ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Bullsxxt 国家なんかいらねぇ (interviews)
  2. Ibeyi - Ash (review)
  3. interview with Okada Takuro 眠れぬ夜のために (interviews)
  4. ぼくはこんな音楽を聴いて育った - 大友良英 (review)
  5. Sugai Ken - UkabazUmorezU (不浮不埋) (review)
  6. Matthew Herbert Brexit Big Band - @Blue Note Tokyo (review)
  7. East Man ──ベーシック・リズムが新名義で〈プラネット・ミュー〉よりアルバムをリリース (news)
  8. 打楽器逍遙 4 ノスタルジア (columns)
  9. Quit Your Band! ──イギリス人ジャーナリストによるJポップ批評、『バンドやめようぜ!』刊行のお知らせ (news)
  10. Mura Masa - Mura Masa (review)
  11. AFX - London 03.06.17 [Field Day] / AFX - Korg Trax+Tunings for falling asleep / AFX - Orphans (review)
  12. Nicola Cruz ──エクアドルの電子音楽家、ニコラ・クルース初来日決定 (news)
  13. yahyel - ──この一風変わった名前のバンドをきみはもう知っているか? ヤイエルが500枚限定の初CD作品をリリース (news)
  14. パーティで女の子に話しかけるには - (review)
  15. Hardfloor ──アシッドハウスの雄、ハードフロアが新作をリリース (news)
  16. Kaitlyn Aurelia Smith - The Kid (review)
  17. interview with Cosey Fanni Tutti スロッビング・グリッスルを語る (interviews)
  18. interview with YungGucciMane宇宙を渡るヤンググッチメン──インタヴュー (interviews)
  19. 対談:MIKUMARI x OWLBEATS ルードなRAP/実験的なBEAT/生きたHIP HOP (interviews)
  20. Columns ハテナ・フランセ 第11回 フレンチ・エレクトロニック・ミュージック;メジャー編 (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Shit And Shine- Some People Really Know How To L…

Album Reviews

Shit And Shine

IDMNoise RockPost-Punk

Shit And Shine

Some People Really Know How To Live

Editions Mego

Tower HMV Amazon iTunes

野田努   Nov 10,2017 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 現在はロンドンを拠点とするノイズ・ロック・バンドとして活動しているクソして輝け(Shit And Shine/$hit & $hine)は、いわばスリーフォード・モッズとパウウェルの溝を埋める存在だ。というには少しばかりスカムが入っているが……。
 クレイグ・クローズを中心にテキサスで結成され、2004年から活動している$&$は、すでに15枚以上ものアルバムを出している。バットホール・サーファーズやメルツバウ、SUNN O)))やライトニング・ボルトなどの影響をおそらく受けながら、決して日の当たるところで活動してきたわけではないが、長年に渡って評価され続け、数年前からパウウェルの〈Diagonal〉と精鋭的な電子音楽のレーベル〈Editions Mego〉が手をさしのべたことで、より広く知られるようになった。
 また、このふたつのレーベルと関係ができてからはエレクトロニック色が強まっている。2017年もこのふたつのレーベルから2枚のアルバムを発表しているが、先日出たばかりの〈Editions Mego〉からの『Some People Really Know How To Live』は、ポストパンクとIDMのニヒルな結合において、ナンセンスと、そしてこの狂った世界をどう生きていけばいいのかという観点においても興味深い内容となった。
 
 さらにまた興味深いと思えるのは、ここに収録されたクラブ使用可のダンス・トラックが、陶酔に反発している点。“Notified”のような曲では、素朴なブレイクビートを使いながら、しかしジャングルのような高揚感を持たないし、暗さに耽ることもない。$&$の音楽は直接政治的というわけではないが、明白に今日の災いや人びとの不安や虚無といったものを反映している。ギャンスタ・ラップのパロディ、“Lil Wannabe Gangsta”でサンプリングされた口汚い言葉の断片は、ひどく歪められて、ハイプ・ウィリアムスの諧謔を横目に見ながらいくら腐っても臭うのことのない電子の裏通りを駆け抜け、ジャム・シティのデビュー・アルバムの廃墟の奥地にへと接続する。
 彼らのセカンド・アルバムを現代の“シスター・レイ”だと評した人がいるというが、耳障りの良いメインストリームに対して$&$は完全に逆らっている。可能性とはこういうもののなかにあるのだろう。

野田努