ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Isayahh Wuddha - urban brew (review)
  2. Devils Of Moko - One (review)
  3. DJ HOLIDAY aka 今里 ──最高にクールな初期レゲエのミックスCDをリリース (news)
  4. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  5. Piezo - Perdu (review)
  6. Chari Chari - We hear the last decades dreaming (review)
  7. Arca - KiCk i (review)
  8. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  9. Columns Yves Tumor いま話題のアーティスト、イヴ・トゥモアとは何者か? (columns)
  10. DJ HOLIDAY ──SFPの今里が送るラヴァーズ・ロックやレゲエやダブの数々 (news)
  11. Hiroshi Yoshimura ──入手困難だった吉村弘の1986年作『Green』がリイシュー (news)
  12. 校了しました ──『別冊ele-king ブラック・パワーに捧ぐ』&『ゲーム音楽ディスクガイド2』 (news)
  13. ISSUGI ──最新作『GEMZ』より新たなMVが公開 (news)
  14. 今里(SFP) (chart)
  15. Dominic J Marshall - Nomad’s Land (review)
  16. interview with AbuQadim Haqq 語り継がれるドレクシア物語 (interviews)
  17. STONE ISLAND ──人気のイタリア・ブランド〈ストーンアイランド〉が音楽シーンに参入 (news)
  18. Oscar Jerome ──オスカー・ジェローム、UKジャズ・シーン気鋭のギタリストがデビュー・アルバムを完成 (news)
  19. The Beneficiaries - The Crystal City Is Alive (review)
  20. Julianna Barwick - Healing Is A Miracle (review)

Home >  News >  RIP > R.I.P. Denise Johnson

RIP

R.I.P. Denise Johnson

R.I.P. Denise Johnson

Jul 29,2020 UP

 デニス・ジョンソンはプライマル・スクリームの1991年の(あの時代らしいタイトルの)“Don't Fight It, Feel It”という曲で歌っていたヴォーカリストで、『スクリーマデリカ』以降、数年間プライマル・スクリームのライヴ・メンバーでもあった。
 あの時代、プライマル・スクリームのライヴにおける彼女の存在は素晴らしく大きなものだった。それがいかほどのものであったのかを当時のライヴを見ていない人に伝えることは難しいが、試してみよう。
 そう、あの時代、この惑星で間違いなくダントツだったロックンロール・バンドにおいて、しかし彼女がステージにいることによって、バンドでは表現しきれない領域にまでバンドを導くことができたのである。その領域はソウル・ミュージックの崇高さにリンクし、ハウス・ミュージックにおける最良の瞬間とも等しく、さらに遠くを見たらば期待できる未来が広がるかのようだった。「ハイになる」とはそういうことだった。
 マンチェスター出身の彼女は90年代にア・サートゥン・レイシオのメンバーとしても活動しており、もちろんそれはそれで魅力的であることは違いないが、多くの人にとって彼女はあの“Don't Fight It, Feel It”であり、実際このたった1曲だけで彼女は永遠となった。
 2020年7月27日マンチェスターの自宅での突然死だったそうだが、UKではよほど愛されていたのだろう、いまも多くの哀悼が続いている。

野田努


2020.7.28
ア・サートゥン・レシオ
デニス・ジョンソン 逝去に寄せて


https://www.acrmcr.com/denise-johnson-statement/

 私たちが敬愛する美しきデニスがマンチェスターの自宅にて逝去しました。それは突然のことでした。

 その報せの一週間前、彼女が病気ということは聞いていたのですが、その週の金曜には体の具合がだいぶ良くなったと友人たちに伝えたばかりだったのです。
 月曜の朝、彼女は帰らぬ人になってしまいましたが、その死の理由についてはいまだ分かっていません。

 しかしながら彼女の残した偉業に関しては世界中で知れ渡るところで、プライマル・スクリームのアルバム『Screamadelica』や『Give Out But Don’t Give Up』での仕事ぶりやACRと彼女との最初の出会いのきっかけとなったフィフス・オブ・ヘヴンの1988年の作品“Just a Little More”での彼女の歌声など、数々の有名作品をたくさん残しています。

 その後間も無くして、彼女はマーティン・モスクロップ(ACR)とドナルド・ジョンソン(ACR)によるED209の初期アシッド・ハウスの名曲“Acid to Ecstasy”に参加し、この作品はDave RofeのDFMレーベルよりリリースされました。

 デニスは、マーティンがプロデュースしたAshley & Jacksonの“The Sermon”や“Solid Gold”にも参加し、その後ACRのアルバム『ACR:MCR』の“Be What You Wanna Be”で、彼女のヴォーカル技術は最盛期を迎えることとなりました。

 ACRの歴史において『ACR:MCR』 (1990), 『Up in Downsville』 (1992), 『Change The Station』 (1997), 『Mind Made Up』 (2008)など数多くの作品で彼女は象徴的に存在し、最近でも彼女は私たちと一緒にスタジオに入り、今後リリースになる私たちのニュー・アルバム『ACR Loco』でも美しい歌声を披露してくれていたのです。

 彼女は私たちのライヴにおいても1990年以降、なくてはならない存在であり、この30年間で200本以上ものライヴに登場してくれました。1990年以前、またそれ以降のACRの作品群において、彼女の個性こそが華やか存在だったのです。

 彼女は他にもニュー・オーダーやエレクトロニック、ゲイ・ダッドやバーナード・バトラーなど多くのアーティストの作品でゲスト・ヴォーカルとして参加しています。また、彼女はマンチェスターの街の誠実なるサポーターであり、その歌声をこの愛すべき街に捧げてきました。
 さらに最近では、彼女はギタリストThomas Twemlowとのアコースティック・ライヴ・セットで、マンチェスターが生んだ偉大なアーティストたち、チェリー・ゴースト、10CCやニュー・オーダー等のカヴァーも行っていました。2019年のブルードット・フェスティヴァルでこの二人はカーペンターズの「星空に愛を」を一曲目に披露し、それはジョドレル・バング天文台にあるラヴェル電波望遠鏡の巨大な影の中で行うライヴとしては実に的を得た選曲でした。彼女のデビュー・アルバム『 Where Does It Go』が9月に発売される予定です。

 彼女と同じような人物、アーティストはこれからも出て来ることは無いでしょう。ACRは今も彼女の死に打ちひしがれています。私たちは彼女のユーモアのセンスや彼女が私たちの人生や音楽にもたらしてくれた、溢れんばかりの美しさと情熱を決して忘れることはありません。

ACR – ジェズ・カー、マーティン・モスクロップ、ドナルド・ジョンソン

NEWS