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Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.132:NYではレコードのある生活が普通になっている

沢井陽子 Jan 20,2022 UP

 NYのヴァイナル熱、これはもう熱と言うよりは普通になっている。NYにレコード屋はたしかにたくさんある。イートレコード、ブルックリン・エクスチェンジ、レコード・グロウチ、キャプチャード・トラックス、アカデミー、マテリアル・ワールド、ヒューマン・ヘッド、スペリア―・エレヴェーション、セカンド・ハンド、ヴァイナル・ファンタジー、フェイス、A 1などなど、これらの店はほとんどがヴァイナルを扱っている。ヴァイナルを買う人が多いので、必然的にこうなるのだろう。CDを置いている所もたまにあるが、セクションは小さいし、カセット、Tシャツ、ジン、ポスターなどのマーチ系の方が多い気がする。DJをやっている人も多いし、ディスコグなどで売買している人も多い(それを生活の糧にしていたり)。
 私はイベントを企画するので、DJを探すが、いまはほとんどがヴァイナルDJだ。「DJ探しているんだけど」と、まわりに言うと、だいたいすぐ見つかる。聞くのが好きでヴァイナルを買い、DJはやらない人も多いが、ヴァイナルを買う人のDJ率は高いと思う。バーに行くとだいたいDJがいて、いい感じのチューンをかけてくれるし、ライヴに行ってもDJがいる。それだけDJをする場所、機会が多いのだ。そうするとよいチューンをかけるために、良いレコードを探すことになる。と言う感じで、熱があるのかはわからないが、ヴァイナルのある生活が普通になっているし、時間ができたらちょっとレコード屋行ってくる、とささーっとレコード屋に寄る人もまわりには多い。いつも何か良いネタはないか探しているんでしょうね。
 以下、いくつかのお店に簡単な質問を投げてみました。

■Academy Records

──開店はいつ?
Mike:お店は2店舗あるんだ。イーストヴィレッジ店は2001年4月1日。ブルックリン店は2004年4月1日。

──在庫のレコード数
Mike:イーストヴィレッジ店には40,000枚ぐらい? ブルックリン店には100,000ぐらいだと思う。

──主に売れているジャンルは?
Mike:2店舗ともにジャズ、ソウル、ロック、ヒップホップ、レゲエ、ブルース、ラテンなど。

──客の年齢層/男女比率は?
Mike:ブルックリン店の年齢層は20代から30代が大半で、イーストヴィレッジ店はもう少し年齢層が上です。男女比率は、女性が30〜40%。いままで以上にレコードを購入する女性が増えているね。

──なぜいまレコードが人気だと思う?
Mike:色んな人が、色んな違う理由でレコードが好きだと思うけれど、何と言ってもレコードは楽しいからでしょう。

──昨年売れたレコードでいちばん高価だった盤は?
Mike:イーストヴィレッジ店ではWorld's Experienceの『As Time Flows On』が$2000。ブルックリン店ではO’Seisの同名シングルが$3000。

──あなた個人の昨年のベスト・アルバム(新旧問わず)
Mike:毎日変わるけど John Coltrane『A Love Supreme Live In Seattle』とMarvin Gaye『What's Going On』。

Academy Records (イーストヴィレッジ店)
415 East 12th St
NY, NY
10009

Academy Record Annex (ブルックリン店)
85 Oak St
Brooklyn, NY
11222

■Second Hand Records NYC

──開店はいつ?
Fatik:2016年10月。

──在庫のレコード数。
Fatik:10,000枚。

──お店が推しているジャンルは?
Fatik:選べる良い音楽はたくさんあります。ファンク、ソウル、ジャズ、エレクトロニック、ヒップホップ、ロック、ラテン、レゲエなどです。

──客の年齢層/男女比率は?
Fatik:20~50歳くらい。40%が女性、60%が男性

──なぜいまレコードが人気だと思うか?
Fatik:ヴァイナルは、それを追いかけている人たちにとっては、いつも人気でした。最近私が関心を寄せているのは、いまのヴァイナル人気は、物理的な経験と繋がる方法を探している人びとから来ているということです。私たちがしている多くのことはインターネットを中心に展開していて、1日の終わりに少し空虚な気持ちを残します。そこへいくと、手に持つことができるものは違いますよね。

──昨年売れたレコードでいちばん高価だった盤は?
Fatik:ヴェルヴェッツの1stのMONO盤が$700で売れたね。

──あなた個人の昨年のベスト・アルバム。
Fatik:1枚を選ぶのは難しいですが、年末にかけて、FBIと言うバンドの同名のセルフタイトル・アルバムが良かったです。

Second Hand Records NYC
23 Lawton St
Brooklyn NY

■Eat Records / Scorpion Records

──開店はいつ?
Casey:2003年9月11日。

──在庫のレコード数は?
Casey:約5,000枚。

──売れているジャンルは?
Casey:ロック、ジャズ、ファンク、ソウル、レゲエ、ヒップホップ。

──なぜいまレコードが人気だと思うか?
Casey:良い音、物理的なメディア・ライブラリーを提供してくれるし、その価値を保持し、あなたにストリートの信用を与えてくれる。

──昨年売れたレコードでいちばん高価だった盤は?
Casey:$800で、Tool『Ænima』。

──あなた個人の昨年のベスト・アルバム。
Casey:Grateful Dead『Fox Theatre, St. Louis, MO』 4 x Vinyl lp box set

Scorpion Records
792 Onderdonk Ave
Queens, NY 11385


■Superior Elevation Records

──開店はいつ?
Tom:お店は、2015年にオープンしましたが、僕は、2000年からレコードを売っています。

──在庫のレコード数は?
Tom:いつも100,000ぐらいが在庫にあります。お店に出ていたり、倉庫に入っていたり、地下にあったりなどです。

──主に売れているジャンル。
Tom:ロック、ソウル、ジャズ、ラテン、ジャマイカンなどですが、ディスコとハウス・ミュージックに力を入れています。

──なぜいまレコードが人気だと思うか?
Tom:理由はたくさんあると思いますし、この質問の背後にはミステリーがあります。個人的には、心理的な問題があると思います。現在多くの人たちは、彼らの好きな音楽に愛着を感じていません。ほとんどが、コンピュータ(のアルゴリズムなど)が、彼らのために選んだものですから。それを人びとはそれほど気にしていませんでしたが、ある時点で、彼ら自身がアイデンティティをもっていないのではと不安になったのでしょう。ヴァイナルは所有できるものです。視覚的な魅力があります。さらに、ストリーミングのプラットフォームで失われてしまう、自分の好きなバンドはどんなヴィジュアルか、何年に発売されたか、自分が何を好きか、なぜ好きになったのかなどを学ぶのに役立つであろう、良き情報源でもあります。

──昨年売れたレコードでいちばん高価だった盤は?
Tom:$1200、Cerebral HemmorhageのレアなシンセLP『Other Worlds』(1981)です。

──あなた個人の昨年のベスト・アルバム。
Tom:難しい質問ですね。1枚がすぐには出てきませんが、ファンとして、最近エキゾチカという音楽ジャンルに惹かれはじめています。

Superion Elevation.com
+1 (415) 624-6905
100 White st.
Brooklyn, NY

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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