ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Quit Your Band! ──イギリス人ジャーナリストによるJポップ批評、『バンドやめようぜ!』刊行のお知らせ (news)
  2. Melanie De Biasio - Lilies (review)
  3. AFX - London 03.06.17 [Field Day] / AFX - Korg Trax+Tunings for falling asleep / AFX - Orphans (review)
  4. Nicola Cruz ──エクアドルの電子音楽家、ニコラ・クルース初来日決定 (news)
  5. Nils Frahm ──ニルス・フラームが年明けにニュー・アルバムをリリース (news)
  6. L.A. Witch - L.A. Witch (review)
  7. Flava D ──フレイヴァ・Dが再来日、東京・大阪・高知を巡遊 (news)
  8. interview with doooo マッドでファニー、盛岡からやって来た気鋭のビートメイカー (interviews)
  9. Lee Gamble - Mnestic Pressure (review)
  10. Columns ハテナ・フランセ 第11回 フレンチ・エレクトロニック・ミュージック;メジャー編 (columns)
  11. パーティで女の子に話しかけるには - (review)
  12. interview with Yukio Edano つまり……下からの政治とはいったい何なのか (interviews)
  13. New Sounds of Tokyo 東京でもっとも尖っている音楽をやっているのは誰だ? (interviews)
  14. interview with Mount Kimbie 生き残ったのは誰だ (interviews)
  15. Oneohtrix Point Never ──OPNが新たなミックス音源を公開 (news)
  16. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  17. 音楽と建築 - ヤニス・クセナキス 著 高橋悠治 編訳 (review)
  18. King Krule - The Ooz (review)
  19. Cid Rim - Material (review)
  20. Taylor Deupree & Marcus Fischer ──〈12k〉のテイラー・デュプリーとマーカス・フィッシャーが来日、東京・奈良・岡山をツアー (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Ben Frost- Aurora

Album Reviews

Ben Frost

DroneIndustrialNoise

Ben Frost

Aurora

Mute / Bedroom Community / Traffic

Tower HMV Amazon iTunes

倉本諒   Jun 11,2014 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 ベン・フロストとは何者か。新生スワンズ(本作『オーロラ』にはソー・ハリスが参加している)の“ジ・シーア”やビョークのリミックスを手掛けている? ティム・ヘッカーが本作のポスト・プロダクションを行っている? あれ、こないだの『WIRE』の表紙にもなっている? なぜ。惑星間レイラインの影響なのか(詳しくはビル・ドラモンド『45』参照)。本作からイメージされる宇宙チャネリング感を念頭におけば、それもあながち間違いではないかもしれない。惑星間レイラインはアイスランドからニュージーランドへ続くというし、メルボルンからそのメガ・パワーをたどることも不可能ではないだろう。この作品を聴くまで彼をほとんど知らなかった僕は、ググるたびに彼のセレブリティなプロフィールに圧倒されつつヒガミ根性をふつふつと沸き上がらせている。ベン・フロスト。オーストラリアはメルボルン出身、2000年代の初頭から活動をつづけ、現在はアイスランドのレイキャビクを拠点として北欧のエレクトロニカ・シーンを牽引するプロデューサーである。

 ヘソ曲がり全開なことを言えば、彼のバンドキャンプのページに記載されている「パンク・ロックやメタルとともにクラシックなミニマリズムに影響を受け云々」というくだりはやや不正確だ。モグワイやゴッドスピードのような、パンク・ロックやメタルに影響を受けたであろうポストロック、あるいはシガーロス等のシューゲイズは、逆にゼロ年代初頭のハードコアやメタルバンドへ甚大な影響を与えたのだ。あの頃は誰もがシンプルなリフで、センチメンタルかつやたらにドラマティックな楽曲を作っていた。ベン・フロストもその渦中にいたことは彼の過去作品を聴いても明らかである。個人的にはセンチメンタリストであることがパンクとメタルの本質ではないと強く思うゆえ、彼の音楽の根元にあるのはパンクとメタルじゃなくて、ポストロックやシューゲイズでしょう! というツッコミによって『オーロラ』のひとつの本質に迫っておきたいと思う。

 そして本作『オーロラ』ももちろん充分にセンチメンタル、かつドラマティックに展開される。ギターとピアノにかわり、硬質なエイベルトン・サウンドによる、映画『グラヴィティ』ばりの宇宙スペクタクルな世界観が聴者をブチ上げるだろう。新しいかといえばそういうわけでもないが、各音楽メディアの注目も含めてポスト・ハクソン・クロークな大ブレイクは間違いない。

倉本諒