰り返す流水にもたとえられているものの、それは同時に極めて優れた集団即興の構造的な特徴であるようにも思う。いわばフィオナ・リーは前代未聞の集団即興演奏を収録したのである。


8月上旬、大埔墟に設置された雨傘のバリケード(撮影:Aokid)

 むろん抗議運動をフィールド・レコーディングすることそれ自体が珍しいわけではない。1969年に米国のベトナム戦争に対する反戦デモを収めたトニー・コンラッドによる作品『Bryant Park Moratorium Rally』、あるいはベルリンの壁崩壊前夜のクロイツベルクのデモの録音を挿入したアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの楽曲“Fiat Lux”などが有名どころだが、近年では世界中の音環境を記録しマッピングしようと試みる「シティーズ・アンド・メモリー」によって「抗議と政治」というプロジェクトも進行している(12)。トランプ政権およびブレグジットへの抗議運動を収録したものを中心に、欧米のみならずインドやカンボジア、台湾などアジア圏でのデモの録音も投稿されており、抗議内容は必ずしも体制批判だけではなく、なかには政権を支持する運動の録音もある。ただし現時点では香港の民主化運動は一切投稿されていない。同ウェブサイトには無加工の「シティ・ヴァージョン」と録音に加工/編集を施した「メモリー・ヴァージョン」があり、世界各地でおこなわれている抗議運動の様々なコール&レスポンスのパターンを知ることができる。それらに比すとき、抗議運動のサウンド・パターンだけでなく出来事それ自体を収めようとしたフィオナの作品の特異性も浮かび上がってくる。

 抗議運動の録音に関して、『Souciant』誌に掲載された「フィールド・レコーディングの政治」と題した記事のなかでは、「経済的な目的へと合理化するのが困難であること」こそがプロテスト音楽の本質だと書かれている(13)。たしかに売れることや心地よい体験をすることがこうした音楽の目的ではないだろう。ただし同記事で言われているように「ノイズが美的価値を欠いている」とは限らない。抗議運動のフィールド・レコーディングは、その事実性とノイズの美的価値の相互作用をこそ聴き取らなければならないはずだ。そのためには抗議運動のフィールド・レコーディングを素朴に現実そのものの響きだと信じることを留保する必要がある。「シティーズ・アンド・メモリー」にメモリー・ヴァージョンがあるのは、他方でシティ・ヴァージョンがまさに「現実の響き」だと見做されているからに他ならない。しかしあらためて言うまでもなく、無加工のフィールド・レコーディングが現実をそのまま記録しているわけではないのである。録音という行為がすでに現実の響きの加工であるうえに、どのように録音するのかという点に制作者の作家性が示されてもいるからだ。本作品のように複数のサウンドスケープを選択し、ある継起的時間に収めるという時点でそこにはフィオナの耳が刻まれている。

 フィオナとも交流のある北京の音楽家ヤン・ジュンはかつて「事実性を記録することなど出来ません。記録することと創造することに区別はないのです。(……)楽器を選ぶこと、配置を決めること、録音ボタンを押すこと、その全てが作曲行為なのです」(14)と述べたことがあった。録音という行為は現実を切り取るという以上に、音を組織化するための積極的な手段でもあるのだ。そうであればこそ、自然の響きをそのまま写し取ったかのような極めてリアルな音響であったとしても、それが却って不自然に感じられてしまうということもある。ただしそれはフィールド・レコーディングという行為がすべて現実から等間隔の距離を保っているというわけではない。フィールド・レコーディング活動をおこなう18名のアーティストのインタヴューを収めた、キャシー・レーンとアンガス・カーライルの『イン・ザ・フィールド──フィールド・レコーディングの芸術』の書評で聴覚文化論の金子智太郎は、実際には見かけほど単純ではないと断りを入れつつ、同書における「録音のドキュメンタリー性を重視するかという問い」と「録音に自己がどう現れるかという問い」に言及している(15)。この二つの問いは表裏一体となっており、すなわち録音作品と客観的な現実との距離に関する問いと言うことができる。そしてフィールド・レコーディングには、制作者の意識の有無にかかわらず、つねにこの事実性に対する距離のグラデーションが存在する。

 事実性を括弧に括り、記録された響きを参照項を持たない音として聴取することを、かつてミュジーク・コンクレートの創始者であるピエール・シェフェールは還元的聴取と呼んだ。だがむろん響きから一切の現実を排した「音そのもの」を聴取することは不可能である以上、還元的聴取は現実との別の接点を音響から聴き出すための手段だと言うこともできる。たとえば雨傘運動を捉えたフィオナの作品は、まさにこのような還元的聴取をおこなうことによって、実際には展示でも公演でもないにもかかわらず、あたかもインスタレーション作品のように、あるいはオブジェを使用したサウンド・パフォーマンスのようにも聴くことができる。それは録音を音響へと還元しつつも、展示や公演といったフィオナの活動とも関わる現実との別の接点を聴き取ったということでもある。そのように考えるならば、『Hong Kong 9 June to 12 Sep 2019』は香港民主化運動の現実をそのまま切り出した響きというよりも、むしろフィールド・レコーディングによって切り出された、抗議運動を考えるための現実との別の接点をもたらしてくれる作品だと言うべきではないだろうか。

 今回の民主化運動では、香港警察が不当な暴力を行使する映像がSNSや動画サイトを介して拡散したことが、警察に対する不信感と反感を加速度的に増幅させていった。そして警察および政府のみならずその背後にある中国本土へと怒りの矛先は向かい、中国企業や親中派の店舗を襲撃するなど一部のデモ隊は過激化の一途を辿っている。だがしかし、そのような暴力を通して周知の事実を強調し続けることだけが取るべき手段なのだろうか。暴力の連鎖はどこかで止めなければならない。むろんいま現在闘争の只中にある香港市民にとっては、こうした問いかけは無意味に映るかもしれない。だが抗議運動における音の力は、抵抗歌を生み出し活動を鼓舞することだけにとどまるわけではない。映像に接して瞬間的に感情を増幅させるのとはまったく反対に、無数の声を一定の距離を確保しながら聴き取ることもまた「音の力」であるはずだ。音を現実から引き剥がし、そのうえであらためて音と現実との接点を探ること。あるいは音と耳の関係性を基盤にしつつ、しかしその相関性の外部にある現実について思考すること。フィールド・レコーディングという徹底的に聴くことを出発点とする表現手法は、こうしたある種の無力さに根差した抵抗としての「音の力」を可能にする。そしてフィオナ自身が本作品に関して「これらの録音が、抗議運動を別の視点から理解したい将来のクリエーターのための参考となることを願っています」(16)と述べているように、残された音の記録はまさに事実性からの距離を見出されることによって、香港民主化運動の響きの政治的かつ美学的な複数の側面を、抵抗手段としての聴取をともないながら明らかにしていくことだろう。

Courtney Barnett - ele-king

 これは嬉しいお知らせだー。春の来日公演やフジでのパフォーマンスも話題を呼んだオーストラリアの宝、コートニー・バーネットが初めてのライヴ盤をリリースする。しかも、『MTV アンプラグド』である。本人コメントも到着しているが、どうやら「アンプラグド」には深い思い入れがあるようで……彼女の珠玉の楽曲たちがアコースティックではどのような表情を見せるのか。レナード・コーエンのカヴァー曲や新曲もあります。これは楽しみだー。

tiny pop - ele-king

 ネット世代によるDIY歌謡──それが「tiny pop」である。詳しくはこちらの山田光の記事や、先日上野公園でおこなわれたフェスのレポートを参照されたいが、いまじわじわとその名を広めつつあるこの「小さなポップ」の、初となるコンピレイションがリリースされる。5曲入りのデジタル版は本日12月20日に、11曲入りのCD盤は1月8日に発売。小さな、けれども大いに魅力あふれる音楽たちの、ささやかなる息吹に耳を傾けよう。

ネット世代のDIY歌謡曲! 20年代の幕開けに相応しい新たなる音楽シーン(?!) “tiny pop” 初のコンピレーション!

「tiny popとは、インターネット世代によるDIY歌謡曲システム(作詞・作曲・編曲)である」(hikaru yamada)。

巷で「“tiny pop”とはなんぞや?」と騒がれつつある20年代の幕開けに相応しい音楽的キーワード“tiny pop”。ジャンルやカテゴリ、それともシーンやムーブメントとも言うべきか、まだ固まり切らない“空気”や“匂い”のようなものを自らその片隅に身を置き東京インディシーンにて異彩を放つ hikaru yamada が“tiny pop”なアーティスト達を紹介するコンピレーションを監修! アレンジや音色の再現のみにとどまっていたシティポップリバイバルから、その次の一歩を踏み出したリアルタイムなサウンドはまさに“ネット世代のDIY歌謡曲”!

【収録アーティスト】

-mukuchi-
マリによる一人ユニット。西日本の漁村にて無気力生活中。インターネット上に公開されている宅録家の音源に影響を受け、2015年頃から曲作りをはじめる。以来、主にネット上で活動を続けている。mukuchi のほか、hikaru yamada (hikaru yamada and the librarians)と共に feather shuttles forever としても活動している。

-SNJO-
広島出身、京都在住のプロデューサー。 クラブミュージックから影響を受けたサウンドと普遍的なノスタルジーを併せ持ったメロディを軸に楽曲を制作しており、多 数の楽曲提供や客演も積極的に行う。2018年10月にネットレー ベル〈Local Visions〉よりアルバム『未開の惑星』2019年11月に2ndアルバム『Diamond』をリリース。

-wai wai music resort-
大阪出身・在住のエブリデと Lisa で関西を中心に活動する兄妹ポップユニット。ジャズやワールドミュージック、ゲームミュージックに影響を受けたインターネット時代のリゾート音楽を展開する。2019年4月にはインターネットレーベル〈Local Visions〉より1st EP「WWMR 1」をリリース。同月に開催され大きな話題となった〈Local Visions〉と lightmellow部との共同イベント Yu-Koh α版にも出演。

-ゆめであいましょう-
2009年から活動し、1973年ごろから1985年ごろまでの間に作られた想像上のロックや歌謡曲を作り続けている音楽ユニット。2019年4月に“んミィバンド”とのスプリット7インチ・シングル「ひかりのうた/おだやかにひそやかに」をリリースした。

-feather shuttles forever-
hikaru yamada and the librarians としても活動し、サックス/マルチ奏者であり前野健太の『サクラ』に参加するなどさまざまな場で活躍している“hikaru yamada”と、漁村在住のシンガー・ソングライター/宅録音楽家でありソロ・ユニット“mukuchi”として多数の作品を発表しているマリこと西海マリによるユニット。2017年にファースト・アルバム『feather shuttles forever』をリリース、2018年5月に発表したシングル「提案」には Tenma Tenma、kyooo、入江陽、SNJO という4人が客演、2019年1月には〈Local Visions〉から2ndアルバム『図上のシーサイドタウン』を発表している。

【監修:hikaru yamada】
1988年生まれ。アルトサックス・トラックメイクなど。循環呼吸や各種プリペアドを駆使したサックス演奏の他、サンプリングによるトラックメイクを行う。自身のユニット hikaru yamada and the librarians と feather shuttles forever の他、入江陽・毛玉・前野健太・SNJO・VOLOJZA・South Penguin・んミィバンドなどのアルバム、映画『ディアー・ディアー』(2015)『馬の骨』(2018)サウンドトラック(いずれも岡田拓郎が音楽を担当)に参加。2019年からは雑誌『ele-king』『ミュージックマガジン』に記事を寄稿。普段はゲームの制作会社で音響効果と作曲の仕事をしている。

【リリース情報】

CD版/デジタル版 2形態でリリース!

【DIGITAL】

タイトル: tiny pop – the tiny side of life / タイニー・ポップ - ザ・タイニー・サイド・オブ・ライフ
アーティスト:V.A. / V.A.
レーベル:P-VINE
発売日:2019年12月20日(金)

《収録曲》
01. feather shuttles forever 「ウェルウィッチア」
02. ゆめであいましょう 「見えるわ」
03. wai wai music resort 「Blue Fish」
04. SNJO 「Ghost」
05. mukuchi 「午前十時の映画祭」

【CD】

タイトル:tiny pop - here’s that tiny days / タイニー・ポップ – ヒアズ・ザット・タイニー・デイズ
アーティスト:V.A. / V.A.
レーベル:P-VINE
品番:PCD-4644
定価:¥1,000+税
発売日:2020年1月8日(水)
*CD版には封入ブックレットに監修 hikaru yamada によるシーンの詳細な解説と参加アーティスト各々による曲解説コメントを掲載!

《収録曲》
01. mukuchi 「午前十時の映画祭」
02. mukuchi 「食卓」
03. mukuchi 「オアシスの一部分」
04. SNJO 「Ghost」
05. SNJOとゆnovation 「Days」
06. wai wai music resort 「Blue Fish」
07. エブリデ 「牛の記憶」
08. ゆめであいましょう 「見えるわ」
09. ゆめであいましょう 「シャンマオムーン」
10. ゆめであいましょう 「誰もが誰かに」
11. feather shuttles forever 「ウェルウィッチア」

https://smarturl.it/tinypop_heres

WaqWaq Kingdom - ele-king

 先日、新たに強力な12インチがリリースされたばかりの Mars89 だけれど(紙エレ年末号にインタヴュー掲載)、彼が suimin とともに主催する《南蛮渡来》(名前の由来はじゃがたら!)が5周年を迎える。というわけで、年明け1月18日にアニヴァーサリー・パーティが開催されることとなった(WWW / WWWβ)。目玉は、キング・ミダス・サウンドへの参加でも知られるキキ・ヒトミと、新生シーフィールのメンバーでありDJスコッチ・エッグ名義でも活躍しているシゲル・イシハラからなるユニット、ワクワク・キングダムの出演だろう。2017年のファースト『Shinsekai』も良かったし、最近セカンド『Essaka Hoisa』も出たばかりということで、すばらしいパフォーマンスを披露してくれることだろう。詳しくは下記をば。

[2020年1月9日追記]
 昨日、フルラインナップが発表されました。新たにローカルから欧州帰りの MEW、「ストレンジ・ダブ・セット」を披露する TOREI、そして Double Clapperz から UKD の計3組の出演が決定。楽しみです。

南蛮渡来 5th Anniversary

Mars89 と suimin 主宰のミューテーション・パーティ《南蛮渡来》5周年記念! “演歌ダブ”でも話題となった Kiki Hitomi とブレイクコアのレジェンド DJ Scotch Egg によるヘビー・バイブスな重低音デュオ WaqWaq Kingdom を初来日で迎えた、ベース&トライバルな阿弗利加、亜細亜、神、祭、未来、タイムワープな新世界へ。ワクワクなフルラインナップは後日発表!

南蛮渡来 5th Anniversary
2020/01/18 sat at WWW / WWWβ
OPEN / START 23:30
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

WaqWaq Kingdom (Kiki Hitomi & Shigeru Ishihara) [Phantom Limb / Jahtari / JP/DE]
MEW [*1/9追記]
TOREI - Strange Dub set - [*1/9追記]
UKD (Double Clapperz) [*1/9追記]
Mars89 [南蛮渡来]
suimin [南蛮渡来]

Tarot: AWAI [*1/9追記]

※ You must be 20 or over with Photo ID to enter.

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/012125.php
前売:https://www.residentadvisor.net/events/1363782

■WaqWaq Kingdom (Kiki Hitomi & Shigeru Ishihara) [Phantom Limb / Jahtari / JP/DE]

Seefeel のメンバーでもある Shigeru Ishihara (別名 DJ Scotch Egg) と、The Bug との King Midas Sound でも活動するシンガー/プロデューサー Kiki Hitomi による“トライバル”にインスパイアされたキラーな重低音デュオ WaqWaq Kingdom。“ヘビー・バイブス”なデュオとして知られ、ヨーロッパ、中国での評判を皮切りに、〈Phantom Limb Records〉からのセカンド・アルバム『Essaka Hoisa』のリリース以来、USからの関心も高めている。

WaqWaq Kingdom は古代神道の神話や、地元の神々を称える日本の“祭り”をテーマとし、催眠的でシャーマニックなライブ・パフォーマンスは、「アニミスティックなルーツとフーチャリスティックな都市のネオン・カラーを再接続する強烈なタイムワープの体験」と言われている。

デュオの最初の2枚のレコード、および〈Jahtari〉からのEPとLPで着実な評価を得ながらワールドワイドへ進出。Quietus や Resident Advisor からの熱烈な記事や、The Wire でもフィーチャーされる。また Shigeru Ishihara はウガンダの新興フェスティバル〈Nyege Nyege〉に出演し、ナントとロッテルダムでもギグを行っている。

https://open.spotify.com/album/4HbqiCPMjB8WP1vIegQ6Br


■Mars89 [南蛮渡来]

Mars89 は現在東京を拠点に活動している DJ / Composer である。 2016年にEP「East End Chaos」をリリース。 そして、それを足がかりに2017年に「Lucid Dream EP」を Bristol を拠点とするレーベル〈Bokeh Versions〉からダブプレートとカセットテープというフォーマットでリリース。2018年にはアジアツアーや大型フェスへの出演を経て、〈Bokeh Versions〉から12インチ「End Of The Death」をリリース。主要メディアで高く評価され、あらゆるラジオで繰り返しプレイされた。UNDERCOVER 2019A/W の Show や田名網敬一のドキュメンタリーフィルム、Louis Vuitton 2019A/W Mens の広告映像の楽曲などを担当。Bristol の Noods Radio ではレジデントをつとめている。

https://www.mars89.com/
https://www.youtube.com/watch?v=gjw1UGL14yE


■suimin [南蛮渡来]

『覚醒、瞑想、殺人。』

https://soundcloud.com/min-ing

MOODYMANN JAPAN TOUR 2020 - ele-king

 正月明け早々にムーディーマンが来日する。最高のデトロイト・ハウス、ソウル・ミュージックおよびファンクの魔術師。ちなみに、1ヶ月前にアップされたばかりの、モータウン60周年を祝した最新のミックス音源はこちらです。https://m.soundcloud.com/carharttwip/carhartt-wip-radio-november-2019

MOODYMANN JAPAN TOUR 2020

2020.1.11(土) 東京 @Contact

Studio:
Moodymann
DJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA
YOSA
U-T

Contact:
sauce81 - Live
Kaji (WITT | xXx) - Prince set
Pocho in the house
and more

Open: 22:00

Under 23 1000yen | Before 23:00 2500yen | Early Bird 2500yen | Advance 3000yen
With Flyer 3300yen | Door 3800yen

Info: Contact https://www.contacttokyo.com
東京都渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビル4号館B2F TEL 03-6427-8107
You must be 20 and over with ID.


2020.1.12(日) 大阪 @Club Joule

2F:
Moodymann
DJ Fulltono (EXIT Records / Tekk DJz)
AKIHIRO (NIAGARA)
QUESTA (HOOFIT / BMS)

4F:
DJ AGEISHI (AHB Pro.)
SHINDO (hypnotic inc.)
Akemi Hino
Izumi Kimura (FLOW)
TeLL (C£apHaиds)

Open 22:00

Advance 3000yen + 1Drink fee (700yen)
RA, e+, iFLYER, Newtone, Root Down, Disk Union Osaka

Door 3500yen + 1Drink fee (700yen)

Info: Club Joule www.club-joule.com
大阪市中央区西心斎橋2-11-7 南炭屋町ビル2F TEL 06-6214-1223
AHB Production www.ahbproduction.com


Moodymann (KDJ, Mahogani Music / From Detroit)

ミシガン州デトロイトを拠点に活動するアーティスト、MoodymannことKenny Dixon Jrは、レーベル〈KDJ〉と〈Mahogani Music〉を主宰し、現代そして今後のインディペンデント・シーンやブラック・ミュージックを語る上で決して無視出来ない存在である。デトロイト・テクノ名門、Planet Eよりファースト・アルバム『Silent Introduction』をリリースし、その後〈Peace Frog〉よりアルバム『Mahogany Brown』、『Forevernevermore』、『Silence In The Secret Garden』、『Black Mahogani』をリリース。
『Black Mahogani』の続編『Black Mahogani Ⅱ ~ the Pitch Black City Collection ~』では、もはや〈Strata〉や〈Tribe〉、〈Strata East〉といったブラック・ジャズ~スピリチュアル・ジャズをも想わす作品を発表し、その限りない才能を発揮している。2014年、アルバム『MOODYMANN』をリリース。2015年、DJミックスシリーズ 『DJ Kicks』よりオフィシャルMIXをリリース。2019年には最新アルバム『Sinner』をリリース、New Eraとのコラボレーションなど常に話題が尽きない。2020年5月21〜25日デトロイトにてSoul Skate Detroitを開催する。

www.mahoganimusic.com
www.facebook.com/moodymann313
www.facebook.com/blackmahogani313

Der Plan - ele-king

 デア・プランといえば、初期電気グルーヴにも多大な影響を与えたニューウェイヴ時代のドイツを代表するバンド。いわゆる宅録シンセ・ポップのはしりで、ロックではなく学芸会風のセンスを取り入れて、また、メンバーであるモーリッツ・ルルルの素晴らしくヘンなアートワークも相まって、80年代の日本でもかなり人気だった。それが元DAFのピロレーターもふくむあの3人で、36年ぶりに来日する。公演は1回のみ。これ見逃したら次はないですぞ。

【The Return of JaPlan】
デア・プラン ライヴ・イン・ジャパン2020
2020年2月21日(金)ゲーテ・インスティトゥート東京
料金:Adv. ¥5,500 / Door ¥6,000
チケット:近日発売

モーリッツ、フランク、ピロレーターの3人での来日はなんと36年ぶり。公演は1回のみ、お見逃しなく!

主催:ゲーテ・インスティトゥート東京
企画:映像ワークショップ
マネジメント:Suezan Studio

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