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小川充   Sep 08,2015 UP
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 カナダのヴァンクーバーからティーン・デイズが登場したのは2010年頃。折しもチルウェイヴが話題に上りはじめた頃だった。2012年にファースト・アルバム『オール・オブ・アス, トゥギャザー(All Of Us, Together)』、セカンド・アルバム『ジ・インナー・マンションズ(The Inner Mansions)』を立て続けに発表するが、当時は日本のメディアも盛んにチルウェイヴを扱い、ウォッシュト・アウト、トロ・イ・モワ、ネオン・インディアン、ブラックバード・ブラックバードらのフォロワーにティーン・デイズを位置づけた。しかし、チルウェイヴ・ブームの賞味期限はとても早く、メディアは手のひらを返すように口にしなくなった。もちろん、彼らの音楽が終わったのではなく、それぞれの新たな歩き出しにチルウェイヴという言葉が追い付けなくなっただけのことで、トロ・イ・モワのその後の活動にもそれは顕著だ。

 ティーン・デイズに話を戻すと、ドリーム・ポップやハウス的な要素も取り入れた『オール・オブ・アス, トゥギャザー』と『ジ・インナー・マンションズ』は、大枠で言うならエレクトロニカ~アンビエントとなるのだが、ポスト・チルウェイヴ期の2013年作『グレイシャー(Glacier)』は、甘くドリーミーな前2作に対して、ビターでどこか枯れた味わいを感じさせるものだった。季節なら秋から冬のイメージで、実際にこのアルバムは冬を意識して作ったものだそうだ(表題は「氷河」の意味)。もともとギターの音色を効果的に用いるプロダクションだったが、そうした方向性にギター・サウンドはうまくマッチし、同じアンビエントでもいままでのエレクトロニックな部分から、アコースティックな部分への比重が増したことを感じさせた。そもそもギターでロックをやっていたティーン・デイズの、よりルーツ的なところが表れたアルバムだったのかもしれない。

 そして、2年ぶりの新作『モーニング・ワールド(Morning World)』はさらにオーガニックな作品だ。いままではベッドルームでの宅録作業だったが、今回はバンド・スタイルを志向し、サンフランシスコのスタジオ録音。デス・キャブ・フォー・キューティー、セイント・ヴィンセントともコラボするジョン・ヴァンダースライスらと共同制作している。“インフィニティ”や“ピンク”に顕著だが、ポップかつ骨太なロック・サウンドが目に付き、新生ティーン・デイズを強く印象づける。表題曲や“ライフ・イン・ザ・シー”は夏の終わりをイメージさせるマリン・フレーヴァーなサーフ・ロック調ナンバー。“イット・スターツ・アット・ザ・ウォーター”ではお得意のギター・リフが軽快に刻まれる。個人的なアルバム・ハイライトはストリングス使いが素晴らしい“ヴァレー・オブ・ガーデンズ”、どっしりとしたドラム・ビートに雄大な世界観がマッチした“ユー・セッド”、レイドバックしたフォーキー・ロックの“アロング”で、最後の夜想曲“グッド・ナイト”を含め、いままでとはまた異なる形でアンビエントの概念を示したアルバムではないだろうか。

小川充