
──『ガーディアン』のライター/『The Wire』誌エディターの著者が膨大な資料と取材のすえに書き下ろしたクラウトロック評伝の最高作、ついに翻訳刊行!
ファウスト、ノイ! 、クラスター、アシュ・ラ・テンペル、アモン・デュールII、カン、クラフトワーク──これらのグループが持つ瞑想的かつ膨張的な作曲法が、西洋のポピュラー音楽にもたらした影響は計り知れない。今日の音楽のどれだけ多くの部分がここで誕生したのかを理解し、大きな影響力を持つ先駆的なアーティストの財産を発見したい者にとっての必読書である。
***
第二次世界大戦後、西ドイツはショック状態にあった。直近の歴史から遠ざかり、他のヨーロッパ諸国から取り残されていたからだ。しかしこの孤立した風景は、60年代にクラウトロックとして知られることになる、実験的でさまざまなサウンドを育んだミュージシャンたちの世代にとって、肥沃な大地であることが判明した。
東洋の神秘主義、シュトックハウゼンの破砕した古典主義、工業の空圧反復やラインラントの深い森、終わりの見えないアウトバーン。アングロアメリカン的なジャズ/ブルースの伝統を避けつつ、ドイツは他の場所にインスピレーションを見出した。
ファウスト、ノイ!、クラスター、アシュ・ラ・テンペル、アモン・デュールⅡ、カン、クラフトワーク──これらのグループが持つ瞑想的かつ膨張的な作曲法が、西洋のポピュラー音楽にもたらした影響は計り知れない。彼らが重要視されたのは、ポストパンクからエレクトロニカ、アンビエントに至るムーヴメントの発展においてだけではない。デヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズやプライマル・スクリームなど多様なアーティストたちとって、それらのグループは直接的なインスピレーションを与えてきた。
『フューチャー・デイズ』は黙想にふけり、ときに抽象的、そして、しばしとても美しくもある音楽と、それを成し遂げたグループについての仔細な研究であり、彼らを形作った社会と政治の文脈にも光を当てている。今日の音楽のどれだけ多くの部分がここで誕生したのかを理解し、大きな影響力を持つ先駆的なアーティストの財産を発見したい者にとっての必読書である。
***
デヴィッド・スタッブスはカン、ファウスト、ノイ!やクラフトワークといったレジェンドたちを、第二次世界大戦後のドイツにおける政治と文化という、その歴史歴的文脈へとたくみに位置づける。しかしより重要なことに、彼の散文における陽気さや、その想像力の及ぶ輝かしい壮大さは、時代と場所を超越する音楽をあますところなく伝える。心眼にうったえる比類なきくらくらするような驚きの連続、絶対的な自由と規律が共存したサウンド、パンクの大襲撃に対する歓喜に満ちた大いなる「イエス(賛同)」。これらを何世代にもわたるファンたちがクラウトロックのうちに発見するのだ ──サイモン・レイノルズ
ご注文は最寄の書店でもお取り寄せが可能です。
また、バックナンバー、お取り扱い店、募集中です!
ele-king Books
-
ゲーム音楽家インタヴュー集──プロのベテラン18人が語るそれぞれのルーツ
-
ニッポン人のブルース受容史
-
東京銭湯サウナガイド
-
現代SF小説ガイドブック 可能性の文学
-
GANGSTA RAP CASSETTES ~ギャングスタラップカセットの世界~
-
ジャン=リュック・ゴダールの革命
-
ele-king臨時増刊号 2023年、日本を生きるための羅針盤
-
宇宙こそ帰る場所──新訳サン・ラー伝
-
自転車と女たちの世紀──革命は車輪に乗って
-
ele-king vol.30
-
WOMAD横浜──歴史から消えた日本のビッグ・フェスティバル
-
奇妙なものとぞっとするもの──小説・映画・音楽、文化論集
-
現代メタルガイドブック
-
映画とドラマで学ぶイギリス史入門
-
別冊ele-king VINYL GOES AROUND presents RARE GROOVE──進化するヴァイナル・ディガー文化
-
看護師に「生活」は許されますか──東京のコロナ病床からの手記
-
90年代ディスクガイド──USオルタナティヴ/インディ・ロック編
-
インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド──ゲームの沼
-
ヴァイナルの時代──21世紀のレコード収集術とその哲学
-
新世代ホラー2022