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Home >  Interviews > interview with Emma-Jean Thackray - UKジャズのもうひとつの宇宙

interview with Emma-Jean Thackray

interview with Emma-Jean Thackray

UKジャズのもうひとつの宇宙

──エマ・ジーン・サックレイ、インタヴュー

質問・文:小川充    通訳:原口美穂 Photo by Joe Magowan   Jul 01,2021 UP

今回意識的に参照しているのは、アリス・コルトレーンやPファンク、ジョージ・デュークなんかの1970年代のサウンドね。

ロンドンにはいつ頃出てきましたか? 進学か、またはプロ・ミュージシャンとして仕事をしていくなかでロンドンに住むようになったのですか?

EJT:ロンドンに来る前に、まずウェールズのカーディフに引っ越したの。18歳になった1週間後にヨークシャーを出た。その後2007年から2011年まで4年間カーディフに住んで、2011年からずっとロンドンに住んでいる。カーディフに引っ越したのはロイヤル・ウェールズ音楽演劇大学へ通うため。その後、ロンドンへはトリニティ・ラバン・コンセルヴァトワール(旧トリニティ音楽院)の大学院に通うために引っ越した。でも、16歳のときから既にセミ・プロとして音楽を演奏してはいたから、ロンドンに引っ越してからもすぐ音楽の仕事をはじめた。自分が住む場所でミュージシャンとして働くのは、私にとっては自然の流れなのよね。

最初のレコーディングはウォルラスというグループによる2016年リリースのEPですね。これはあなたのグループですが、どのようなバンドですか?

EJT:ウォルラスはそのころ私が一緒にトリニティ音楽院で学んでいた人たちや、音楽活動で知り合った音楽ファミリーのなかの人たちで作ったグループなの。音楽仲間ってお互い必要なときに演奏で参加したり、皆で声を掛け合って演奏したりするものよね。ウォルラスもメンバーも私のことをよく理解してくれる人たちで、音楽の趣味を理解し合える人たちだった。
 でも、もうウォルラスというバンドとしては活動していないの。いまは私の音楽は全て自分の名前でリリースして演奏している。バンドのショーでも、自分ひとりで作ったレコードも、オーケストラと一緒にやるショーも、内容は全て違うけれど私の頭のなかから生まれたもの。だから、区別化しないで全部私の名前にすることにした。分けたほうがマーケティングしやすいのにって言う人もいるんだけど、自分にとっては私が作ったものは全て繋がっているし、将来皆もそれらをひとつのものとして受け止めてくれたらいいなと思ってる。

そうしてソロ名義となってから、2018年にリリースした「レイ・ラインズEP」の表題曲がジャイルス・ピーターソンのコンピに収録され、あなたの名前はいろいろ知られるようになりました。ちょうどサウス・ロンドンのジャズ・シーンが注目を集めるようになった頃と重なるのですが、こうしたシーンにあなたも結びついているのですか? サウス・ロンドンのジャズにも関係しますが、ニュー・グラフィック・アンサンブルのレコーディングにも参加していたことがありますし、マカヤ・マクレイヴンのミックステープにヌバイア・ガルシアやジョー・アーモン・ジョーンズらと共にあなたの作品がフィーチャーされたこともあります。また、サウス・ロンドン勢が中心となった〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトで、あなたはウェイン・ショーターの “スピーク・ノー・イーヴル” をやっていたので、あなたとサウス・ロンドン・シーンの関係を聞ければと思った次第です。

EJT:たくさん関わっているとも言えるし、全く属してないとも言えるかな。トリニティ音楽院はサウス・ロンドンのグリニッジに校舎があって、サウス・ロンドンのペッカムあたりにいるミュージシャンたちのなかにはトリニティ音楽院に通っていた人たちも大勢いる。だから同じ時期に一緒に勉強していた人たちもいるのよ。学校で共通して学んだのはジャズだけど、皆アフロビートやダンス・ミュージックとかも好きで、そういった音楽への愛もシェアしてきた仲間たち。だから皆と繋がってもいるんだけど、同時にまったく離れた場所に自分がいるとも感じる。私はサウス・ロンドンやその近辺で育った人とは同じ音楽システムを経験していないから。私はロンドン出身でないし、ロンドンのアーティスト開発システムのトゥモローズ・ウォリアーズにも行っていないのよ。だから自分がアウトサイダーとも感じる。これはロンドンに限ったことではなく、子供の頃から何かに属していると感じたことはなかった。どのグループもしっくりこなくて、つねに輪の外にいた。前はそれに対して孤独も感じていたけど、いまではそれが良いことだと思えるようになってきた。

なるほど、そうした孤独感があったからこそ、あなたの音楽におけるアイデンティティの確立へと繋がっていったわけですね。昨年は「ウム・ヤン」と「レイン・ダンス」というEPをリリースします。「ウム・ヤン」ではラッパーでもあるサックス奏者のソウェト・キンチと共演していますが、演奏の軸となるのはドゥーガル・テイラー、ライル・バートン、ベン・ケリーですね。ベン・ケリーはウォルラスにも参加していましたし、ドゥーガルはあなたと一緒にニュー・グラフィック・アンサンブルのレコーディングにも参加していましたが、彼らは今回あなたがリリースするデビュー・アルバム『イエロー』の中心メンバーでもあります。彼らはどんなミュージシャンで、どのように交流を深めていったのですか?

EJT:ベンは私と同じヨークシャー出身なの。彼はまるで私の兄弟みたいな存在。ふたりともロンドンに越してくるまでは一緒には演奏したことはなかったんだけど、同じカルチャー・セミナー会社で音楽を教えていたから偶然顔を合わせる機会があって、「地元が同じだよね?」って意気投合して仲良くなった。
 ドゥーガルとはロンドンのトータル・リフレッシュメント・センターで出会ったの。トータル・リフレッシュメント・センターはレコーディング・スタジオやリハーサル・スタジオもあるミュージック・カルチャー・センターで、ドゥーガルはそこを拠点にヴェルズ・トリオっていうバンドで活動していたの。私はそのファンでもあったし、そのまま友達になった。私たちは好きな音楽も似ていて、もちろんジャズは好きだけど、「ジャズ・ノット・ジャズ」というか「ジャズじゃないジャズ」みたいな精神を持っていて、ダンス・ミュージックやロックも聴く。私たちの目標も同じだったから、テイストが似ているお互いの存在はとても重要だった。
 ライルについては、まずエリオット・ガルヴィンっていうトリニティ音楽院で知り合ったミュージシャンの話からはじめないといけないね。エリオットはダイナソーっていうジャズ・ロック・バンドのメンバーでもあったけど、ウォルラスや『レイン・ダンス』にも参加してくれていて、そうしていろいろと一緒に演奏していた。エリオットとのギグにライルも参加していたんだけど、エリオットが自分のプロジェクトやダイナソーの活動で忙しくてあまりセッションができなくなってきた。エリオットとはじめたプロジェクトだけど、エリオットが参加できないときにも継続して続けたいと考えて、そこでライルと一緒の演奏を増やすようになっていったの。そこからは段々とライルがセッションの中心になっていった。彼はすごく良い耳をもっていて、私が何をしようとしているかをつねに理解してくれる。私が考えていることがお見通しで、文字どおり何でもできるの。頼まれた音全てを演奏できる。彼は本当にオープンで、人としてもすごく良い人。つねにベストな音楽を作ることを心がけていて、様々な可能性を試し、良いものは何でも受け入れる。
 3人とも本当に素晴らしい。この3人に加えて、ライヴではパーカッショニストが加わる。クリスピン・ロビンソンっていうんだけど、このアルバムでも演奏してくれていて、ツアーでは彼がメインのパーカッショニストになる予定。彼ともトータル・リフレッシュメント・センターで出会ったんだけど、話しているうちにお互い近所に住んでるって気づいたの。

ベン・ケリーはチューバやスーザホーンを演奏するので、あなたの作品にはチューバ奏者のテオン・クロスが参加するサンズ・オブ・ケメットにも通じるところを感じます。テオン・クロスやシャバカ・ハッチングスたちとは交流はありますか?

EJT:知り合いではあるわよ。テオンは近所に住んでるし、シャバカとも顔を合わせることはある。ロンドンに住んでいるミュージシャンたちは、いろんな場で一緒になるから。でもいまはパンデミックだから、最近はあまりほかのミュージシャンに会ってないのよね。またギグがはじまったらもっと会うようになると思う。

ホーン・アンサンブルという点ではシーラ・モーリス・グレイやヌバイア・ガルシアらのネリヤにもあなたのサウンドとの共通項を感じさせます。ネリヤのドラマーのリジー・エクセルはウォルラスにも参加していたのですが、シーラやヌバイアたちとは何か交流はありますか?

EJT:シーラのことは直接的にはあまり知らない。同じ楽器を演奏するミュージシャンたちほど、逆に現場で一緒になる機会が少ないから。でも数回だけ会ったことがあって、すごく良い人だったのは覚えてる。ヌバイアはトリニティ音楽院で一緒だった。フェラ・クティの作品を演奏するプロジェクトで初めて出会った。彼女も私の近所に住んでるし。

トランペットや同系のコルネット、フリューゲルホーンを演奏するミュージシャンに限ると、ロンドンにはいま話したシーラ・モーリス・グレイやヤズ・アーメッドなど才能溢れる女性たちがいます。同じ楽器を演奏するプレーヤーとして彼女たちを意識するところはありますか?

EJT:ヤズと同じギグに出たことはないけど、数回会ったことはある。彼女も良い人だったし、話していてすごく面白かった。考え方が面白いのよね。でも、彼女たちを意識することはあまりない。皆演奏の仕方は違うし、それぞれが作る音楽も同じじゃない。トランペットとジャズという共通点以外は、皆それぞれ違う特徴を持っているから、同じフィールドと考えることがあまりないの。しかも正直なところ、私はいまとなっては自分自身をトランペット・プレイヤーだとさえ思っていない。今回のアルバムもヴォーカル曲が多いし、いろいろな活動をしているから「自分が何なのか?」と訊かれると答えるのは難しいけど、一言でと言われたらプロデューサーと答えると思う。

『イエロー』にはタマラ・オズボーンも参加しています。現在のロンドンのジャズ・シーンにおけるリード演奏の第一人者で、フリー・ジャズやアヴァンギャルドな表現をする一方でアフロ・バンドのカラクターも率いる彼女ですが、彼女とはどんな繋がりがあるのですか?

EJT:彼女は最高。いろんな場で一緒に演奏する機会があって、お互いを知るようになった。彼女って本当に素晴らしくて、どんな楽器のリクエストにも答えてくれる。そこに彼女の素敵な色を加えてくれるのがタマラ。今回のレコードではフルート、バリトン・サックス、バス・クラリネットなんかを演奏してくれている。私が彼女と一緒にやったギグでは、彼女はテナー・サックスやオーボエも吹いていた。本当に何でもできちゃうの。

次のレコードがテクノになる可能性も、アンビエントとかドローン・ミュージックになる可能性もあるというわけ(笑)。私はいつも、そのときに作りたいと思う音楽を作っているから。

『イエロー』には何か全体のテーマやコンセプトはありますか? “サン”、“マーキュリー”、“ヴィーナス” など宇宙や惑星をテーマにした作品があり、全体的には神秘的で抽象的なメッセージを持つ作品が並んでいます。宇宙というテーマもそうですが、“メイ・ゼア・ビー・ピース” のようなメッセージはサン・ラーの音楽観や哲学に通じるとこともありますが。

EJT:テーマは普遍的な一体感。私たちと宇宙の繋がりであったり、ちょっと1970年代のヒッピーっぽい世界観ね。「存在するもの全てはひとつ」みたいなヒッピーの考え方(笑)。それは私自身が感じていることだから、そうしたイメージが曲に出てくる。占星術とか、宇宙観とか。あとは人も動物も木も皆同じ存在物であるという考え方。私たちの間に違いはなく、私たちは大きなひとつの塊。それも私が表現したかったアイデアのひとつ。全ての存在がそれぞれの個性を持つけれど、元を辿れば私たち全ては皆同じもので作られている。だからその繋がりを皆で共有して祝福するべきだと思うし、その愛を感じるべきだということがこのアルバムのコンセプト。私は左派寄りで、前は右派寄りの意見にすぐ怒りを感じたりしていた。でもいまは怒り合い、反発し合うばかりでは何も解決しないことがわかった。お互い共通のものを見つけて、それに対する愛を共有しあうべきだと思うようになったの。

アフロやファンクを取り入れた “グリーン・ファンク” や “ラーフ&ケートゥ” はファンカデリックに通じるような部分を感じさせます。サン・ラーや彼らのようなアフロ・フューチャリズムの影響があるのかなと感じますが、いかがですか?

EJT:もちろん。特にPファンクなんかは大好きだし、ファンカデリックやアフロ・フューチャリズムの方法論も音の世界も大好きだから、絶対に影響を受けていると思う。特に “グリーン・ファンク” はそう。あのトラックは大麻について歌っているんだけど、プロモーターがその言葉を使って欲しくなかったから、タイトルを「グリーン・ファンク」にしたの(笑)。私はもう吸わないし、お酒も飲まないけど、私の人生の中で起こっていたことの一部だから曲にした。吸う人を批判もしないし、それに関しての私の考え方はオープンよ。

“アバウト・ザット” は1970年代前半のマイルス・デイヴィスのようなエレクトリック・ジャズで、ジャズ・ファンクの “マーキュリー” やメロウな “ゴールデン・グリーン” でのスペイシーなキーボードやシンセの使い方はハービー・ハンコック的でもあります。『イエロー』では彼らの音楽や演奏を参照したりしているところはありますか?

EJT:直接的にはしていない。そういうサウンドにしたいと意識していたわけではないから。でも、彼らの音楽は本当にたくさん聴いているから、私のなかに流れているんだと思う。だから自然に出てくるんでしょうね。マイルスは私にとっていちばん大きなインスピレーションの源だし、そこから完全に離れるなんてきっと無理なんだと思う。彼の影響があっての私だから。逆に今回意識的に参照しているのは、アリス・コルトレーンやPファンク、ジョージ・デュークなんかの1970年代のサウンドね。

“セイ・サムシング” はディープ・ハウス的なビートを持つ作風で、“ヴィーナス”、“サード・アイ”、“サン”、“アワ・ピープル” などはブロークンビーツとジャズの融合といった具合に、ダンサブルなリズムの作品が多いのも『イエロー』の特徴かなと思います。あなたの作品においてダンス・ビートはどのような意味を持っているのでしょうか?

EJT:そうなったのは自然の流れ。私が作りたいように音楽を作っていたらそうなったんだと思う。私自身がグルーヴィーな音楽を作るのが好きだから。たとえダンスに向いてない曲であっても、そこには必ずグルーヴがあるのが私の音楽なの。いちリスナーとしても、私はそういう音楽が好きだし。人を踊らせようと意識して曲を作ったことは一度もないけど、体が思わず動きたくなるような音楽は作りたいと思ってる。でも、それはクラブで踊れるような音楽である必要はなくて、踊らせることが目的になってしまうと、その意識からリミットができてしまうのよね。四つ打ちや決まったテンポを意識しないといけなくなるから。どんな種類にせよ、制限がかかると私は爆発しちゃう(笑)。誰かに指示されるのが好きじゃない性格だから、何かをしろと言われると敢えてその逆のことをしたくなる。例えば “ヴィーナス” や “セイ・サムシング” のテンポは、ダンスをするにはちょっと気持ちが悪いテンポだけど、それでもグルーヴィーなトラックであることには変わらない。だから曲に合わせて体は動くんだけど、クラブ向けではないのよね。

オルガンとコーラスとハンド・クラップをフィーチャーした “イエロー” はゴスペル的ですが、白人のあなたにとってブラック・アメリカンの音楽であるゴスペルはどのようなものですか?

EJT:大好きな音楽。素晴らしい音楽だと思うし、“イエロー” を聴いたら私がゴスペル音楽を聴くってことがきっとわかると思う。でも、ゴスペルっぽい曲を作ろうとして作ったわけではないの。私は人びとが同じ目的のために一緒に歌うというアイデアが好きだから、あのトラックではその要素を取り入れたというだけ。私はキリスト教信者ではないから、宗教への熱意は表現できない。それでも音楽への愛は皆とシェアできるし、大勢で共に表現できる。そういう意味で皆が一緒に歌を歌うというアイデアが大好きなの。この宇宙で私たちは皆同じでひとつだという一体感は、ゴスペルに通じるものがあると思うのよね。大勢で一緒に歌い、音楽への愛をシェアするというのは、このアルバムのテーマにとっても重要な要素だし。

なるほど、普遍的な一体感というテーマがゴスペル音楽と通底しているわけですね。では最後に、今後の活動予定やプロジェクトがあれば教えてください。

EJT:私はあまり予定を立てないタイプなのよ(笑)。できるだけ頭や体はオープンにしておいて、何かをやることにしっくりきたと感じたときにそれを実行できるようにしている。だから次のレコードがテクノになる可能性も、アンビエントとかドローン・ミュージックになる可能性もあるというわけ(笑)。私はいつも、そのときに作りたいと思う音楽を作っているから。次は何をしようとか、誰に向かって作ろうとか、あまりそういうことは考えない。つねに自分に正直でいて、自分に降りてくるものをインスピレーションに音楽を作るのが私の活動なの。

ツアーの予定はないですか?

EJT:ライヴは計画を立てるのが難しいのよね。このご時世だから、予定してもキャンセルになることもあるし。今年はいくつかフェスへの出演が決まっているから、それが無事に開催されることを祈っている。あと、ヨーロッパを周るショーもできたらいいな。来年になったらUKツアーはもちろんだし、アメリカや日本でもショーをやりたい。いまはとりあえず様子見。いきなりノーマルな世界に戻るのは無理だと思うから、ショーの数は少なくても、そのひとつひとつの内容を濃いものにしたいと思ってる。

質問・文:小川充(2021年7月01日)

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小川充 小川充/Mitsuru Ogawa
輸入レコード・ショップのバイヤーを経た後、ジャズとクラブ・ミュージックを中心とした音楽ライターとして雑誌のコラムやインタヴュー記事、CDのライナーノート などを執筆。著書に『JAZZ NEXT STANDARD』、同シリーズの『スピリチュアル・ジャズ』『ハード・バップ&モード』『フュージョン/クロスオーヴァー』、『クラブ・ミュージック名盤400』(以上、リットー・ミュージック社刊)がある。『ESSENTIAL BLUE – Modern Luxury』(Blue Note)、『Shapes Japan: Sun』(Tru Thoughts / Beat)、『King of JP Jazz』(Wax Poetics / King)、『Jazz Next Beat / Transition』(Ultra Vybe)などコンピの監修、USENの『I-35 CLUB JAZZ』チャンネルの選曲も手掛ける。2015年5月には1980年代から現代にいたるまでのクラブ・ジャズの軌跡を追った総カタログ、『CLUB JAZZ definitive 1984 - 2015』をele-king booksから刊行。

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