Home > Interviews > interview with Bo Ningen - UK発ジャップ・ロック、その正体とは!
自分のなかで英語で歌うって選択肢はなかったかな。単純に自分の表現として即興で歌詞を作ったりするときって、僕は歌詞をあらかじめ紙に書いたりしないから......
Bo Ningen Bo Ningen Stolen Recordings |
Bo Ningen with Damo Suzuki Foreign Affair Confidential So I Buried Records |
■〈ストールン・レコーディングス〉との契約の経緯はどういったものだったんですか?
たいげん:スクリーミング・ティー・パーティというバンドと仲が良くて、彼らつながりでストールンの人たちとは以前から知り合いで。最初はライヴに何回か来てくれたんだけど、まあ日本語で歌ってるし、音楽性もいまと少し違ったから契約するか迷ってたみたい(笑)。それでマネージメント的なところから手伝わせてくれない? って言われて。そのあとに回を重ねて向こうからちゃんと契約してEPとアルバム出さないか? って話がきた感じかな。だから「これもすごい自然だったね」っていうのは僕たちもよく言ってて、お互いのこと事前に知ってる状態だったからビジネスとしてだけじゃなくて気軽に何でも話せて、わりかし自由にやらせてくれる、でもしっかりと意見をくれるし真面目な事も真剣の話せる、という良い環境だと思うよ。
■たいげん君の音楽的なルーツを辿ると、プロレスの曲が原点なんですよね? そこからどのように音楽を見いだしていったんですか?
たいげん:幼少期を振り返ってみると、たまに母親が部屋でギターを練習していて、聴こえてくるフォーク・ソングがうるさいなぁくらいに思ってて(笑)、音楽そのものというよりは何かに関連/付加してる音楽が好きで、例えばゲームだったりだとか、アニメだったりだとか、いわゆるサウンドトラックだよね。それで中学からプロレスに興味が出て、ゲームやアニメの音楽からプロレスの音楽に興味が移った感じかな。プロレスの入場テーマ曲ってバンドから打ち込み、ジャンルもバラバラで色々な音楽をジャンルに縛られずに自由に横断して聴けるのは今役に立ってるかも。ちなみに僕のなかでプロレスの入場テーマ曲っていうのはバンド音楽の原体験でもあって、入場テーマ曲で知ったバンド挙げてくだけでも、ブラック・サバスでしょ、レッド・ツェッペリン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、メタリカ、ミッシェル・ガン・エレファント、パンテラもそうか、あとELPもワールドプロレスリング(新日本プロレスの中継番組)のテーマ曲だったり(笑)。
■灰野(敬二)さんなどは海外に出てから知ったんですよね?
たいげん:うん。海外に出て、日本にいたときに知っていた日本のアンダーグラウンド・ミュージックとはまた違う、海外で評価が高い日本の音楽というのかな。灰野さんだったり、メルツバウだったり、ちなみにそのふたつはフィンランドで知ったんだよね。
■メンバーのみなさんそれぞれが違う音楽観を持つなか、当初はどんなサウンドだったのでしょうか?
たいげん:最初はもっとフリーフォームだったかな。リフは決まってるけど、回数とか、構成とかはあんまり決まってなかったし、いまよりも即興だったりだとか、ノイズとかに近い感じだったね。
■ノイズやいわゆるエクスペリメンタル・ミュージックには以前から興味はあったんですか?
たいげん:とくに初期はね。実験的なものって言ったらちょっと変だけど、冷静に自分たちの音がどう変化してきたっていうのを考え直してみると、僕以外はオリジナルの曲を演奏するバンド歴みたいなものが皆無だったのね、しかも僕もBo Ningenの前にやってたバンドはすべてベーシストとしての参加で、ヴォーカルとしてオリジナルのバンドをやるのはBo Ningenが初めてだった。こうへい君とかもちょこちょこ活動歴はあったんだけど、僕が初めて会ったとき彼はまだギター歴2年とかだったし、ゆうきもオリジナル・バンドはこれが初めてで、もんちゃんもしばらくオリジナルのバンドはやってない感じだったんだよね。だからまっさらな状態ではじめられて、だからこそ最初はもっとフリーフォームというか、自由に構成とかも決めずにとにかく音を出していたのは必然で、メンバーの技術的なこととか、経験とかいろんなことが重なってっていまの形になってってるのかなって、だから途中で方向転換しようって感じではなかったかな。とにかく全部ジャムから作ってるのもあるけど。
■僕がBo Ningenの音源を初めてmy spaceで聴いたときに、リリックにも衝撃を受けたのですが、イギリスで活動していくうえで、日本語で歌う迷いなどはなかったのですか?
たいげん:迷いはなかったかな。もちろん不安はあったよ、どういう風に受け取られるんだとうって。でもその時点で自分のなかで英語で歌うって選択肢はなかったかな。単純に自分の表現として即興で歌詞を作ったりするときって、僕は歌詞をあらかじめ紙に書いたりしないから、思ったことを脳から考えることでの変換機能を通さずに口から出したくて。そうすると、もちろん日本語じゃないときもたまにあるんだけど、でもやっぱりなんだかんだで日本語になるんだよね。頭のなかで変換してる時間がないんですよ、英語に。
取材:菊地佑樹(2012年7月09日)