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interview with Diggs Duke

interview with Diggs Duke

偽りなきソウルを追い求めて

──ディグス・デューク、インタヴュー

質問・文:小川充    通訳:近藤彩乃   Sep 17,2020 UP

 ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ロック、フォーク、ポップス、AORから、クラシックや現代音楽に至るさまざまな音楽の影響が伺えるディグス・デューク。そうした広範な音楽的要素を持ちつつも、そのどこかに限定されないオリジナリティを感じさせるのが彼の持ち味である。多大な影響を受けたというデューク・エリントンと同じデューク(公爵)を名前に持つ彼は、ほぼ独学で音楽を学んだ作曲家にしてマルチ・ミュージシャンであり、ほとんどひとりで多重録音を重ねて音楽を作ってしまうことができる。ソーシャル・ディスタンスに対応したスタイルをコロナ禍以前より持っているミュージシャンと言えるだろう。

 ジャイルス・ピーターソンのコンピに楽曲が収録されるなど、新しもの好きな音楽ファンの間ではかねてより注目を集めてきたディグス・デュークだが、作品制作は自主でおこなうなどずっとマイ・ペースの活動を続けてきたこともあり、いまひとつ実態が掴みにくいアーティストではあった。ただ、ハービー・ハンコックのようなジャズから、マーラーのようなクラシックの作曲家の作品を彼なりの解釈を交えてカヴァーしたり再構築するなど、過去の音楽に対しても実に研究心旺盛で、絶えずいろいろな刺激を注入して音楽を作っていることがわかる。多彩な楽器を操るのも、そうした好奇心から自然にマスターしていったことなのだろう。ハンドメイドの楽器まで制作しているようだ。

 そんなディグス・デュークの新作『ジャスト・ワット』のリリースに併せてインタヴューをおこなった。今回の作品では積極的にゲスト・アーティストと共演している点が特徴だが、参加ゲストは彼の周囲の日頃から懇意にしているアーティストたちで、決して話題作りのために有名どころを呼んできたわけではない。世の中の時流とか流行、レコード会社や音楽業界の流れに左右されて音楽を作っているわけではなく、あくまで自身の興味の赴くままに、本当にやりたい音楽を探求していくのがディグス・デュークなのである、ということが伝わるインタヴューとなった。

管楽器、弦楽器に関しては、耳で聴くことによって独学で演奏の仕方を学んだよ。どうやって動くのかを徹底的に調べて練習すれば、どんな楽器でもたいていは演奏することができる。

これまで『オファリング・フォー・アンクシャス』が〈ブラウンズウッド・レコーディングス〉からライセンス・リリースされたこともありますが、基本的にあなたはbandcampを中心に自主で作品をリリースしています。自身で〈フォロウィング・イズ・リーディング〉というレーベルをやっていて、外部のレコード会社に所属するとどうしてもその制約を受けるため、そうしたレーベル活動をおこなっているのかと思いますが、あなたの音楽活動や制作についてのポリシーを教えてください。

ディグス・デューク(Diggs Duke、以下DD):僕は自分がやること全てに対して絶えず新しいルールを作るようにしているんだ。作曲するたびに音楽というものに対して新たな理解が生まれるからね。〈フォロウィング・イズ・リーディング〉に関してはかなり長期的な計画を立てているよ。

ゲスト・ミュージシャンは最小限にとどめ、キーボード、ギター、ベース、ヴァイオリン、ドラムス、サックス、トランペット、クラリネットなど多くの楽器をひとりで操り、多重録音していくのがあなたのスタイルですが、これらの楽器は全て独学でマスターしたのでしょうか? 音楽学校に通っていたとか、これまで受けた音楽教育について教えてください。

DD:僕は音に対して天然の才能を持って生まれたんだ。喋りだすのと同じタイミングで歌いだしたし、5歳で父の友達からドラムのレッスンを受けはじめた。高校ではマーチングバンドでスネア・ドラムを叩いていたよ。父に言われてピアノで作曲をはじめたんだ。それで大学でいくつか作曲に関する授業を受けた。大学は卒業しなかったんだけどね。想像力を押さえつけられてしまう気がして形式にハマった学校は楽しむことができないんだ。管楽器、弦楽器に関しては、耳で聴くことによって独学で演奏の仕方を学んだよ。どうやって動くのかを徹底的に調べて練習すれば、どんな楽器でもたいていは演奏することができる。あとはもう、自分が何を聴きたいかをわかっているかどうかの問題だよね。

ジャズ、ソウル、フォーク、ロック、ポップス、ヒップホップ、ビート・ミュージック、さらにクラシックや民族音楽など、あなたの音楽にはさまざまなエッセンスが溢れています。これまで影響を受けた音楽やアーティストについて教えてください。

DD:デューク・エリントンは僕にとって最大の影響源。だから僕の音楽のキャリアを彼に捧げることにした。彼の仕事の仕方やバンドの運営方法、彼が魅せてくれる音楽が本当に好きなんだよ。もし彼のように音楽的な鍛錬を積むことができたら、この音楽業界でより長く好調なキャリアを築ける気がする。あとメンデルスゾーン、モーツァルト、マーラーにもそれぞれ違った理由で大きな敬意を抱いてる。それから動物が鳴らす音も好きだな、つねに影響を受けているよ。

2019年にリリースされた『ジャンベチューズ』という作品は、シェーンベルクやスクリャービンという19世紀から20世紀初頭における現代音楽の巨匠の作品をジャンベで再現するという、とても興味深いものでした。また2020年6月の『9』ではマーラーの “交響曲第9番” をカヴァーしていて、近年のあなたの作風はクラシック、現代音楽、そしてポスト・クラシカルなどに接近しているようです。新作の『ジャスト・ワット』についても、たとえば “コーリング・オン・マット” や “ザ・フィーリング” や “ビターズ・フォー・ビターズ” など、そうした傾向が強いように感じますが、あなた自身はそうした傾向についてどう思いますか?

DD:『ジャンベチューズ』を褒めてくれてありがとう。僕のディスコグラフィーのなかのアルバムのほとんどは自分で書いたオリジナルの楽曲や仲の良いコラボレーターと一緒に作ったものだけど、自分がライター、そして作曲家としてリサーチしたり、発展させたパーツをシェアするのも好きなんだ。
 たとえばそうだね、19世紀後半から20世紀初頭に活動したオハイオの詩人のポール・ローレンス・ダンバーの作品をたくさん音楽にしているのも、それが理由なんだ。彼の表現方法が大好きだし、それが僕なりの彼を自らの師として称える方法でもある。僕が受けてきた教育についての質問がさっきあったけど、僕はいつだって学んでいるんだ。特定の教育機関の一員として学んだことはないけどね。存命か、亡くなってしまっているかに関わらず、一度も会ったことがない人を師として仰ぐようになった。結局のところ、そこから学ぶことの方が実際に教師をつけて学ぶことよりもとても価値があるんだよ。同じようにもう亡くなってしまっているけど、スクリャービンやマーラーからも学ぶことがあった。彼らのアイデアに対する僕の解釈を通して、彼らのような作曲家の考え方と自分の作曲家としての考え方には共通した土台があることがわかった。僕がそういったリサーチに基づいたアルバムをリリースするのは、僕の学びは聴いて楽しいものであることが多くて、もはやそれ自体でアルバムとして成立することが理由かな。ジョン・コルトレーンについても同じことをしたんだよ。彼は作曲や即興演奏を発展させるためにおこなった稽古をあたかも楽曲として発表したんだ。“ジャイアント・ステップス” はもちろん面白い楽曲だけど、あれはただの稽古だったんだよ。

〈フォロウィング・イズ・リーディング〉からアルバム『テリトリーズ』をリリースするサックス奏者のジェラニ・ブルックスがアレンジで参加するほか、ジェイダ・グラントとロンという女性シンガーや、パーカッション奏者のトレイ・クラダップがサポートとして入っています。彼らはどんなミュージシャンで、どうして今回は参加してもらったのですか?

DD:僕の音楽をたくさん聴いてくれている人であれば、ジェラニのことは僕のディスコグラフィーのいたるところで見つけられるって知っていると思うよ。僕の3枚の作品、『オファリング・フォー・アンクシャス』『シヴィル・サーカス』『ジ・アッパー・ハンド』にも彼は参加してくれている。ボストンでの大学時代から何年にも渡ってライヴでも何回も一緒に演奏しているんだ。彼はもうすぐ新しいアルバムをリリースするんだけど、面白いものになっていると思うよ。このアルバムで彼は初めてドラムを叩いてくれているんだ。正直言って今作が彼がドラムを叩いているのをレコードで聞ける唯一の機会かもね。楽曲のアレンジを彼が送ってきたとき、ドラム・トラックも一緒に送ってきて、それがいい出来だなって思ったんだ。
 ジェイダ・グラントは2014年頃から一緒にやっているよ。『シヴィル・サーカス』にも参加してくれている。彼女はセントルイス出身の素晴らしいシンガーで、僕がワシントンDCに住んでいるときに出会ったんだ。ザ・デューンズっていう、いまはもう閉店してしまっているライヴ・ハウスで僕の音楽をノネットが披露する機会があってね。このパフォーマンスからの映像のいくつかはインターネットで見ることができるよ。ジェイダとは出会ってから、僕がDCにいる間ずっと一緒にパフォーマンスをしてくれたんだ。彼女は僕の音楽にとってとても大切な存在だったし、いまでもそう。彼女の声には甘さがあるでしょ。けど彼女はそれを威厳のある方法で届けるんだ。完璧なバランスだよね。
 ロンは素晴らしいプロデューサーだよ。実は彼女のアルバムを僕のレーベルからデジタル配信でリリースするんだ。昨年は彼女のビート・テープ『イエロー・ウォーターメロン』をリリースしたんだよ。彼女はとにかく素晴らしくて、折衷的なサウンドが持ち味で、プロダクションもヴォーカルもこなすんだ。ロンの声はジェイダの声によく溶け込むんだよね。ロンはハリスバーグで近所に住んでいる友達でもあるんだけど、彼女のパートはワン・テイクで録ったんだ。僕は何回もテイクを重ねるのが好きじゃなくてね。
 トレイ・クラダップはワシントンDCで出会ったもうひとりの友人だよ。このプロジェクトに参加してくれた他の人と同じように、彼とも前に仕事をしたことがあったんだ。『シヴィル・サーカス』でドラムとパーカッションを担当してくれて、ライヴでも一緒に演奏したことがある。彼のドラムには僕がいままで聞いたことのないようなサウンドがあるんだ。今作では、彼のリズムを他のリズムのサポートとして機能するように採用している。だからほとんど彼の音は聴こえないかも。だけど彼のパートを除いてしまったら空白が生まれてしまうと思う。今回参加してもらった人たちのことはこのプロジェクトに絶対参加してもらうって決めていたんだ。だから彼らに曲を聴かせて、彼らがどうやってこのプロジェクトに参加したいかを決めた時点で、もう彼らのパートはレコーディングされたようなもんだったよ。

自分が経験したり、きちんと理解した文化的な視点からしか作曲はしない。そうすることで文化を無作為にごちゃまぜにしないでいられるんだ。ある一定のレベルまでマスターしていないスタイルを手あたり次第に組み合わせる、なんてことは絶対にしない。

ほぼフィドルの爪弾きのみで綴る “ジュバ” や “ジャスト” など、ドラムレスのアコースティックな小曲があります。個人的にはキャレクシコなどのポスト・ロックを思い出したのですが、スタジオで即興的に作った曲ですか?

DD:その曲を気に入ってもらえてうれしいよ。自分で作った「Square Fiddle」という楽器を演奏しているんだ。お気に入りの楽器のひとつ。その楽器の写真を送るね。


Diggs Duke's Square Fiddle

 実はその楽曲はどちらも即興ではないんだ。各パートを何か月も実験して、練習して考えたんだよ。ソロ・パート以外は、このプロジェクトは基本的に自然発生的に作曲されたというよりはすべて事前にしっかりと作曲されているよ。

作曲についてはどのようにおこなっていますか? タイプとして即興的に楽器演奏をおこなうなかででき上がるラフなスケッチ曲と、きちんと各楽器パートを綿密に計算して多重録音をおこなっていくもののふたつがあるようですが。

DD:作曲をするときはいつも新しい作曲方法を使っているんだ。時々は似たような方法で終わるときもあるけど。だから作曲の方法がそのふたつにカテゴライズされるっていうわけではないね。僕は一日中作曲をしているから、自分の気分や、そのときいる環境がどうやって作業が終わるかに左右される。作曲方法が無限にあるから、僕にとってはコンスタントに創作活動をして、新しい音楽をリリースし続けるほうが性に合っているんだ。

楽器のチョイスはどのようにおこなっていますか? シンセのようなエレクトリックな楽器はあまり用いず、アコースティック・ピアノ、アコースティック・ギター、マンドリン、フィドル、クラリネットやオーボエなどの木管楽器によって、温もりのあるサウンドを作り出すのがあなたの作品の特徴でもあるように思いますが。

DD:MIDIでプログラミングをする以外、エレクトリックな楽器はあまり有用性があるとは思えない。作曲をするのをとても簡単にしてくれるから、MIDIでシンセサイザーのサウンドとリズム・シークエンスをプログラミングするのは大好きなんだけどね。だけどアコースティックの楽器がいとも簡単にヴァリエーションのあるサウンドを出してくれるのがとにかく好きなんだよ。

“ビターズ・フォー・ビターズ” はジャズと現代音楽の要素に加え、レイ・クラダップが演奏するトーキング・ドラムによってアフリカ音楽の要素も入ってくるという非常にユニークな曲です。この曲に見られるように、あなたの作品はいろいろな音楽的要素がありながらも、そのどれかに限定されない個性や新しさを持っていると思います。どのようにして融合の中から新しいものの創造を行っているのでしょうか?

DD:自分の音楽の印象を人から聞くのがとても好きだから、君の感想も聞けて嬉しいよ。僕は自分が経験したり、きちんと理解した文化的な視点からしか作曲はしない。そうすることで文化を無作為にごちゃまぜにしないでいられるんだ。ある一定のレベルまでマスターしていないスタイルを手あたり次第に組み合わせる、なんてことは絶対にしないようにしている。

ムビラを用いた “シーズンズ” もアフリカ音楽の要素が入った曲ですが、楽器アンサンブルは現代音楽的でもあり、非常に洗練された和声のアンサンブルもあります。あなたにとってこうした民族音楽的なモチーフはどこからやってくるのでしょうか?

DD:僕は自分のなかに既に取り込んである物事からしか影響は受けないんだ。そうでなくちゃ自分のことを盗用者や偽者としか思えなくなってしまう。経験のある作曲者は引用元となるたくさんの経験を持っている。創作や学習の過程を通して、その経験から得た視点を表現する楽曲を作るんだ。

“ハート・スマイル” は今回のアルバムの中では比較的ソウルやR&B寄りですが、それでもメインストリームの一般的なR&Bとは一線を画するものです。私個人としてはモッキーやムーン・チャイルドなどに通じるところを感じたのですが、現在の同世代のアーティストで共感を覚えるような人、影響を受けたり与えたりするような人はいますか?

DD:ボルチモア出身のマルチ・インストゥルメンタリストであり、教育者、アーティストでもある Jamal R. Moore からはここ数年自分の成長に大きな影響を受けているよ。サンフランシスコから東部へ初めて引っ越したときに彼がボルチモアの音楽シーンを紹介してくれたんだ。そこに住んでいた2年間はそのシーンにいるのがとても楽しかった。彼は時々僕にとって良き師でもある。彼は昨年『サームズ・オブ・ボルチモア』という素晴らしいアルバムをリリースしたんだ。トレイ・クラダップは彼のバンドのオーガニックス・トリオの一員でもあって、そのアルバムにも参加しているよ。僕たちはかなり近い距離で働いているんだよね。
 あと、ここハリスバーグに年上なんだけどサラディンという紳士がいる。クリエイティヴ面で大きく影響を受けているな。素晴らしい男なんだ。自分が年をとったらああいう男になるような気がしているよ。僕たちは毎週ここハリスバーグにある川で会っているんだ。彼はフルートを吹くから、一緒に練習したり話したりしている。そんな具合に自分のいるコミュニティの人たちからも影響を受けている。僕の家からすぐ近くに住んでいるジャニスという名前の女性がいるんだけど、彼女はいつも僕に音楽を続けるよう励ましてくれる。そして彼女はいつも近くにいる人たちのことも励ましてくれるんだ。その場にいるだけで音楽的で、クリエイティヴなエナジーをくれるような人っているんだよ。

現在はコロナの影響でさまざまな音楽活動も制限される状況にあります。そうしたなかで、あなたのようにひとりで完結してしまうことが多い制作スタイルは、この状況にはとてもフィットするやり方でもあるなと感じます。実際、現在はどのようにして制作活動、演奏活動などをおこなっていますか?

DD:僕はつねに新しい制作方法を考えているから、いまの世界の状況も含めて自分の前に提示されるいかなる状況にも順応することができる。君が言ってくれた僕のスタイルがいま音楽をリリースするやり方としてフィットしているという点は合っていると思うよ。自分で何でもできるから、自分のなかの規律みたいなものを世界に合わせることがより容易なんだ。

『ジャスト・ワット』を聴く人へのメッセージをお願いします。また、今後の活動やチャレンジしたいことなどがあればお願いします。

DD:僕はとてもドラマチックな人間で、つねに劇的に変化しているんだ。『ジャスト・ワット』を聴いてくれる人には僕が音楽を通して経験する変化を楽しんでほしいな。すべてのことは必ず変わっていくからね。

質問・文:小川充(2020年9月17日)

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Profile

小川充 小川充/Mitsuru Ogawa
輸入レコード・ショップのバイヤーを経た後、ジャズとクラブ・ミュージックを中心とした音楽ライターとして雑誌のコラムやインタヴュー記事、CDのライナーノート などを執筆。著書に『JAZZ NEXT STANDARD』、同シリーズの『スピリチュアル・ジャズ』『ハード・バップ&モード』『フュージョン/クロスオーヴァー』、『クラブ・ミュージック名盤400』(以上、リットー・ミュージック社刊)がある。『ESSENTIAL BLUE – Modern Luxury』(Blue Note)、『Shapes Japan: Sun』(Tru Thoughts / Beat)、『King of JP Jazz』(Wax Poetics / King)、『Jazz Next Beat / Transition』(Ultra Vybe)などコンピの監修、USENの『I-35 CLUB JAZZ』チャンネルの選曲も手掛ける。2015年5月には1980年代から現代にいたるまでのクラブ・ジャズの軌跡を追った総カタログ、『CLUB JAZZ definitive 1984 - 2015』をele-king booksから刊行。

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